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怪奇四十面相-小林少年

时间: 2021-11-15    进入日语论坛
核心提示:小林少年 それから、まもなく、明智探偵は、所長と看守長の見おくりをうけて、拘置所を出ると、またせてあった自動車にのりまし
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小林少年


 それから、まもなく、明智探偵は、所長と看守長の見おくりをうけて、拘置所を出ると、またせてあった自動車にのりました。
 その自動車には、運転手のとなりに、十四、五歳の少年助手が、チョコンと腰かけています。茶色のセーターをきて、小さな鳥打帽をかぶり、顔はあぶらで黒くよごれていますが、なんとなく、かわいらしい少年です。
 自動車は矢のように走っています。しかし、ふしぎなことに、明智探偵事務所とは、まるでちがった方角です。日比谷から有楽町のほうにまがって、やがて、とまったところは、世界劇場の楽屋口でした。
 明智探偵は、車をおりると、まるで、そこが、自分のうちででもあるように、世界劇場の楽屋口へ、はいっていきます。すると、運転助手の、まっ黒な顔をした少年も、明智のあとを追って、チョコチョコと楽屋口に走りより、その中へ、すがたをけしました。
 楽屋口をはいって、階段を二つのぼったところに「村上時雄むらかみときお」と書いた木札のかかった部屋があります。明智がこの部屋のドアをあけると、中から、ひとりの俳優らしい青年が顔をだして、「おかえりなさい。」と、あいさつしました。
 明智探偵が、劇場の楽屋へ来たのに、「おかえりなさい。」とは、なんだか、へんなあいさつではありませんか。ところが、そのつぎには、もっと、ふしぎなことが、おこりました。
 明智は「村上時雄」の部屋にはいると、正面においてある鏡のまえに、ドッカと、あぐらをかいたのです。すると、さっきの青年が、うやうやしく、お茶をもってきます。明智はそのお茶をすすりながら、
「やっと、まにあったね。ぼくの出まで、何分ある?」
 とたずねます。
「あと十分です。」
「よし、服装はこのままでいいね。ちょっと、明智役の書きぬきを見せてくれ。すこし、せりふを、かえたいところがあるんだ。」
 といって、青年のさしだす脚本の書きぬきをうけとり、ねっしんに読みはじめました。
 読者諸君、これはいったい、どうしたことでしょう。名探偵、明智小五郎が、楽屋の鏡のまえにすわって、まるで役者のように、せりふの書きぬきを読んでいるのです。明智は、気でもちがったのでしょうか。
 いや、このなぞは、諸君が一度、世界劇場のおもてに、まわってみれば、すっかり、とけるのです。
 劇場の正面に、大きな看板が出ています。それには一メートル四方ほどの字で、
図
 と、書いてあります。つまり、世間をさわがせた「透明怪人」の事件を、芝居にしくんで、いま、この世界劇場で、上演しているのです。その看板の、横のほうには、
名探偵明智小五郎
透明怪人・二役主演
村上時雄
 と、大きく書いてあります。村上時雄というのは、この一座の主役俳優なのです。そして、その村上が、透明怪人と明智探偵を、はやがわりで演じるわけなのです。
 すると、いま楽屋にはいった明智探偵は、じつは村上時雄なのでしょうか。かれを出むかえた青年は村上の弟子らしいのですが、その弟子が、すこしも、うたがっていないところをみると、これはもう、明智の役にふんした村上に、ちがいありません。
 さあ、わからなくなってきました。拘置所をたずねて、四十面相に面会したのは、たしかに、この明智です。それが、じつは村上時雄という役者だったとすると、いったい、どういうことに、なるのでしょうか。
 さて、もう一度、楽屋のほうにもどります。明智探偵にふんした村上時雄は、書きぬきを読みおわると、鏡にむかって、ちょっと顔をなおしてから、ひとりで部屋を出て、うすぐらい廊下を、舞台へおりる階段のほうへ、歩いていきます。
 ところが、そのとき、みょうなことが、おこりました。見ると、村上の五メートルほどあとから、小さな人かげが、ソッと尾行びこうしているではありませんか。それは、さっきの自動車運転助手の、かわいらしい少年です。
 村上は、それともしらず、せまい階段を、トントンとおりていきます。少年は、かげのように、そのあとをつけるのです。そして、階段を半分ほどおりたとき、少年のふんだ階段の板が、ギーッと大きな音をたてました。少年はハッとして、立ちどまりましたが、さきにたつ村上は、べつに気づいたようすもありません。
 少年は、二度と音をたてないように、用心ぶかく階段をおりて、下の廊下に立ちました。そして、なおも尾行をつづけようとしていますと、そのとき、とつぜん、むこうをむいて歩いていた村上が、とつぜん、クルッと、こちらをむきました。
 逃げだすひまも、なにもありません。村上はパッと少年にとびかかって、いきなり、そのからだを、だきすくめてしまいました。
「さわぐんじゃない。大きな音をたてると、しめころしてしまうぞ。さあ、白状しろ、きさま、なにものだ。なぜ、おれのあとをつけるんだ。おやッ、きさま、さっきの自動車の助手だな。ハハア、すると、おれがここを出たときから、つけてたんだな。」
 明智のふんそうをした村上は、小声で、そんなことを言いながら、少年のからだをグイグイと、階段の下の暗やみの中へ、押していきます。少年は、されるままになって、ひとことも口をききません。
「フフン、わかったぞ。きさま、明智の助手の小林だな。顔にすみなどぬって、ごまかしているが、おれには、ちゃんとわかるんだ。明智のさしずで、おれのあとをつけたんだろう。きさま、それじゃあ、なにもかも知っているなッ。」
 村上は、いまにもくいつきそうな、おそろしい顔をして、少年をにらみつけました。
「知っているよ。」
 少年は、しずかな声で、はじめて、口をききました。
「フーン、それじゃあ、おれの正体もか。」
「そうだよ。きみは村上時雄じゃない。いま、拘置所から、脱獄してきたばかりの、二十面相、いや、四十面相だッ。」
 小林少年は、ズバリと、言ってのけました。
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