尖閣諸島をめぐって、鳩山元首相が香港のメディアに語った、「日本が盗んだと思われても仕方がない」といった発言が、物議を醸している。これまでにも、たびたび中国寄りともとれる発言をしてきた鳩山氏に、東京・永田町からも、驚きと怒りの声が上がっている。
26日から中国を訪問する予定の鳩山元首相が、香港のフェニックステレビの取材を受け、沖縄県の尖閣諸島について、「中国側から見れば、盗んだというふうに思われても仕方がない。だから、それは返すべきだと。カイロ宣言の中に尖閣が入るだろうということは、そういう解釈は、十分に、わたしは中国側から見れば、当然成り立つ話だと」と話した。
カイロ宣言とは、終戦の2年前の1943年に、当時のアメリカ・中国・イギリスの首脳によって出された声明で、「日本が奪った領土を中華民国へ返還する」とした基本方針が出された。
日本政府は、このカイロ宣言について、「日本の領土処理について、最終的な法的効果を持ち得るものではない」としている。
しかし鳩山氏は、中国側が主張するこの宣言に、尖閣諸島が対象に入るとする解釈は、当然成り立つ話だと述べた。
これまでも、中国寄りともとれる発言を繰り返してきた鳩山氏。
2013年1月、中国を訪問した際には、「政府は、領土問題は存在していないというけれども。係争地であるということを、私は、お互いに認めるということが大事ではないかと」と、尖閣諸島を係争地だと認めるべきだと発言し、物議を醸した。
それに続く今回の発言に、菅官房長官は「その発言を聞いて、私は絶句しました。開いた口がふさがらないという言葉がありますけども、まさに、このようなことだろうというふうに思います。断じて許すことはできない。国民の皆さんの思いも、きっとそうだろうと」と述べた。
自民党の石破幹事長は「極めて国益を損なう、元総理とも思えない、軽率なという言葉を使うのも不適切なくらいの発言だと思います。もう、いい加減にしてくださいと」と述べた。
また、鳩山氏がかつて所属していた、民主党の海江田代表は「鳩山さんの発言というのは、わが党との主張とも違います。やっぱり、歴史的に見まして、固有の日本の領土であるということは、私は明白だろうと思っています」と述べた。
尖閣問題をめぐっては、2013年1月、公明党の山口代表が中国を訪問する直前に、香港のフェニックステレビの取材を受け、「将来の知恵に任せるのが1つの賢明な判断だ」と言及した。
また、6月3日には、訪中した野中元官房長官が、故田中角栄元首相から、1972年の日中国交正常化交渉の際、「尖閣諸島をめぐる問題は、棚上げで合意したと聞かされた」と話していた。
鳩山氏は26日から、中国・北京を訪問し、経済フォーラムなどに出席するという。
難しい言葉:
物議を醸す:引起议论。
¶その演説は教育界の~をかもした/那次讲演引起了教育界的物议.
【係争】【けいそう】:争执,争讼,打官司.
¶事件は~中だ/事件正在打官司.
【開いた口がふさがらない】:目瞪口呆。