日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 夏目漱石 » 正文

草枕 四(4)

时间: 2021-02-07    进入日语论坛
核心提示: 茶と聞いて少し辟易(へきえき)した。世間に茶人(ちゃじん)ほどもったいぶった風流人はない。広い詩界をわざとらしく窮屈に縄張
(单词翻译:双击或拖选)

 茶と聞いて少し辟易(へきえき)した。世間に茶人(ちゃじん)ほどもったいぶった風流人はない。広い詩界をわざとらしく窮屈に縄張(なわば)りをして、(きわ)めて自尊的に、極めてことさらに、極めてせせこましく、必要もないのに鞠躬如(きくきゅうじょ)として、あぶくを飲んで結構がるものはいわゆる茶人である。あんな煩瑣(はんさ)な規則のうちに雅味があるなら、麻布(あざぶ)聯隊(れんたい)のなかは雅味で鼻がつかえるだろう。廻れ右、前への連中はことごとく大茶人でなくてはならぬ。あれは商人とか町人とか、まるで趣味の教育のない連中が、どうするのが風流か見当がつかぬところから、器械的に利休(りきゅう)以後の規則を鵜呑(うの)みにして、これでおおかた風流なんだろう、とかえって真の風流人を馬鹿にするための芸である。
「御茶って、あの流儀のある茶ですかな」
「いいえ、流儀も何もありゃしません。御厭(おいや)なら飲まなくってもいい御茶です」
「そんなら、ついでに飲んでもいいですよ」
「ほほほほ。父は道具を人に見ていただくのが大好きなんですから……」
()めなくっちゃあ、いけませんか」
「年寄りだから、褒めてやれば、嬉しがりますよ」
「へえ、少しなら褒めて置きましょう」
「負けて、たくさん御褒めなさい」
「はははは、時にあなたの言葉は田舎(いなか)じゃない」
「人間は田舎なんですか」
「人間は田舎の方がいいのです」
「それじゃ(はば)()きます」
「しかし東京にいた事がありましょう」
「ええ、いました、京都にもいました。渡りものですから、方々にいました」
「ここと都と、どっちがいいですか」
「同じ事ですわ」
「こう云う静かな所が、かえって気楽でしょう」
「気楽も、気楽でないも、世の中は気の持ちよう一つでどうでもなります。(のみ)の国が(いや)になったって、()の国へ引越(ひっこ)しちゃ、(なん)にもなりません」
「蚤も蚊もいない国へ行ったら、いいでしょう」
「そんな国があるなら、ここへ出して御覧なさい。さあ出してちょうだい」と女は()め寄せる。
「御望みなら、出して上げましょう」と例の写生帖をとって、女が馬へ乗って、山桜を見ている心持ち――無論とっさの筆使いだから、()にはならない。ただ心持ちだけをさらさらと書いて、
「さあ、この中へ御這入(おはい)りなさい。蚤も蚊もいません」と鼻の(さき)へ突きつけた。驚くか、恥ずかしがるか、この様子では、よもや、苦しがる事はなかろうと思って、ちょっと景色(けしき)(うかが)うと、
「まあ、窮屈(きゅうくつ)な世界だこと、横幅(よこはば)ばかりじゃありませんか。そんな所が御好きなの、まるで(かに)ね」と云って退()けた。余は
「わはははは」と笑う。軒端(のきば)に近く、()きかけた(うぐいす)が、中途で声を(くず)して、遠き(かた)へ枝移りをやる。両人(ふたり)はわざと対話をやめて、しばらく耳を(そばだ)てたが、いったん鳴き(そこ)ねた咽喉(のど)は容易に()けぬ。
昨日(きのう)は山で源兵衛に御逢(おあ)いでしたろう」
「ええ」
長良(ながら)乙女(おとめ)五輪塔(ごりんのとう)を見ていらしったか」
「ええ」
「あきづけば、をばなが上に置く露の、けぬべくもわは、おもほゆるかも」と説明もなく、女はすらりと節もつけずに歌だけ述べた。何のためか知らぬ。
「その歌はね、茶店で聞きましたよ」
「婆さんが教えましたか。あれはもと私のうちへ奉公したもので、私がまだ嫁に……」と云いかけて、これはと()の顔を見たから、余は知らぬ(ふう)をしていた。
「私がまだ若い時分でしたが、あれが来るたびに長良の話をして聞かせてやりました。うただけはなかなか覚えなかったのですが、何遍も()くうちに、とうとう何もかも諳誦(あんしょう)してしまいました」
「どうれで、むずかしい事を知ってると思った。――しかしあの歌は(あわ)れな歌ですね」
「憐れでしょうか。私ならあんな歌は()みませんね。第一、淵川(ふちかわ)へ身を投げるなんて、つまらないじゃありませんか」
「なるほどつまらないですね。あなたならどうしますか」
「どうするって、訳ないじゃありませんか。ささだ男もささべ男も、男妾(おとこめかけ)にするばかりですわ」
「両方ともですか」
「ええ」
「えらいな」
「えらかあない、当り前ですわ」
「なるほどそれじゃ蚊の国へも、蚤の国へも、飛び込まずに済む訳だ」
「蟹のような思いをしなくっても、生きていられるでしょう」
 ほーう、ほけきょうと忘れかけた(うぐいす)が、いつ(いきおい)を盛り返してか、時ならぬ高音(たかね)を不意に張った。一度立て直すと、あとは自然に出ると見える。身を(さかし)まにして、ふくらむ咽喉(のど)の底を(ふる)わして、小さき口の張り裂くるばかりに、
 ほーう、ほけきょーう。ほーー、ほけっーきょうーと、つづけ(さま)(さえ)ずる。
「あれが本当の歌です」と女が余に教えた。

轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: