祝勝会で学校はお休みだ。
おれが組と組の間にはいって行くと、
こう考えて、いやいや、
中学と師範とはどこの県下でも犬と
祝勝の式はすこぶる簡単なものであった。旅団長が祝詞を読む、知事が祝詞を読む、参列者が
おれは筆と巻紙を
庭は
おれが蜜柑の事を考えているところへ、
山嵐は
「あいつは、ふた言目には品性だの、精神的
「うん、あの野郎の考えじゃ芸者買は精神的娯楽で、天麩羅や、団子は物理的娯楽なんだろう。精神的娯楽なら、もっと大べらにやるがいい。何だあの
「湯島のかげまた何だ」
「何でも男らしくないもんだろう。――君そこのところはまだ煮えていないぜ。そんなのを食うと
「そうか、
「角屋って、あの宿屋か」
「宿屋兼料理屋さ。だからあいつを一番へこますためには、あいつが芸者をつれて、あすこへはいり込むところを見届けておいて
「見届けるって、
「うん、角屋の前に
「見ているときに来るかい」
「来るだろう。どうせひと晩じゃいけない。二週間ばかりやるつもりでなくっちゃ」
「
「少しぐらい身体が疲れたって構わんさ。あんな
「
「まだ枡屋に
「それじゃ、いつから始めるつもりだい」
「近々のうちやるさ。いずれ君に報知をするから、そうしたら、加勢してくれたまえ」
「よろしい、いつでも加勢する。
おれと山嵐がしきりに赤シャツ退治の
会場へはいると、
舞台とは反対の方面で、しきりに花火を揚げる。花火の中から風船が出た。
式の時はさほどでもなかったが、今度は大変な人出だ。田舎にもこんなに人間が住んでるかと
いかめしい
歌はすこぶる
おれと山嵐が感心のあまりこの踴を余念なく見物していると、半町ばかり、向うの方で急にわっと云う鬨の声がして、今まで
山嵐は世話の焼ける小僧だまた始めたのか、いい加減にすればいいのにと逃げる人を
ひゅうと風を切って飛んで来た石が、いきなりおれの
山嵐はどうしたかと見ると、
巡査は十五六名来たのだが、生徒は反対の方面から退却したので、