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教育と文芸(2)

时间: 2021-01-30    进入日语论坛
核心提示: さて当時は理想を目前に置き、自分の理想を実現しようと一種の感激を前に置いてやるから、一種の感激教育となりまして、知の方
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 さて当時は理想を目前に置き、自分の理想を実現しようと一種の感激を前に置いてやるから、一種の感激教育となりまして、知の方は主でなく、インスピレーションともいうような情緒(じょうしょ)の教育でありました。なんでも出来ると思う、精神一到(せいしんいっとう)何事(なにごとか)不成(ならざらん)というような事を、事実と思っている。意気天を()く。怒髪(どはつ)天をつく。(へい)として日月(じつげつ)云々(うんぬん)という如き、こういう(ことば)を古人は(さかん)に用いた。感激的というのはこんな有様(ありさま)で情緒的教育でありましたから一般の人の生活状態も、エモーショナルで努力主義でありました。そういう教育を受ける者は、前のような有様でありますが社会は如何(どう)かというと、非常に厳格で少しのあやまちも許さぬというようになり、少しく申訳がなければ坊主(ぼうず)となり切腹するという感激主義であった、即ち社会の本能からそういうことになったもので、大体よりこれが日本の主眼とする所でありました、それが明治になって非常に(ことな)ってきました。
 四十余年間の歴史を見ると、昔は理想から出立(しゅったつ)した教育が、今は事実から出発する教育に変化しつつあるのであります、事実から出発する方は、理想はあるけれども実行は出来ぬ、概念的の精神に依って人は成立する者でない、人間は表裏(ひょうり)のあるものであるとして、社会も(おのれ)も教育するのであります。昔は(こう)でも()でも何でも皆孝で押し通したものであるが今は一面に孝があれば他面に不孝があるものとしてやって行く。即ち昔は一元的、今は二元的である、すべて孝で貫き忠で貫く事はできぬ。これは想像の結果である。昔の感激主義に対して今の教育はそれを失わする教育である、西洋では(まよい)より覚めるという、日本では意味が違うが、まあディスイリュージョン、さめる、というのであります。なぜ昔はそんな風であったか。話は余談に入るが、独逸(ドイツ)の哲学者が概念を作って定義を作ったのであります。しかし巡査の概念として白い服を着てサーベルをさしているときめると一面には巡査が和服で兵児帯(へこおび)のこともあるから概念できめてしまうと窮屈になる。定義できめてしまっては世の中の事がわからなくなると仏国(ふつこく)の学者はいうている。
 物は常に変化して行く、世の中の事は常に変化する、それで孔子という概念をきめてこれを理想としてやって来たものが後にこれが間違であったということを(さと)るというような場合も出来て来る。こういう変化はなぜ起ったか、これは物理化学博物(はくぶつ)などの科学が進歩して物をよく見て、研究して見る。こういう科学的精神を、社会にも応用して来る。また階級もなくなる交通も便利になる、こういう色々な事情からついに今日の如き思想に変化して来たのであります。
 道徳上の事で、古人の少しもゆるさなかったことを、今の人はよほど許容する、我儘(わがまま)をも許す、社会がゆるやかになる、畢竟(ひっきょう)道徳的価値の変化という事が出来て来た。即ち自分というものを発揮してそれで短所欠点(ことごと)くあらわす事をなんとも思わない。そして無理の事がなくなる。昔は負惜(まけおし)みをしたものだ、残酷な事も忍んだものだ。今はそれが段々なくなって、自分の弱点をそれほど恐れずに世の中に出す事を何とも思わない。それで(いにしえ)の人の(へい)はどんな事かというと、多少(いつわり)の点がありました。今の人は正直で自分を偽らずに現わす、こういう風で寛容的精神が発達して来た。しこうして社会もまたこれを()れて来たのであります。昔は一遍(いっぺん)社会から(ほうむ)られた者は、容易に恢復する事が出来なかったが、今日では人の噂も七十五日という如く寛大となったのであります。社会の制裁が(ゆる)んだというかも知れませんが一方からいいましたならば、事実にそういう欠点のあり得る事を二元的に認めて、これに寛容的の態度を示したのであります。畢竟(ひっきょう)無理がなくなり、概念の束縛がなくなり、事実が現われたのであります。昔スパルタの教育に、狐を隠してその狐が自分の(はらわた)をえぐり出しても、なお黙っていたということがあるが、今はそういう痩我慢(やせがまん)はなくなったのである。現今の教育の結果は自分の特点をも露骨に正直に人の前に現わす事を非常なる恥辱(ちじょく)とはしないのであります。これは事実という第一の物が一元的でないという事を(あらかじ)め許すからである。私の家へよく若い者が訪ねて参りますがその学生が帰って手紙を寄こす。その中にあなたの家を訪ねた時に思いきって這入(はい)ろうかイヤ這入るまいかと暫く躊躇(ちゅうちょ)した、なるべくならお留守であればよい、更に逢わぬといってくれれば()いと思ったというような露骨な事が書いてある。昔私らの書生の頃には、人を訪問していなければ可いがと思うてもそういう事をその人の前に告白するような正直な実際的な事はしなかったものである。痩我慢をして実は堂々たるものの如く(よそお)って人の前にもこれを吹聴(ふいちょう)したのである。感激的教育概念に(とらわ)れたる薫化(くんか)がこういう不正直な痩我慢的な人間を作り出したのである。

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