日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 岛崎藤村 » 正文

破戒17-3

时间: 2017-06-03    进入日语论坛
核心提示:       (三) 地主といふは町会議員の一人。陰気な、無愛相(ぶあいそ)な、極(ご)く/\口の重い人で、一寸丑松に会
(单词翻译:双击或拖选)
        (三)
 
 地主といふは町会議員の一人。陰気な、無愛相(ぶあいそ)な、極(ご)く/\口の重い人で、一寸丑松に会釈(ゑしやく)した後、黙つて炉の火に身を温めた。斯(か)ういふ性質(たち)の男は克く北部の信州人の中にあつて、理由(わけ)も無しに怒つたやうな顔付をして居るが、其実怒つて居るのでも何でも無い。丑松は其を承知して居るから、格別気にも留めないで、年貢の準備(したく)に多忙(いそが)しい人々の光景(ありさま)を眺め入つて居た。いつぞや郊外で細君や音作夫婦が秋の収穫(とりいれ)に従事したことは、まだ丑松の眼にあり/\残つて居る。斯(こ)の庭に盛上げた籾の小山は、実に一年(ひとゝせ)の労働の報酬(むくい)なので、今その大部分を割いて高い地代を払はうとするのであつた。
 十六七ばかりの娘が入つて来て、筵の上に一升桝(ます)を投げて置いて、軈(やが)てまた駈出して行つた。細君は庭の片隅に立つて、腰のところへ左の手をあてがひ乍ら、さも/\つまらないと言つたやうな風に眺めた。泣いて屋外(そと)から入つて来たのは、斯の細君の三番目の児、お末と言つて、五歳(いつゝ)に成る。何か音作に言ひなだめられて、お末は尚々(なほ/\)身を慄(ふる)はせて泣いた。頭から肩、肩から胴まで、泣きじやくりする度に震へ動いて、言ふことも能くは聞取れない。
『今に母さんが好い物を呉れるから泣くなよ。』
 と細君は声を掛けた。お末は啜(すゝ)り上げ乍ら、母親の側へ寄つて、
『手が冷(つめた)い――』
『手が冷い? そんなら早く行つて炬燵(おこた)へあたれ。』
 斯(か)う言つて、凍つた手を握〆(にぎりしめ)ながら、細君はお末を奥の方へ連れて行つた。
 其時は地主も炉辺(ろばた)を離れた。真綿帽子を襟巻がはりにして、袖口と袖口とを鳥の羽翅(はがひ)のやうに掻合せ、半ば顔を埋(うづ)め、我と我身を抱き温め乍ら、庭に立つて音作兄弟の仕度するのを待つて居た。
『奈何(どう)でござんすなあ、籾(もみ)のこしらへ具合は。』
 と音作は地主の顔を眺める。地主の声は低くて、其返事が聞取れない位。軈(やが)て、白い手を出して籾を抄(すく)つて見た。一粒口の中へ入れて、掌上(てのひら)のをも眺(なが)め乍(なが)ら、
『空穀(しひな)が有るねえ。』
 と冷酷(ひやゝか)な調子で言ふ。音作は寂しさうに笑つて、
『空穀でも無いでやす――雀には食はれやしたが、しかし坊主(稲の名)が九分で、目は有りやすよ。まあ、一俵造(こしら)へて掛けて見やせう。』
 六つばかりの新しい俵が其処へ持出された。音作は箕(み)の中へ籾を抄入(すくひい)れて、其を大きな円形の一斗桝へうつす。地主は『とぼ』(丸棒)を取つて桝の上を平に撫(な)で量(はか)つた。俵の中へは音作の弟が詰めた。尤(もつと)も弟は黙つて詰めて居たので、兄の方は焦躁(もどか)しがつて、『貴様これへ入れろ――声掛けなくちや御年貢のやうで無くて不可(いけない)。』と自分の手に持つ箕(み)を弟の方へ投げて遣つた。
『さあ、沢山(どつしり)入れろ――一わたりよ、二わたりよ。』
 と呼ぶ音作の声が起つた。一俵につき大桝で六斗づゝ、外に小桝で――娘が来て投げて置いて行つたので、三升づゝ、都合六斗三升の籾の俵が其処へ並んだ。
『六俵で内取に願ひやせう。』
 と音作は俵蓋(さんだはら)を掩(おほ)ひ冠せ乍ら言つた。地主は答へなかつた。目を細くして無言で考へて居るは、胸の中に十露盤(そろばん)を置いて見るらしい。何時(いつ)の間にか音作の弟が大きな秤(はかり)を持つて来た。一俵掛けて、兄弟してうんと力を入れた時は、二人とも顔が真紅(まつか)に成る。地主は衡(はかりざを)の平均(たひら)になつたのを見澄まして、錘(おもり)の糸を動かないやうに持添へ乍ら調べた。
『いくら有やす。』と音作は覗(のぞ)き込んで、『むゝ、出放題(ではうでえ)あるは――』
『十八貫八百――是は魂消(たまげ)た。』と弟も調子を合せる。
『十八貫八百あれば、まあ、好い籾です。』と音作は腰を延ばして言つた。
『しかし、俵(へう)にもある。』と地主はどこまでも不満足らしい顔付。
『左様(さう)です。俵にも有やすが、其は知れたもんです。』
 といふ兄の言葉に附いて、弟はまた独語(ひとりごと)のやうに、
『俺(おら)がとこは十八貫あれば好いだ。』
『なにしろ、坊主九分交りといふ籾ですからなあ。』
 斯う言つて、音作は愚しい目付をしながら、傲然(がうぜん)とした地主の顔色を窺(うかゞ)ひ澄ましたのである。
 
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%