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虞美人草 十六 (6)

时间: 2021-05-05    进入日语论坛
核心提示: 宗近君は日本をえらくするとも、しないとも云わなかった。ふと手を伸(のば)すと更紗(さらさ)の結襟(ネクタイ)が白襟(カラ)の真
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 宗近君は日本をえらくするとも、しないとも云わなかった。ふと手を(のば)すと更紗(さらさ)結襟(ネクタイ)白襟(カラ)真中(まんなか)まで浮き出して結目(むすびめ)は横に(ねじ)れている。
「どうも、この襟飾(えりかざり)(すべ)っていけない」と手探(てさぐり)に位地を正しながら、
「じゃ糸にちょっと話しましょう」と立ちかける。
「まあ御待ち、少し相談がある」
「何ですか」と立ち掛けた尻を(おろ)機会(しお)に、準胡坐(じゅんあぐら)の姿勢を取る。
「実は今までは、御前の位地もまだきまっていなかったから、さほどにも云わなかったが……」
「嫁ですかね」
「そうさ。どうせ外国へ行くなら、行く前にきめるとか、結婚するとか、または連れて行くとか……」
「とても連れちゃ行かれませんよ。金が足りないから」
「連れて行かんでも好い。ちゃんと片をつけて、そうして置いて行くなら。留守中は(わし)が大事に預かってやる」
(わたし)もそうしようと思ってるんです」
「どうだなそこで。気に入った婦人でもあるかな」
「甲野の妹を貰うつもりなんですがね。どうでしょう」
藤尾(ふじお)かい。うん」
「駄目ですかね」
「なに駄目じゃない」
「外交官の女房にゃ、ああ云うんでないといけないです」
「そこでだて。実は甲野の親父(おやじ)が生きているうち、私と親父の間に、少しはその話もあったんだがな。御前は知らんかも知らんが」
「叔父さんは時計をやると云いました」
「あの金時計かい。藤尾が玩弄(おもちゃ)にするんで有名な」
「ええ、あの太古の時計です」
「ハハハハあれで針が回るかな。時計はそれとして、実は肝心(かんじん)の本人の事だが――この間甲野の(おっか)さんが来た時、ついでだから話して見たんだがね」
「はあ、何とか云いましたか」
「まことに好い御縁だが、まだ御身分がきまって御出(おいで)でないから残念だけれども……」
「身分がきまらないと云うのは外交官の試験に及第しないと云う意味ですかね」
「まあ、そうだろう」

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