混迷が続くエジプトで、ムバラク大統領がテレビ演説し、即時辞任の要求には応じない考えを強調しました。これに対し、辞任の表明を期待していたデモ隊は激しく反発し、11日に予定される大規模なデモで衝突など混乱が起きるのではないかと懸念されています。
ムバラク大統領は、10日夜、国営テレビで演説し、現在の危機を乗り越えるため、大統領の権限をスレイマン副大統領に委ねる方針を示す一方、デモ隊が求める即時辞任には応じず、ことし9月の任期満了まで大統領職にとどまる姿勢を改めて示しました。このあと、スレイマン副大統領もテレビで演説し、デモ隊に対し、自宅に戻り、デモを速やかに収束させるよう求めました。カイロ中心部の広場では、大統領が辞任を表明するのではないかという報道から10万人を超える人が集まりましたが、大統領の演説に一斉に怒りの声を上げました。デモの参加者の1人は「大統領は死ぬまで辞めないつもりだろうが、国民は必要としていない」と話していました。また、憤ったデモ隊の一部が広場から1キロほど離れた国営テレビの前まで行進し、およそ1000人が建物の前で大統領の即時辞任を求めて抗議しました。現地では、11日にイスラム教の金曜日の集団礼拝が行われますが、デモ隊はこれに合わせて再び大規模なデモを呼びかけており、衝突など混乱が起きるのではないかと懸念されています。