4世紀末ごろに造られたとみられる奈良県桜井市の古墳から、人の形を表現したものとしては最も古い時期の埴輪が見つかりました。人が古墳を守るという考え方がこの時期に広がり始めたことを示す貴重な資料として注目されます。
埴輪が見つかったのは奈良県桜井市の「茅原大墓古墳(ちはらおおはか?こふん)」で、出土の状況などから、古墳が造られたのとほぼ同じ4世紀末ごろに制作されたとみられます。高さ70センチほどで、胴体の上に目や口の部分をくりぬき赤い色を塗った顔が取り付けられ、あごには入れ墨のような線が描かれています。頭に三角形をしたかぶとのようなものをかぶり、胴体には盾とみられる板が貼り付けられていたことから、桜井市教育委員会は、古墳を守る兵士の役割を与えられたとみています。埴輪は、筒のような形をしたものが3世紀後半ごろから古墳を取り巻くように立てられ始め、人の形が出現するのは5世紀前半ごろと考えられてきました。しかし、今回の埴輪は、これまでの例を数十年さかのぼり、人の姿をしたものとしては最も古くなるということです。埴輪に詳しい花園大学の高橋克壽教授は「古墳の内部に『あの世』があり、人の形をした埴輪がそれを守るという考え方が、この時期に広がり始めたことを示す最高の資料だ」と話しています。