日本政界の怪現象:右傾化を競う政客たち
様々な挫折を経た後に、野田佳彦は石原に「強硬な発言は確かに民心を得るだろうが、日本を危険な境地に追い込む」と警告した。日本政界の右傾化は、大衆に迎合することで政権獲得という政治家の私欲を満たせる可能性はあるが、民族の威風の盛り返しはもたらさず、自ら世界を遠ざける事態を招くだけである。
日本メディアによると、日本の次期首相最有力候補の安倍晋三は21日に発表した政権公約で、釣魚島(日本名・尖閣諸島)への公務員常駐を主張した。安倍が望み通り当選した場合、その政策は日中正面衝突を招きうるとの指摘がある。これは日本政界が「石原乱気流」によるかく乱の中で、右傾化を深刻化させていることを側面から反映するものでもある。
-右傾化すれば支持率上昇
総選挙を控えて、日本政界には明らかな怪現象が生じている。右傾化すれば支持率が上昇するのだ。日本のある雑誌は今月初めの記事で、首相の玉座を高望みしている「3人の剣客」こと橋下徹、石原慎太郎、安倍晋三について採点を行い、その政策と主張について論じた。
このうち橋下徹は昨年6月に「現在の日本政治に欠けているのは独裁だ」と声高に叫んだ。20日の石原の核保有発言については如才なくふるまい、実際の保有を暗に批判した。慰安婦問題では頑として否認し、韓国と公開討論する意向さえ示している。釣魚島問題では石原の島購入計画をすぐに支持した。
石原慎太郎は露骨な極右勢力であり、長年にわたり対中侵略の犯罪行為の否認に尽力し、核保有と自衛権の行使を主張してきた。釣魚島問題については、早くからわめきたて続けている。石原は米国の戦略のアジアシフトを機会と見て、米国を迎え入れて中国を抑え込もうとし、島購入紛争を引き起こした。石原は20日の講演で「日本は外交的影響力を確保するために、軍事的抑止力を維持する必要がある」と述べたうえ、「核抑止力」を持つべきだと主張した。
意外なことに石原の発言の余韻がまだおさまらぬうちに、自民党総裁に就任したばかりの安倍晋三がさらに右寄りの主張を打ち出した。右翼タカ派の人物である安倍のやり方は一貫している。日本による侵略の歴史事実を極力否認し、憲法改正を重ねて要求し、集団的自衛権を実現しようとするのだ。今回彼は釣魚島問題でも「セールスポイント」をつくりだした。公務員の常駐を主張したのだ。教育分野にいたっては、次の世代に歴史の真相を隠そうと企んでもいる。
韓国メディアは日本の総選挙は現政権に対する評価を下すとともに、日本の国家としての品格を試すものになると指摘した。米国のアナリストは「『強国』の旗印を掲げる日本右翼は19世紀の古い道を再び歩んでいるようだ」と指摘した。
-権力と私欲の野心
日本右翼勢力は振り払うことのできないままの暗い影だ。政府高官の靖国神社参拝、歴史教科書の改正、対中侵略の残した問題であれ、最近の釣魚島をめぐる領土紛争であれ、いずれもその背後には日本右翼の思想と組織の影がある。
実は日本政界に「右翼」という名の党派は本当には存在しない。大多数の場合、国家権力を操っているのは一部の為政者と官僚だ。彼らは自由主義政客集団であり、左翼でも右翼でもない。自民党と民主党の立場を見ると、極右発言をすることはないが、いずれも右寄りの傾向があり、両党共に右翼カードを切ることができる。だが現在の情勢の推移を見る
日本政界の右傾化がどんどん深刻化しているのはなぜか?票の取り込みが最終目的だと専門家は分析する。
冷戦終結以来、日本社会は中産階級の没落、国の経済の停滞、大国化が阻止されるなど多くの問題に遭遇した。長年来の優越感と誇りはもうなく、国民の間にも焦燥と不安が広がり、過激化傾向すら呈している。
無能な保守政権は右翼を甘やかし、放任するばかりで、その勢力拡大を招いている。政局の混乱のために、日本社会には場を収めることのできる権威ある人物がおらず、騒ぎ立てることのできる者が若者と票を引きつけ、政治生命を得るようになっている。自民、民主両党も票を維持するために、右翼発言を繰り返している。
-日本を害する傾向
思想傾向を見ると、日本右翼勢力は軍国主義とファシズムの復活を主張し、歴史上の専制と暴虐の復活を望み、弱肉強食の強権主義を遵奉し、侵略と征服によって日本の国際的地位を確立することを主張している。
石原らが党を結成して総選挙に参加するのは、中日関係の緊張と対峙の機に乗じて、民族主義的感情を煽り立て、中央政権に進軍することが目的だとアナリストは指摘する。そして右翼勢力の政治目標は、政府の中に代理人を獲得することによって、中央政権の中で軍国主義を広め、侵略の野心を実現することなのだ。
石原慎太郎が少し前に結成した「太陽の党」の政治綱領には「自主憲法の制定」「防衛能力の倍増」などが盛り込まれていた。
第2次大戦後、日本は「平和憲法」「非核政策」「専守防衛」の3つの大きな法的制約があるため、再び侵略の道を歩むことは断じてないと再三世界に保証してきた。だが1990年代以降、右翼勢力が操る中で、こうした制約はとうに有名無実化している。「憲法改正」、核拡散、防衛の突破口を求める日本国内の声は、隣国の懸念を招かずにはいられない。
日本の総選挙は極右勢力に絶好のパフォーマンスの場を提供するとの悲観的な指摘もある。石原達の危険性は、彼らが日本を軍国主義の古い道へ再び引き戻しうることにある。経済力が急激に衰退した日本は近年、国際的大国としての地位を求めている。だが日本の政治家が極右の道を歩んで改心しないのなら、すでに片足を引きずっている日本が両足を麻痺し、自ら世界を遠ざけ、自らの未来を害する事態を招くだけである。