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草枕 十二(7)

时间: 2021-03-09    进入日语论坛
核心提示: 余はこの物騒(ぶっそう)な男から、ついに吾眼をはなす事ができなかった。別に恐しいでもない、また画(え)にしようと云う気も出
(单词翻译:双击或拖选)

 余はこの物騒(ぶっそう)な男から、ついに吾眼をはなす事ができなかった。別に恐しいでもない、また()にしようと云う気も出ない。ただ眼をはなす事ができなかった。右から左、左りから右と、男に添うて、眼を働かせているうちに、男ははたと留った。留ると共に、またひとりの人物が、余が視界に点出(てんしゅつ)された。
 二人は双方(そうほう)で互に認識したように、しだいに双方から近づいて来る。余が視界はだんだん(ちぢ)まって、原の真中で一点の(せま)き間に(たた)まれてしまう。二人は春の山を()に、春の海を前に、ぴたりと向き合った。
 男は無論例の野武士(のぶし)である。相手は? 相手は女である。那美(なみ)さんである。
 余は那美さんの姿を見た時、すぐ今朝の短刀を連想した。もしや(ふところ)()んでおりはせぬかと思ったら、さすが非人情(ひにんじょう)の余もただ、ひやりとした。
 男女は向き合うたまま、しばらくは、同じ態度で立っている。動く景色(けしき)は見えぬ。口は動かしているかも知れんが、言葉はまるで聞えぬ。男はやがて首を()れた。女は山の方を向く。顔は余の眼に入らぬ。
 山では(うぐいす)()く。女は鶯に耳を借して、いるとも見える。しばらくすると、男は(きっ)と、垂れた首を挙げて、(なか)(くびす)(めぐ)らしかける。尋常の(さま)ではない。女は(さっ)と体を開いて、海の方へ向き直る。帯の間から頭を出しているのは懐剣(かいけん)らしい。男は昂然(こうぜん)として、行きかかる。女は二歩(ふたあし)ばかり、男の踵を()うて進む。女は草履(ぞうり)ばきである。男の(とま)ったのは、呼び留められたのか。振り向く瞬間に女の右手(めて)は帯の間へ落ちた。あぶない!
 するりと抜け出たのは、九寸五分かと思いのほか、財布(さいふ)のような包み物である。差し出した白い手の下から、長い(ひも)がふらふらと春風(しゅんぷう)に揺れる。
 片足を前に、腰から上を少しそらして、差し出した、白い手頸(てくび)に、紫の包。これだけの姿勢で充分()にはなろう。
 紫でちょっと切れた図面が、二三寸の間隔をとって、振り返る男の(たい)のこなし具合で、うまい按排(あんばい)につながれている。不即不離(ふそくふり)とはこの刹那(せつな)の有様を形容すべき言葉と思う。女は前を引く態度で、男は(しり)えに引かれた様子だ。しかもそれが実際に引いてもひかれてもおらん。両者の(えん)は紫の財布の尽くる所で、ふつりと切れている。

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