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虞美人草 十五 (17)

时间: 2021-05-05    进入日语论坛
核心提示: 母と子は洋卓(テエブル)を隔てて差し向う。互に無言である。欽吾はまた鉛筆を取り上げた。三(み)つ鱗(うろこ)の周囲(まわり)に
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 母と子は洋卓(テエブル)を隔てて差し向う。互に無言である。欽吾はまた鉛筆を取り上げた。()(うろこ)周囲(まわり)()れ擦れの大きさに(まる)()く。円と鱗の間を塗る。黒い線を一本一本叮嚀(ていねい)に並行させて行く。母は所在なさに、(せがれ)の図案を慇懃(いんぎん)(なが)めている。
 二人の心は無論わからぬ。ただ上部(うわべ)だけはいかにも静である。もし手足(しゅそく)の挙止が、内面の消息を形而下(けいじか)に運び(きた)る記号となり得るならば、この二人ほどに長閑(のどか)母子(おやこ)は容易に見出し得まい。退屈の刻を、数十(すじゅう)の線に(かく)して、行儀よく三つ鱗の外部(そとがわ)を塗り潰す子と、尋常に手を膝の上に重ねて、一劃ごとに黒くなる(まる)の中を、端然(たんねん)と打ち守る母とは、咸雍(かんよう)の母子である。和怡(わい)の母子である。(さしは)さむ洋卓に、(さえぎ)らるる胸と胸を(むか)い合せて、春(とざ)す窓掛のうちに、世を、人を、争を、忘れたる姿である。()き人の肖像は例に()って、壁の上から、閑静なるこの母子を照らしている。
 丹念に引く線はようやく(しげ)くなる。黒い部分はしだいに増す。残るはただ右手に当る弓形(ゆみなり)の一ヵ所となった時、がちゃりと釘舌(ボールト)(ねじ)る音がして、待ち設けた藤尾の姿が入口に現われた。白い姿を春に託す。深い背景のうちに肩から上が浮いて見える。甲野さんの鉛筆は引きかけた線の(なか)ばでぴたりと留った。同時に藤尾の顔は背景を抜け出して来る。
(あぶ)り出しはどうして」と言いながら、母の隣まで来て、横合から腰を(おろ)す。卸し終った時、また、
「出て?」と母に聞く。母はただ藤尾の方を意味ありげに見たのみである。甲野さんの黒い線はこの間に四本増した。
「兄さんが御前に何か御用があると御云いだから」
「そう」と云ったなり、藤尾は兄の方へ向き直った。黒い線がしきりに出来つつある。
「兄さん、何か御用」
「うん」と云った甲野さんは、ようやく顔を上げた。顔を上げたなり何とも云わない。
 藤尾は再び母の方を見た。見ると共に薄笑(うすわらい)の影が奇麗(きれい)な頬にさす。兄はやっと口を切る。

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