日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 东野圭吾 » 正文

赤い指(20)

时间: 2017-02-02    进入日语论坛
核心提示:(20)  昭夫が目覚まし時計を見ると、午前八時を少し過ぎていた。ということは、三時間程度は眠ったことになる。どうしても寝
(单词翻译:双击或拖选)
(20)
 
 昭夫が目覚まし時計を見ると、午前八時を少し過ぎていた。ということは、三時間程度は眠ったことになる。どうしても寝付けず、午前五時頃までウィスキーの薄い水割りを飲んでいたのだ。今日のことを考えると酩酊《めいてい》するわけにはいかない。かといって、アルコールの力なしでは夜を過ごせそうになかった。
 頭がぼんやりしている。眠ったとはいえ、熟睡には程遠いものだった。何度も寝返りをうった覚えがある。
 隣の布団では八重子が背中を向けて寝ていた。最近の彼女は寝息が荒い。鼾《いびき》と表現したほうがいいような音をたてることもある。しかし今朝は静かだ。肩も背中も動いていない。
「おい」昭夫は呼びかけてみた。
 八重子の身体がゆっくりと昭夫のほうに回転した。彼女の陰鬱な表情が、遮光《しゃこう》カーテンのせいで余計に暗く見えた。目だけが鈍く光っていた。
「眠れたか」彼は訊いた。
 八重子は枕に頬をおしつけるように首を動かした。かぶりを振ったらしい。
「眠れるわけないか」昭夫は上半身を起こし、首を前後左右に動かした。関節がぼきぼきと音を立てた。自分が壊れかけの古い機械のような気がした。
 腕を伸ばし、カーテンを開けた。運命の日の朝は、分厚い雲に包まれていた。
「ねえ」八重子がいった。「いつ、やるの?」
 昭夫は答えなかった。彼自身がそれを考えている真っ最中だったからだ。やるからには後戻りはできない。あらゆる段取りを整えておく必要があったし、家族全員の口裏を合わせておく必要があった。一人を除いて、だが。
「あなた」
「聞こえてるよ」昭夫はぶっきらぼうにいった。今回、彼は妻に対してかなり厳しい口調を貫いている。こんなことは結婚してから初めてのことだったかもしれない。妻がすべてを彼に委《ゆだ》ねているという確信があるからにほかならなかった。もっと別のことで、ここまで頼りにされる夫であるべきだった、と今さらながら悔やんだ。
 彼はカーテンをさらに開き、何気なく通りを見下ろした。二十メートルほど離れた路上に一台のセダンが止まっていた。中に誰か乗っているようだ。
 はっとして昭夫はカーテンを閉めた。
「どうしたの?」八重子が訊いてきた。
「刑事だ」彼はいった。
「刑事? 歩いてきてるの?」
「そうじゃない。車を止めて、中にいる。たぶんうちを見張ってるんだ」
 八重子は顔を歪め、起きあがった。カーテンに手を伸ばそうとした。
「開けるなっ」昭夫はいった。「見張りに気づいたことは、向こうに知られないほうがいい」
「どうしたらいい?」
「どうもこうもないだろう。向こうから来る前に手を打ったほうがいい。──直巳は起きてるのかな」
「見てくるわ」八重子は立ち上がり、乱れた髪を直した。
「例の人形を持って来させろ。あいつの部屋には絶対に残すなよ。ほかの物は、全部処分したんだろうな」
「それは大丈夫。あたしが遠くまで行って捨ててきたから」
「もう一度念入りに調べるんだ。一つでも見つかったらアウトだと思え」
「わかってる」
 八重子が出ていってから、昭夫も立ち上がった。すると立ちくらみがし、一旦片膝をついた。すぐにおさまったが、次には吐き気が訪れた。彼は大きなげっぷをした。臭《くさ》い息が吐き出された。
 最低最悪の一日の始まりだ、と思った。
 
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%