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草枕 四(2)

时间: 2021-02-07    进入日语论坛
核心提示: 家は随分広いが、向う二階の一間と、余が欄干に添うて、右へ折れた一間のほかは、居室(いま)台所は知らず、客間と名がつきそう
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 家は随分広いが、向う二階の一間と、余が欄干に添うて、右へ折れた一間のほかは、居室(いま)台所は知らず、客間と名がつきそうなのは大抵(たいてい)立て切ってある。客は、余をのぞくのほかほとんど皆無(かいむ)なのだろう。(しめ)た部屋は昼も雨戸(あまど)をあけず、あけた以上は夜も()てぬらしい。これでは表の戸締りさえ、するかしないか解らん。非人情の旅にはもって来いと云う屈強(くっきょう)な場所だ。
 時計は十二時近くなったが(めし)を食わせる景色はさらにない。ようやく空腹を覚えて来たが、空山(くうざん)不見人(ひとをみず)と云う詩中にあると思うと、一とかたげぐらい倹約しても遺憾(いかん)はない。()をかくのも面倒だ、俳句は作らんでもすでに俳三昧(はいざんまい)に入っているから、作るだけ野暮(やぼ)だ。読もうと思って三脚几(さんきゃくき)(くく)りつけて来た二三冊の書籍もほどく気にならん。こうやって、煦々(くく)たる春日(しゅんじつ)背中(せなか)をあぶって、椽側(えんがわ)に花の影と共に寝ころんでいるのが、天下の至楽(しらく)である。考えれば外道(げどう)()ちる。動くと危ない。出来るならば鼻から呼吸(いき)もしたくない。畳から根の生えた植物のようにじっとして二週間ばかり暮して見たい。
 やがて、廊下に足音がして、段々下から誰か(あが)ってくる。近づくのを聞いていると、二人らしい。それが部屋の前でとまったなと思ったら、一人は(なん)にも云わず、元の方へ引き返す。(ふすま)があいたから、今朝の人と思ったら、やはり昨夜(ゆうべ)小女郎(こじょろう)である。何だか物足らぬ。
「遅くなりました」と(ぜん)()える。朝食(あさめし)の言訳も何にも言わぬ。焼肴(やきざかな)に青いものをあしらって、(わん)(ふた)をとれば早蕨(さわらび)の中に、紅白に染め抜かれた、海老(えび)を沈ませてある。ああ好い色だと思って、椀の中を(なが)めていた。
御嫌(おきら)いか」と下女が聞く。
「いいや、今に食う」と云ったが実際食うのは惜しい気がした。ターナーがある晩餐(ばんさん)の席で、皿に()るサラドを見詰めながら、涼しい色だ、これがわしの用いる色だと(かたわら)の人に話したと云う逸事をある書物で読んだ事があるが、この海老と蕨の色をちょっとターナーに見せてやりたい。いったい西洋の食物で色のいいものは一つもない。あればサラドと赤大根ぐらいなものだ。滋養の点から云ったらどうか知らんが、画家から見るとすこぶる発達せん料理である。そこへ行くと日本の献立(こんだて)は、吸物(すいもの)でも、口取でも、刺身(さしみ)でも物奇麗(ものぎれい)に出来る。会席膳(かいせきぜん)を前へ置いて、一箸(ひとはし)も着けずに、眺めたまま帰っても、目の保養から云えば、御茶屋へ上がった甲斐(かい)は充分ある。
「うちに若い女の人がいるだろう」と椀を置きながら、質問をかけた。
「へえ」
「ありゃ何だい」
「若い奥様でござんす」
「あのほかにまだ年寄の奥様がいるのかい」
「去年御亡(おな)くなりました」
「旦那さんは」
「おります。旦那さんの娘さんでござんす」
「あの若い人がかい」
「へえ」
「御客はいるかい」
「おりません」
「わたし一人かい」
「へえ」
「若い奥さんは毎日何をしているかい」
「針仕事を……」
「それから」
三味(しゃみ)()きます」
 これは意外であった。面白いからまた
「それから」と聞いて見た。
「御寺へ行きます」と小女郎(こじょろう)が云う。
 これはまた意外である。御寺と三味線は妙だ。
「御寺(まい)りをするのかい」
「いいえ、和尚様(おしょうさま)の所へ行きます」
「和尚さんが三味線でも習うのかい」
「いいえ」
「じゃ何をしに行くのだい」
大徹様(だいてつさま)の所へ行きます」
 なあるほど、大徹と云うのはこの額を書いた男に相違ない。この句から察すると何でも禅坊主(ぜんぼうず)らしい。戸棚に遠良天釜(おらてがま)があったのは、全くあの女の所持品だろう。

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