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地底の囚人

时间: 2023-09-13    进入日语论坛
核心提示:地底の囚人お話かわって、こちらは井上一郎君です。渋谷区のはずれの、神社の森の中で、カニじいさんのために、からだをけされて
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地底の囚人


お話かわって、こちらは井上一郎君です。渋谷区のはずれの、神社の森の中で、カニじいさんのために、からだをけされてしまった井上君は、あれから、R怪人のすみかに、つれていかれました。R怪人は、はやくも、東京のどこかへ、仮のすみかを、つくっていたのです。
「きみはにげだすことができない。からだがきえてしまったのだから、だれも、きみをみとめてくれないからだよ。それよりも、いいところへつれていってやろう。きみにはすこし、用事があるのだ。だが、しばらく目をかくすよ。そこへいく道をきみにしられたくないのでね。」
カニじいさんは、そういいながら、黒いきれで、井上君に目かくしをしてしまいました。
井上君は、もうかくごしています。むこうのいうままになって、R怪人の秘密をさぐってやろうと、けっしんしているのです。
目かくしをされたかとおもうと、スーッと、からだが、ちゅうにうきました。カニじいさんに、だきあげられたような気持です。
それから、なにか、いすみたいなものの上に、おろされましたが、いすそのものが、フワフワと、宙にういているのです。
それから三十分ほど、空中をただよっているようなかんじが、つづきましたが、やがて、それがピッタリとまると、またじいさんにだきあげられ、家の中にはいって、階段をのぼったり、くだったりしました。
あんなヨボヨボのじいさんが、からだの大きい井上君を、こんなにらくらくと、はこぶのは、へんですが、カニじいさんは、じつはR怪人がばけているのですから、井上君をはこぶぐらい、なんでもないことです。
「さあ、もう目かくしをとるよ。きみには、あとで、ゆっくりはなしたいことがあるんだ。しばらく、ここにまっていなさい。」
そういって、目かくしをはずすと、カニじいさんは、部屋をでて、ドアをしめ、外からカチンと、かぎをかけてしまいました。
窓のない、みょうな部屋です。てんじょうから小さな電球が一つさがっているだけで、うすぐらいのです。
井上君は、なんだか、めまいがするようなかんじでした。部屋ぜんたいが、モヤモヤと、ゆれうごいているのです。
部屋というよりも、壁です。四方の壁が、へんなぐあいに波うち、うごめいているのです。
R怪人の魔法にかかっているのでしょうか。
いや、そうではない。壁がうごくのに、なにかわけがありそうです。もっと壁のそばによって、たしかめてみなければなりません。
井上君は、右手の壁に、近よって、目をこらして、見つめました。
ウジャウジャと、うごめいています。なにか小さいものが、かずしれず、ひしめきあっているのです。
「あっ、カニだっ。」
そうです。それは何千びきのカニが、四方の壁いっぱいにはいまわり、ひしめきあっているのでした。
カニ怪人があらわれるときには、かならず、カニの大群が、まえぶれをつとめます。あのカニは、みんなここにかってあるのでしょうか。
そのとき、うしろのドアがサッとひらいて、何者かが、はいってきました。
井上君は、それに気づきましたが、こわくて、ふりむくことができません。壁をはいまわっているカニを、何万倍にしたような怪物がうしろに立っているにちがいないからです。
「アハハハ……、きみをここへつれてきた、カニじいさんだよ。そのカニじいさんが、もとの姿にかえったまでさ。」
しかたがないので、井上君は、おそるおそる、ふりむきました。ああ、やっぱりそうです。あのおそろしいカニのおばけが、そこにたちはだかっていたのです。
「きみは少年探偵団の井上一郎君だね。おれはちゃんとしっている。それで、きみをここにとじこめ、きみをおとりにして、ほかの少年探偵団員を、おびきよせようというわけなのさ。ハハハ……なぜかって? これには、ふかいわけがあるんだよ。
きみ、ポケットをさぐってごらん。B・Dバッジがなくなっているだろう。きみたちはいつも、二―三十個のB・Dバッジをポケットにいれている。それをぜんぶとりだして、このうちの門の前へ、ばらまいておいた。
わかるかね。そうして、きみのなかまを、ここにおびきよせるのさ。
小林団長がきてくれれば、おれは、じつにうれしいのだがね。ハハハハハハ……。」
ふしぎです。地球へやってきたばかりのR妖星人が、少年探偵団のことを、こんなにくわしく、しっているなんて、じつにふしぎです。
そして、少年探偵団員を、おびきよせるとは、いったい、どういうわけなのでしょう。なんのためなのでしょう。
「わかったかね。きみはもう、おれたちのなかまだ。からだをけされているんだから、うちへかえったって、だれもあいてにしてくれない。ここにいるのが、きみのためだよ。そのうちに、また、もとのからだにしてやるからね。」
井上君はふしぎでしかたがありません。妖星人が、どうして、こんなにうまく日本語がしゃべれるのでしょう。地球人とは、まったくちがった、知恵や力をもっているにしても、やっぱり、ふしぎというほかはないのです。
それから、井上君は、この、どこともしれぬあやしい家の中に、すむことになりました。
カニ怪人は十人ぐらいいるようでした。しょっちゅう、でたりはいったりしているので、はっきりした数はわかりませんが、だいたい十人ぐらいのようでした。
怪人たちは、なにをたべているのか、わかりませんが、井上君には、パンやミルクやコンビーフなどを、たべさせてくれました。そのうえ、やわらかいベッドのある、小さい部屋を、あてがってくれましたので、井上君は、なに不自由なく、暮らすことができたのです。
怪人たちは、なにかいそがしそうに、でたり、はいったりして、ときには、みんなでかけて、井上君ひとりになることもあります。
井上君は、そういうときを、まちかねて、怪人のすみかを、しらべました。
この家は二階だての西洋館で、地下室もあるし、十五ほどの部屋があることがわかりました。
井上君は、だれもいないとき、それらの部屋を、かたっぱしから、のぞいてまわりました。どの部屋にもベッドとたんすがありましたが、ある部屋には、ベッドもなにもなくて、大きな金庫が、ドッカリと、すえてあるのに、びっくりしました。カニ怪人が金庫をもっているなんて、まったく、おもいもよらないことでした。
それから、井上君は地下室へおりていきました。さいしょ、いれられた、カニの部屋は、この地下室にあるのです。
カニの部屋のほかには、ひろい物置部屋のようなものが、あるだけですが、そこにおいてあるがらくたものをしらべているうちに、ふと、みょうな音に気がつきました。
コツコツ、コツコツという、かすかな音です。
どこか、壁のむこうから、きこえてくるようです。
息をこらして、じっと、耳をすましました。
コツコツ、コツコツ。やっぱり、壁のむこうです。壁はレンガでできていました。どっかに、かくし戸でもあるのじゃないかと、井上君は、壁をなでまわしながら、おくのほうへすすんでいきました。
ある場所へいきますと、コツコツという音が、いままでより、はっきりきこえてきます。
「このへんが、あやしいぞ。」
と、おもって、手さぐりしていますと、レンガの一つが、グラグラと、うごきました。
「あっ、これだぞっ。」
と、指をかけて、ひっぱると、スルスルと、ぬけてくるではありませんか。
そのレンガを、ぬいてしまうと、おくに、かぎ穴が見えました。そこへ、かぎをさして、まわすと、レンガの壁が、ドアのように、ひらくのかもしれません。
しかし、かぎがなくては、どうすることもできないのです。
「よしっ。針金をさがすんだ。」
井上君は、ひとりごとをいいました。たいていの錠は、針金一本あれば、ひらくものです。井上君はそのやりかたを、しっていました。どろぼうのためではなくて、探偵のためにも、必要だからです。
物置きをさがしまわって、なにかをくくってあった針金を、ちぎってきました。そして、それを、いろいろにまげて、かぎ穴にさしこみ、なんども、やりなおしたあとで、とうとう、カチンと、手ごたえがありました。
錠がひらいたのです。
力をこめて、グッとおしますと、レンガの壁そのものが、ドアのように、スーッと、おくへ、ひらいていくのです。
そこは、小部屋でした。ひらいたかくし戸の穴から、物置部屋の電灯が、さしこむので、そこだけがあかるくなっています。
「だれかいるんですか。」
井上君が、よびかけますと、おくのくらやみの中から、
「ウ、ウ、ウ。」
と、気味のわるい声がきこえました。
井上君は、部屋の中へ、はいっていきました。
「だれです。こちらへ、でてきなさい。」
すると、くらやみの中で、ゴソゴソと音がして、何者かが、電灯の光の中へ、はいだしてきました。
「あっ、あなたは日本人ですね。」
「うん、日本人だ。きみも日本人の少年だね。カニのばけもののなかまではなさそうだね。」
それは、五十歳ぐらいの男のひとでした。
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