奈良市の唐招提寺で、国宝の建物などにアライグマの爪によるものとみられる傷が見つかりました。アライグマによるとみられる文化財の被害は各地で相次ぎ、関係者は頭を悩ませています。
唐招提寺は、奈良時代に中国から招かれた高僧、鑑真が建立したもので、境内には数多くの国宝や重要文化財の建物があります。傷が見つかったのは、このうち国宝に指定されている「鼓楼」と呼ばれる建物と、国宝の鑑真の像が安置されている国の重要文化財「御影堂」です。寺によりますと、それぞれの建物の柱には、ことし9月から10月にかけて傷が入っているのが見つかり、監視カメラには大きさの異なる3匹のアライグマのような姿が記録されていたということです。寺では動物が近づかないように建物に板を立てかけたり、一時、オリを仕掛けたりしたということですが、境内は広く、対策には限界があるということで「行政に根本的な対策をお願いしたい」と話しています。これについて奈良県では、アライグマの生態の調査を進め、効果的なオリの設置方法を検討するなどして駆除に役立てたいとしています。