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怪奇四十面相-巨大的昆虫

时间: 2021-11-15    进入日语论坛
核心提示:巨大な昆虫 お話は、つぎの金曜日の夜にとびます。場所は博士邸、時間は午後八時すこしまえです。 博士邸の一階の、うす暗い、
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巨大な昆虫


 お話は、つぎの金曜日の夜にとびます。場所は博士邸、時間は午後八時すこしまえです。
 博士邸の一階の、うす暗い、ひろい廊下を、いっぴきの巨大な虫のようなものが、スーッとはっていくのが見えました。
 その虫は、カブトムシのように、黒くて、つやつやした、せなかをしているのですが、そのせなかには、エビのように、たくさんのふしがあるのです。まっ黒な、サソリといったほうが、よいかもしれません。
 しかし、そのものは、かたちは虫のようですが、大きさは、カブトムシの何万倍もあるのです。大きなイヌほどもある虫の化けものです。それが六本ではなくて、四本のあしで、ゴソゴソと、廊下のおくの、やみの中へ消えていったのです。そこには、地下室への階段があるはずです。
 うす暗い廊下は、そのまま、シーンとしずまりかえっていましたが、やがて、二階からの階段に人の足音がして、このまえの夜と同じような、黒マントで身をつつんだ人物が、廊下にあらわれ、地下室の階段のほうへ、ゆっくり、歩いていきました。主人の博士にちがいありません。黒マントの下にはれいの黄金骸骨のシャツを着ているのでしょう。
 まもなく、こんどは、玄関の扉のひらく音がして、同じ黒マントの人物が、そとからはいってきました。そして、かげのように、スーッと廊下を通り、地下室へと、おりていきました。まだ、もうひとり来るはずです。でないと、人数がそろいません。
 やがてほどなく、また玄関に音がして、第三の黒マントが、廊下にあらわれました。そして、地下室の階段のほうへ歩いていったのですが、とつぜん、廊下にならんでいる、ひとつのドアが、パッとひらき、そのまっ黒な部屋の中から、もうひとりの黒マントが、とびだしてきました。さきに地下室へおりたふたりとは、べつの人物です。つまり、第四の黒マントなのです。
 それを見ると、玄関からはいってきた黒マントは、びっくりして立ちどまり、
「やあ、おそくなって……。」
 と、言いかけましたが、あいては、ものをも言わず、いきなり、こちらへ、くみついてきました。
「だ、だれだ、きみは……。」
 さけぼうとしたときには、もう、あいてのてのひらが、口をふさいでいました。おそろしい無言の格闘です。ふたりのマントが、コウモリのはねのように、ひるがえり、その下から金色の骸骨の変装があらわれ、二ひきの骸骨が、くんずほぐれつの、あらそいをつづけたのです。
 しかし、それも、ちょっとのまでした。ドアからとびだしてきた第四の人物のほうが、たちまち、あいてをたおして、その上に馬のりになってしまったのです。そして、てばやく、大きなハンカチをまるめて、あいての口におしこみ、よういしていたなわをとりだして、身うごきもできないように、手あしをしばってしまいました。
 それから、勝ちほこった黒マントは、しばられたままにたおれている人物の足を、両手で持って、さっき出てきた、まっ暗な部屋の中へ、ズルズルとひきずりこみました。そして、ふたたび、廊下に出ると、ドアをピッタリしめて、なにくわぬ顔で、ゆっくりと地下室の階段へと歩いていくのでした。
 この第四の黒マントが、なにものであるか、読者諸君は、とっくにおわかりでしょうね。そうです、この男は怪人四十面相だったのです。かれは、骸骨のすがたをした人物のひとりに化けて、地下室の会合の、なかまいりをしようというのです。そして、なかの秘密を、さぐろうとしているのです。
 それにしても、いちばんさいしょ、地下室のほうへ消えていった、あの巨大な虫のような怪物は、いったい、なにものだったのでしょう。これも読者諸君には、だいたい、想像がついているかもしれませんね。
 いよいよ、奇々怪々の知恵くらべが、はじまろうとしているのです。「黄金どくろの秘密」をめぐって、希代(きだい)の怪人と、少年名探偵の、勝負がはじまろうとしているのです。

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