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草枕 三 (1)

时间: 2021-02-07    进入日语论坛
核心提示: 昨夕(ゆうべ)は妙な気持ちがした。 宿へ着いたのは夜の八時頃であったから、家の具合(ぐあい)庭の作り方は無論、東西の区別さ
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 昨夕(ゆうべ)は妙な気持ちがした。
 宿へ着いたのは夜の八時頃であったから、家の具合(ぐあい)庭の作り方は無論、東西の区別さえわからなかった。何だか廻廊のような所をしきりに引き廻されて、しまいに六畳ほどの小さな座敷へ入れられた。(むか)し来た時とはまるで見当が違う。晩餐(ばんさん)を済まして、湯に()って、(へや)へ帰って茶を飲んでいると、小女(こおんな)が来て(とこ)()べよかと()う。
 不思議に思ったのは、宿へ着いた時の取次も、晩食(ばんめし)の給仕も、湯壺(ゆつぼ)への案内も、床を敷く面倒も、ことごとくこの小女一人で弁じている。それで口は滅多(めった)にきかぬ。と云うて、田舎染(いなかじ)みてもおらぬ。赤い帯を色気(いろけ)なく結んで、古風な紙燭(しそく)をつけて、廊下のような、梯子段(はしごだん)のような所をぐるぐる廻わらされた時、同じ帯の同じ紙燭で、同じ廊下とも階段ともつかぬ所を、何度も()りて、湯壺へ連れて行かれた時は、すでに自分ながら、カンヴァスの中を往来しているような気がした。
 給仕の時には、近頃は客がないので、ほかの座敷は掃除がしてないから、普段(ふだん)使っている部屋で我慢してくれと云った。床を延べる時にはゆるりと御休みと人間らしい、言葉を述べて、出て行ったが、その足音が、例の曲りくねった廊下を、次第に下の方へ(とおざ)かった時に、あとがひっそりとして、人の()がしないのが気になった。
 生れてから、こんな経験はただ一度しかない。昔し房州(ぼうしゅう)館山(たてやま)から向うへ突き抜けて、上総(かずさ)から銚子(ちょうし)まで浜伝いに歩行(あるい)た事がある。その時ある晩、ある所へ宿(とまっ)た。ある所と云うよりほかに言いようがない。今では土地の名も宿の名も、まるで忘れてしまった。第一宿屋へとまったのかが問題である。(むね)の高い大きな家に女がたった二人いた。余がとめるかと聞いたとき、年を取った方がはいと云って、若い方がこちらへと案内をするから、ついて行くと、荒れ果てた、広い()をいくつも通り越して一番奥の、中二階(ちゅうにかい)へ案内をした。三段登って廊下から部屋へ這入(はい)ろうとすると、板庇(いたびさし)の下に(かたむ)きかけていた一叢(ひとむら)修竹(しゅうちく)が、そよりと夕風を受けて、余の肩から頭を()でたので、すでにひやりとした。椽板(えんいた)はすでに()ちかかっている。来年は(たけのこ)が椽を突き抜いて座敷のなかは竹だらけになろうと云ったら、若い女が何にも云わずににやにやと笑って、出て行った。
 その晩は例の竹が、枕元で婆娑(ばさ)ついて、寝られない。障子(しょうじ)をあけたら、庭は一面の草原で、夏の夜の月明(つきあきら)かなるに、眼を()しらせると、垣も(へい)もあらばこそ、まともに大きな草山に続いている。草山の向うはすぐ大海原(おおうなばら)でどどんどどんと大きな(なみ)が人の世を威嚇(おどか)しに来る。余はとうとう夜の明けるまで一睡もせずに、怪し気な蚊帳(かや)のうちに辛防(しんぼう)しながら、まるで草双紙(くさぞうし)にでもありそうな事だと考えた。
 その()旅もいろいろしたが、こんな気持になった事は、今夜この那古井へ宿るまではかつて無かった。
 仰向(あおむけ)に寝ながら、偶然目を()けて見ると欄間(らんま)に、朱塗(しゅぬ)りの(ふち)をとった(がく)がかかっている。文字(もじ)は寝ながらも竹影(ちくえい)払階(かいをはらって)塵不動(ちりうごかず)と明らかに読まれる。大徹(だいてつ)という落款(らっかん)もたしかに見える。余は書においては皆無鑒識(かいむかんしき)のない男だが、平生から、黄檗(おうばく)高泉和尚(こうせんおしょう)筆致(ひっち)を愛している。隠元(いんげん)即非(そくひ)木庵(もくあん)もそれぞれに面白味はあるが、高泉(こうせん)の字が一番蒼勁(そうけい)でしかも雅馴(がじゅん)である。今この七字を見ると、筆のあたりから手の運び具合、どうしても高泉としか思われない。しかし(げん)に大徹とあるからには別人だろう。ことによると黄檗に大徹という坊主がいたかも知れぬ。それにしては紙の色が非常に新しい。どうしても昨今のものとしか受け取れない。
 横を向く。(とこ)にかかっている若冲(じゃくちゅう)の鶴の図が目につく。これは商売柄(しょうばいがら)だけに、部屋に這入(はい)った時、すでに逸品(いっぴん)と認めた。若冲の図は大抵精緻(せいち)な彩色ものが多いが、この鶴は世間に気兼(きがね)なしの一筆(ひとふで)がきで、一本足ですらりと立った上に、卵形(たまごなり)の胴がふわっと(のっ)かっている様子は、はなはだ吾意(わがい)を得て、飄逸(ひょういつ)(おもむき)は、長い(はし)のさきまで(こも)っている。床の隣りは違い棚を略して、普通の戸棚につづく。戸棚の中には何があるか分らない。

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