日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 东野圭吾 » 正文

白夜行7-6

时间: 2017-01-17    进入日语论坛
核心提示: 三沢千都留たちの送別会をした後、誠は成城の実家に帰った。 家には現在、母親の頼子と、祖父母が住んでいた。祖父母は頼子の
(单词翻译:双击或拖选)
 三沢千都留たちの送別会をした後、誠は成城の実家に帰った。
 家には現在、母親の頼子と、祖父母が住んでいた。祖父母は頼子の両親だった。亡くなった父親は婿養子であり、頼子こそが代々の資産家である高宮家の直系なのだ。
「いよいよ、あと二日ね。明日は忙しいわあ。美容院に行かなきゃならないし、お願いしてあったアクセサリーは取りに行かなきゃいけないし。朝は早く起きなきゃ」アンティーク調のダイニングテーブルの上に新聞紙を広げ、リンゴの皮を剥《む》きながら頼子はいった。
 誠は彼女の向かいに座り、雑誌を読むふりをしながら時計を気にしていた。十一時になったら電話をかけようと思っていた。
「結婚するのは誠なんだから、おまえが着飾ったって仕方がないだろう」ソファに腰かけた祖父の仁一郎《じんいちろう》がいった。前にチェス盤を広げ、左手にはパイプを持っている。もう八十歳を過ぎているが、歩く時でも背中はぴんと伸びているし、声にも張りがあった。
「だって、子供の結婚式に出るなんてことは、もう二度とないのよ。少しぐらいお洒落《しゃれ》したっていいじゃないの。ねえ」
 後の「ねえ」は、仁一郎の向かいで編み物をしている文子《ふみこ》に向けられたものだった。小柄な祖母は、黙ってにこにこしている。
 祖父のチェス、祖母の編み物、そして母の陽気なおしゃべり。これらは誠が子供の頃から、この家の独特の世界を作りあげてきたものだった。彼が結婚を明後日に控えた今夜も、それは全く変わらなかった。この家に残っている、そうした不変のものを、彼は愛していた。
「しかし、誠が嫁さんをもらうとはなあ。こっちがよぼよぼの爺さんになるわけだ」仁一郎が、しみじみとした口調でいった。
「結婚するには、どちらもまだちょっと若いような気がするけれど、もう四年も付き合っているんだし、あとはいくら引き延ばしても同じことよね」そういって頼子が誠を見た。
「相手の雪穂さんも、とてもいい人で、安心しましたよ」文子がいった。
「うん。あの子はいい。若いがなかなかしっかりしている」
「あたしも、初めて誠が家に連れてきた時から気に入っちゃった。やっぱり、育ちのしっかりしている子は違うわねえ」頼子は、切ったリンゴを皿に盛った。
 初めて雪穂を頼子たちに会わせた時のことを誠は思い出した。頼子はまず彼女の容姿を気に入り、次に養母と二人暮らしという境遇に同情したようだった。さらにその養母にあたる女性が、家事全般だけでなく茶道や華道も雪穂に教えていたことを知り、大いに感心した様子だった。
 頼子が切ってくれたリンゴを二切れ食べると、誠はダイニングチェアから立ち上がった。十一時になろうとしていた。「ちょっと二階に行ってくる」
「明日の夜は雪穂さんたちとお食事だから、忘れないようにね」頼子が突然いった。
「食事?」
「雪穂さんとおかあさんは、明日の夜はホテルにお泊まりになるんでしょ? だから夕食でも御一緒にいかがですかって、あたしのほうから電話してみたのよ」
「どうしてそんなことを勝手に決めるんだよ」誠は声を尖《とが》らせた。
「あら、いけなかった? だってどうせあなたは、明日の夜も雪穂さんと会うつもりだったんでしょ」
「……何時から?」
「七時にレストランを予約したわ。あのホテルのフレンチは有名なのよ」
 誠は何もいわず、居間を出た。階段を上がり、自分の部屋に向かった。
 最近買ったばかりの洋服などを除いて、殆どの荷物はそのまま残してある。誠は学生時代から使っていた机の前に座り、その上に置いてある電話の受話器を取った。彼専用の電話だが、現在も使えるようにしてある。
 壁に貼った電話番号のメモを見ながら、彼はプッシュホンのボタンを押した。呼び出し音が二度鳴ったところで、電話が繋《つな》がった。
「もしもし」無愛想な声が聞こえた。クラシックでも聞いて、仕事の疲れを癒していたところだったのかもしれない。
「篠塚かい。俺だよ」
「ああ」声のトーンが少し高くなった。「どうした」
「今、いいかい?」
「いいよ」
 篠塚は四谷で独り暮らしをしていた。
「じつは、重要な話があるんだ。たぶん驚くだろうと思うけど、落ち着いて聞いてくれ」
 この言葉で、どういう内容の相談事か篠塚は察したようだ。すぐには声が返ってこなかった。誠も黙っていた。電話の雑音だけが、彼の耳に届いていた。三か月ほど前から雑音がひどくなり、相手の声も聞こえにくくなっていたことを彼は思い出していた。
「ひょっとして、例の話の続きかい?」篠塚が、ようやく訊いてきた。
「まあ、そういうことだ」
「おい」軽く笑い声をたてるのが聞こえた。だがたぶん顔は笑ってはいないだろう。「結婚式は明後日だろう」
「この間おまえは、たとえ一日前でも結婚を見合わせるっていったぜ」
「いったけどさ」篠塚は少し呼吸を乱していた。「おまえ、本気なのか」
「本気だ」誠は唾を飲み込んでから続けていった。「明日、彼女に俺の気持ちを打ち明けようと思う」
「彼女ってのは、その派遣社員の女性だな。三沢さん、とかいったっけ」
「うん」
「打ち明けてどうするんだ。プロポーズでもするのか」
「そこまでは考えてない。ただ、俺の気持ちを伝えたい。そうして、彼女の気持ちを知りたい。それだけのことだ」
「おまえのことなんか、何とも思ってないといったら?」
「その時はそれまでだ」
「おまえは、素知らぬ顔で次の日唐沢と結婚式を挙げるというわけか」
「卑怯《ひきょう》だってことはわかってるんだ」
「いや」少し間を置いてから篠塚はいった。「そういう狡さは必要だと思うよ。大事なことは、おまえが後悔しない道を選ぶってことだ」
「そういってくれると少し気が楽になるよ」
「問題は」篠塚は声を低くした。「その相手の女性も、おまえのことを好きだといった場合だ。その時はどうする?」
「その時は――」
「何もかも捨てられるか」
「そのつもりだ」
 ふうっと息を吐く音がした。
「高宮、それ大変なことだぜ。わかってるのか。大勢の人に迷惑をかけることになるし、何人かの心を傷つけることになる。何より、唐沢がどんな思いをするか……」
「彼女には償いをするよ。どんなことをしてでも」
 またお互いが黙り込んだ。雑音だけが電話線に乗っている。
「わかった。それだけいうからには、余程の覚悟があるんだろう。もう何もいわない」
「心配かけて、悪いな」
「俺のことなんか、別にいいさ。それより、場合によっては明後日は大騒ぎになるわけだな。何だか、こっちまで鳥肌が立ってくる」
「俺も、さすがに緊張している」
「そうだろうな」
「ところで、おまえに頼みたいことがあるんだ。明日の夜は空いてるかい?」
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%