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壁から手が

时间: 2023-09-13    进入日语论坛
核心提示:壁から手が手錠をはめられた二十面相は、ふたりの警官にまもられて、護送自動車にのりこみました。四角な箱型で、出入り口のドア
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壁から手が


手錠をはめられた二十面相は、ふたりの警官にまもられて、護送自動車にのりこみました。四角な箱型で、出入り口のドアはうしろについています。あかりとりの小窓ばかりで、外をながめるような窓はありません。
片がわが、たてにながいいすになっています。ふつうの護送車は、両がわにいすがあるのに、これは片がわにしかありません。
ふたりの警官は見なれない護送車だとおもいましたが、運転席にはふたりの制服警官がのっていて警視庁の車にちがいないので、べつにあやしみもしません。二十面相をまんなかにはさんで、そこに腰をおろしました。
護送車が出発して、五分も走ったとおもうころ、おそろしいことがおこりました。
ふたりの警官が、腰かけているうしろの、窓のない鉄板てっぱんの壁から、ヌーッと四本の手が、あらわれたではありませんか。
鉄板の人間の首の高さぐらいのところに、よこにずっと、すきまができていて、ちょうつがいで、ふたがさがっているのです。そのふたを、なかのほうへ、もちあげて、ひらいたすきまから、四本の手が、ふたりの警官の首のあたりへのびてきたのです。
この護送車は、片がわの壁が、人間がかくれるほど、あつくできていたのです。そこにふたりの人間がかくれていて、すきまから、両手を出したのです。
二十面相をまもっている、ふたりの警官の首の両がわから、二本の手があらわれ、一方の手には、ハンカチのような白い布がにぎられていました。
あっとおもうまに、その白い布が、ふたりの警官の口に、おしつけられ、両手でグッと、おさえられました。
警官はおどろいて、その手をはねのけようとしましたが、おそろしい力でしめつけているので、どうすることもできません。口にあてられた白い布からは、なんともいえない、いやなにおいが、のどのおくへ、はいっていきます。そして、しばらくすると、スーッと気がとおくなっていきました。その布には麻酔剤が、しみこませてあったのです。
まもなく、ふたりの警官は、グッタリとなって、いすの上に、のびてしまいました。
「よし、もうだいじょうぶだ。このふたりをねかしたまま、車をどこかさびしいところにすてるんだ。そして、にげだすのだ。明智のやつ、いまごろは、あのかくし電話に気がついたかもしれない。そして東京じゅうの警察に、手配をしたのかもしれない。いつまでもこの車にのっていては、あぶないのだ。」
二十面相は、いすのうしろの壁の中にかくれている部下に、はなしかけながら、カチンと、手錠をはずしてしまいました。かれは手錠ぬけの名人なのです。
それから、いすの前にしゃがんで、クッションの下の、かくし戸をひらき、大きなひきだしを、ひっぱりだしました。
その中に変装の道具がはいっているのです。二十面相は、そこからかがみを出して、自分の顔をうつしながら、変装をはじめました。そして、六―七分のあいだに、ちがった服をきた、ちがった顔の、まったくべつの人間になってしまいました。
いままでは古山博士にばけていたのですが、こんどは六十ぐらいの老人にかわったのです。
そのとき、車はさびしい原っぱに、とまっていました。
「さあ、みんなおりるんだ。この車はすてておけばいい。そのうち、だれかがみつけて、このおまわりさんたちを、たすけてくれるだろう。」
老人にばけた二十面相は、うしろのドアをひらいて、外にとびおりました。運転台のふたりの部下が、とびだしてきました。このふたりとも、いつのまにか、警官の制服をぬいで、ジャンパー姿に、かわっていました。
そのあとから、秘密のかくれ場所をぬけだした、ふたりの部下がおりてきました。このふたりもジャンパーをきています。そして二十面相と四人の部下は、暗い原っぱをよこぎり、どこともしれず、たちさってしまいました。
明智探偵はみごとに二十面相の秘密をあばきました。そして、かれをとらえたのですが、二十面相は、いつものように、さいごのおくの手を用意していました。にせ護送車のおくの手です。
明智は、かくし電話の発見から、にせ護送車にもすぐ気がつき、いそいで手配をしたのですが、とうとうまにあいませんでした。二十面相はにせ護送車を、おしげもなくすてて、にげだしてしまったからです。
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