11、タバコの世界
少年の頃に見た写真で忘れられないものの一つに、サマセット?モームの肖像がある。作品集の巻頭の写真で、晩年の作家が、やや右向きに座っている。左手に持つたばこの先から流れる一筋の煙が、年輪を刻んだ渋みのある顔を斜めに横切っている。大人の世界を見る思いがした。
在笔者幼年时期看过而一直无法忘怀的照片中,有一张是萨马塞德。毛姆的照片。在作品集卷首的照片中,已步入迟暮之年的作家,略略偏右坐着。从其左手拿着的烟头冒出的那一缕烟雾,斜荡过他那张写满皱纹苍老的面庞。当时觉得从照片中略到了成人的世界。
後年たばこを吸い始め、記者になってからは激しく吸うようになった。取材が終わったといっては1本、記事を書き始めるといって1本、途中で言葉を探しながら1本、書き終わって1本という具合だった。当時の写真のほとんどは紫煙とともにある。たばこ依存の時代だった。
笔者后来开始吸烟,成为记者之后烟瘾就更大了。当时已经到了"采访结束后吸上一根、开始写报道前吸上一根,写作途中思考词汇时吸上一根,写完之后再吸上一根"这样的程度。当时的照片大部分都可见烟雾的影子。那是一段完全依赖香烟的日子。
来春から、禁煙の治療に保険が適用される見通しだという。個人の意志や努力の問題とみられてきた禁煙を、「ニコチン依存症」という病気に対する治療とみなすそうだ。
据说预计从明春开始,保险也将适用于禁烟的治疗。长期以来被看作是个人的意志及努力等问题的禁烟,将作为"尼古丁依赖症"这种疾病被重新看待进行治疗。
吸わない人たちからは、そんなことに自分たちの払う税金や保険料を使うなという反論もあるだろう。しかし、「依存症」の減少が、たばこが原因とされる病を減らし、医療費の大きな節約になるという話が本当なら、一つの試みではある。
但是这种观点或许会遭到了不吸烟人群的反对,认为这样的事情不该使用自己所缴交的税金及保险费。但是,"依赖症"患者的减少,将减少吸烟导致的疾病。如果能够实现医疗费的大幅度节约,那么这的确是值得进行的尝试。
若い日のたばこ依存からの転機は、ひどい二日酔いの朝に来た。たばこも見たくない状態で、ふと、いつまで吸わずにいけるか試そうと思った。3日たち、1週間たっても特につらくはない。以来延々と、20年以上続いている。
二日酔い:酒の酔いが翌日まで残り、はきけや頭痛?めまいなどがして気分の悪い状態. 宿酔(しゆくすい)。
对年轻时香烟依赖的转机源于严重宿醉后醒来的那个早晨。(酒醒后)人还处于不思香烟的状态,突然闪念一过,想要尝试一下自己到底可以多久不食香烟。三天过去了,一周过去了也并不觉得特别难受。那之后就这样坚持了二十多年。
もっとも、年に数本、火をつけることがある。モームの大人の世界とはほど遠いが、大人の小さな玩具として。たばこはきっぱりやめるに越したことはないが、休み休みでもいいのではないか。
にこしたことはない:するのがいちばんよい。「早いに―?したことはない」
不过,每年都还是会吸上那么几根烟的。虽说离毛姆的世界已是相当遥远了,这里不过是作为大人小小的玩具而已。如果能够完全戒烟当然是再好不过了,不过偶尔吸上那么一两根也并无大碍吧?