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虞美人草 十六 (5)

时间: 2021-05-05    进入日语论坛
核心提示:「頭は好いが――全体どこへ行く事になったのかい。英吉利(イギリス)か、仏蘭西(フランス)か」「その辺はまだ分らないです。何で
(单词翻译:双击或拖选)
「頭は好いが――全体どこへ行く事になったのかい。英吉利(イギリス)か、仏蘭西(フランス)か」
「その辺はまだ分らないです。何でも西洋は西洋でしょう」
「ハハハハ気楽なもんだ。まあどこへでも行くが好い」
「西洋なんか行きたくもないんだけれども――まあ順序だから仕方がない」
「うん、まあ勝手な所へ行くがいい」
「支那や朝鮮なら、(もと)(とおり)の五分刈で、このだぶだぶの洋服を着て出掛けるですがね」
「西洋はやかましい。御前のような不作法(ぶさほう)ものには好い修業になって結構だ」
「ハハハハ西洋へ行くと堕落するだろうと思ってね」
「なぜ」
「西洋へ行くと人間を()(とお)(こしら)えて持っていないと不都合ですからね」
「二た通とは」
不作法(ぶさほう)な裏と、奇麗な表と。厄介(やっかい)でさあ」
「日本でもそうじゃないか。文明の圧迫が(はげ)しいから上部(うわべ)を奇麗にしないと社会に住めなくなる」
「その代り生存競争も烈しくなるから、内部はますます不作法になりまさあ」
「ちょうどなんだな。裏と表と反対の方角に発達する訳になるな。これからの人間は生きながら()(ざき)の刑を受けるようなものだ。苦しいだろう」
「今に人間が進化すると、神様の顔へ豚の睾丸(きんたま)をつけたような(やつ)ばかり出来て、それで落つきが取れるかも知れない。いやだな、そんな修業に出掛けるのは」
「いっそ(やめ)にするか。うちにいて親父(おやじ)の古洋服でも着て太平楽を並べている方が好いかも知れない。ハハハハ」
「ことに英吉利(イギリス)人は気に喰わない。一から十まで英国が模範であると云わんばかりの顔をして、何でもかでも我流(がりゅう)で押し通そうとするんですからね」
「だが英国紳士と云って近頃だいぶ評判がいいじゃないか」
「日英同盟だって、何もあんなに()めるにも当らない訳だ。弥次馬共が英国へ行った事もない癖に、旗ばかり押し立てて、まるで日本が無くなったようじゃありませんか」
「うん。どこの国でも表が表だけに発達すると、裏も裏相応に発達するだろうからな。――なに国ばかりじゃない個人でもそうだ」
「日本がえらくなって、英国の方で日本の真似でもするようでなくっちゃ駄目だ」
「御前が日本をえらくするさ。ハハハハ」

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