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草枕 六(1)

时间: 2021-02-07    进入日语论坛
核心提示: 夕暮の机に向う。障子も襖ふすまも開あけ放はなつ。宿の人は多くもあらぬ上に、家は割合に広い。余が住む部屋は、多くもあらぬ
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  夕暮の机に向う。障子もふすまはなつ。宿の人は多くもあらぬ上に、家は割合に広い。余が住む部屋は、多くもあらぬ人の、人らしく振舞ふるまきょうを、幾曲いくまがりの廊下に隔てたれば、物の音さえ思索のわずらいにはならぬ。今日は一層ひとしお静かである。主人も、娘も、下女も下男も、知らぬに、われを残して、立ち退いたかと思われる。立ち退いたとすればただの所へ立ち退きはせぬ。かすみの国か、雲の国かであろう。あるいは雲と水が自然に近づいて、かじをとるさえものうき海の上を、いつ流れたとも心づかぬ間に、白い帆が雲とも水とも見分け難きさかいただよい来て、ては帆みずからが、いずこにおのれを雲と水より差別すべきかを苦しむあたりへ――そんなはるかな所へ立ち退いたと思われる。それでなければ卒然と春のなかに消え失せて、これまでの四大しだいが、今頃は目に見えぬ霊氛れいふんとなって、広い天地の間に、顕微鏡けんびきょうの力をるとも、名残なごりとどめぬようになったのであろう。あるいは雲雀ひばりに化して、の花のを鳴き尽したるのち、夕暮深き紫のたなびくほとりへ行ったかも知れぬ。または永き日を、かつ永くするあぶのつとめを果したる後、ずいる甘き露を吸いそこねて、落椿おちつばきの下に、伏せられながら、世をかんばしく眠っているかも知れぬ。とにかく静かなものだ。

 (むな)しき家を、空しく抜ける春風(はるかぜ)の、抜けて行くは迎える人への義理でもない。(こば)むものへの面当(つらあて)でもない。(おのず)から(きた)りて、自から去る、公平なる宇宙の(こころ)である。(たなごころ)(あご)(ささ)えたる余の心も、わが住む部屋のごとく(むな)しければ、春風は招かぬに、遠慮もなく行き抜けるであろう。
 踏むは地と思えばこそ、裂けはせぬかとの気遣(きづかい)(おこ)る。(いただ)くは天と知る故に、稲妻(いなずま)米噛(こめかみ)(ふる)(おそれ)も出来る。人と(あらそ)わねば一分(いちぶん)が立たぬと浮世が催促するから、火宅(かたく)()は免かれぬ。東西のある乾坤(けんこん)に住んで、利害の綱を渡らねばならぬ身には、事実の恋は(あだ)である。目に見る富は土である。握る名と奪える(ほまれ)とは、小賢(こざ)かしき(はち)が甘く(かも)すと見せて、針を()て去る蜜のごときものであろう。いわゆる(たのしみ)は物に(ちゃく)するより起るが(ゆえ)に、あらゆる苦しみを含む。ただ詩人と画客(がかく)なるものあって、()くまでこの待対(たいたい)世界の精華を()んで、徹骨徹髄(てっこつてつずい)の清きを知る。(かすみ)(さん)し、露を()み、()(ひん)し、(こう)(ひょう)して、死に至って悔いぬ。彼らの楽は物に(ちゃく)するのではない。同化してその物になるのである。その物になり済ました時に、我を樹立すべき余地は茫々(ぼうぼう)たる大地を(きわ)めても見出(みいだ)し得ぬ。自在(じざい)泥団(でいだん)放下(ほうげ)して、破笠裏(はりつり)無限(むげん)青嵐(せいらん)()る。いたずらにこの境遇を拈出(ねんしゅつ)するのは、(あえ)市井(しせい)銅臭児(どうしゅうじ)鬼嚇(きかく)して、好んで高く標置(ひょうち)するがためではない。ただ這裏(しゃり)福音(ふくいん)を述べて、縁ある衆生(しゅじょう)(さしまね)くのみである。有体(ありてい)に云えば詩境と云い、画界と云うも皆人々具足(にんにんぐそく)の道である。春秋(しゅんじゅう)に指を折り尽して、白頭(はくとう)呻吟(しんぎん)するの()といえども、一生を回顧して、閲歴の波動を順次に点検し来るとき、かつては微光の臭骸(しゅうがい)()れて、(われ)を忘れし、拍手(はくしゅ)(きょう)()び起す事が出来よう。出来ぬと云わば生甲斐(いきがい)のない男である。
 されど一事(いちじ)(そく)し、一物(いちぶつ)()するのみが詩人の感興とは云わぬ。ある時は一弁(いちべん)の花に化し、あるときは一双(いっそう)(ちょう)に化し、あるはウォーヅウォースのごとく、一団の水仙に化して、心を沢風(たくふう)(うち)撩乱(りょうらん)せしむる事もあろうが、(なん)とも知れぬ四辺(しへん)の風光にわが心を奪われて、わが心を奪えるは那物(なにもの)ぞとも明瞭(めいりょう)に意識せぬ場合がある。ある人は天地の耿気(こうき)に触るると云うだろう。ある人は無絃(むげん)(きん)霊台(れいだい)に聴くと云うだろう。またある人は知りがたく、解しがたき故に無限の域にして、縹緲(ひょうびょう)のちまたに彷徨(ほうこう)すると形容するかも知れぬ。何と云うも皆その人の自由である。わが、唐木(からき)の机に()りてぽかんとした心裡(しんり)の状態は(まさ)にこれである。
 余は(あきら)かに何事をも考えておらぬ。またはたしかに何物をも見ておらぬ。わが意識の舞台に著るしき色彩をもって動くものがないから、われはいかなる事物に同化したとも云えぬ。されども吾は動いている。世の中に動いてもおらぬ、世の外にも動いておらぬ。ただ何となく動いている。花に動くにもあらず、鳥に動くにもあらず、人間に対して動くにもあらず、ただ恍惚(こうこつ)と動いている。

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