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草枕 一 (1)

时间: 2021-01-30    进入日语论坛
核心提示:一 山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。 智(ち)に働けば角(かど)が立つ。情(じょう)に棹(さお)させば流される。意地を通
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 山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。
 ()に働けば(かど)が立つ。(じょう)(さお)させば流される。意地を(とお)せば窮屈(きゅうくつ)だ。とかくに人の世は住みにくい。
 住みにくさが(こう)じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと(さと)った時、詩が生れて、()が出来る。
 人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣(りょうどな)りにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
 越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容(くつろげ)て、(つか)()の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が(くだ)る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが(ゆえ)(たっ)とい。
 住みにくき世から、住みにくき(わずら)いを引き抜いて、ありがたい世界をまのあたりに写すのが詩である、()である。あるは音楽と彫刻である。こまかに()えば写さないでもよい。ただまのあたりに見れば、そこに詩も生き、歌も()く。着想を紙に落さぬとも(きゅうそう)(おん)胸裏(きょうり)(おこ)る。丹青(たんせい)画架(がか)に向って塗抹(とまつ)せんでも五彩(ごさい)絢爛(けんらん)(おのず)から心眼(しんがん)に映る。ただおのが住む世を、かく(かん)じ得て、霊台方寸(れいだいほうすん)のカメラに澆季溷濁(ぎょうきこんだく)の俗界を清くうららかに収め()れば()る。この故に無声(むせい)の詩人には一句なく、無色(むしょく)の画家には(せっけん)なきも、かく人世(じんせい)を観じ得るの点において、かく煩悩(ぼんのう)解脱(げだつ)するの点において、かく清浄界(しょうじょうかい)出入(しゅつにゅう)し得るの点において、またこの不同不二(ふどうふじ)乾坤(けんこん)建立(こんりゅう)し得るの点において、我利私慾(がりしよく)覊絆(きはん)掃蕩(そうとう)するの点において、――千金(せんきん)の子よりも、万乗(ばんじょう)の君よりも、あらゆる俗界の寵児(ちょうじ)よりも幸福である。
 世に住むこと二十年にして、住むに甲斐(かい)ある世と知った。二十五年にして明暗は表裏(ひょうり)のごとく、日のあたる所にはきっと影がさすと悟った。三十の今日(こんにち)はこう思うている。――喜びの深きとき(うれい)いよいよ深く、(たのし)みの大いなるほど苦しみも大きい。これを切り放そうとすると身が持てぬ。(かた)づけようとすれば世が立たぬ。金は大事だ、大事なものが()えれば()()も心配だろう。恋はうれしい、嬉しい恋が積もれば、恋をせぬ昔がかえって恋しかろ。閣僚の肩は数百万人の足を(ささ)えている。背中(せなか)には重い天下がおぶさっている。うまい物も食わねば惜しい。少し食えば()()らぬ。存分食えばあとが不愉快だ。……
 ()(かんがえ)がここまで漂流して来た時に、余の右足(うそく)は突然(すわ)りのわるい角石(かくいし)(はし)を踏み()くなった。平衡(へいこう)を保つために、すわやと前に飛び出した左足(さそく)が、仕損(しそん)じの()(あわ)せをすると共に、余の腰は具合よく(ほう)三尺ほどな岩の上に()りた。肩にかけた絵の具箱が(わき)の下から(おど)り出しただけで、幸いと(なん)の事もなかった。
 立ち上がる時に向うを見ると、(みち)から左の方にバケツを伏せたような峰が(そび)えている。杉か(ひのき)か分からないが根元(ねもと)から(いただ)きまでことごとく蒼黒(あおぐろ)い中に、山桜が薄赤くだんだらに棚引(たなび)いて、()()(しか)と見えぬくらい(もや)が濃い。少し手前に禿山(はげやま)が一つ、(ぐん)をぬきんでて(まゆ)(せま)る。禿()げた側面は巨人の(おの)(けず)り去ったか、鋭どき平面をやけに谷の底に(うず)めている。天辺(てっぺん)に一本見えるのは赤松だろう。枝の間の空さえ判然(はっきり)している。行く手は二丁ほどで切れているが、高い所から赤い毛布(けっと)が動いて来るのを見ると、登ればあすこへ出るのだろう。路はすこぶる難義(なんぎ)だ。
 土をならすだけならさほど手間(てま)()るまいが、土の中には大きな石がある。土は(たい)らにしても石は平らにならぬ。石は切り砕いても、岩は始末がつかぬ。掘崩(ほりくず)した土の上に悠然(ゆうぜん)(そばだ)って、吾らのために道を譲る景色(けしき)はない。向うで聞かぬ上は乗り越すか、廻らなければならん。(いわ)のない所でさえ()るきよくはない。左右が高くって、中心が(くぼ)んで、まるで一間(はば)を三角に穿()って、その頂点が真中(まんなか)(つらぬ)いていると評してもよい。路を行くと云わんより川底を(わた)ると云う方が適当だ。(もと)より急ぐ旅でないから、ぶらぶらと七曲(ななまが)りへかかる。

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