「新疆」とは新疆ウイグル自治区の略称である。新疆は中国の西北部にあり、ユーラシア大陸の中腹に位置している。その面積は166万k㎡余りで、中国で最も大きい一級行政区である。新疆の西部と北部は8つの国と隣接している。(東から、モンゴル、ロシア連邦、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタン、インド)新疆領内の国境線は5600km余りに達し、中国の中で国境線が最も長く、通商地点が最も多い所だ。国内の5つの少数民族自治区の1つである新疆には、ウイグル族、漢族、カザフ族、回族、キルギス族、モンゴル族などを含む55の民族と13の原住民が暮らしており、総人口は約2230万人で、少数民族が60%を占めている。
2、地理
新疆はアジアの中腹にある。アルタイ山脈、天山山脈、崑崙山脈が北から南へと続くその間に、ジュンガル盆地とタリム盆地が挟まれている。天山から南の地区は「南疆」、その北の地区は「北疆」、また、ハミ、トルファン盆地は「東疆」と呼ばれている。
中国の砂漠の3分の2は新疆にある。その内、タクラマカン砂漠の面積は33万k㎡で、中国最大の砂漠であると同時に、世界第2の流動砂漠だ。また、ジュンガル盆地にあるグルバンチュンギュト砂漠の面積は5万k㎡で、中国第2の砂漠である。新疆の砂漠の下には豊富な石油、天然ガス及び鉱産物資源が埋蔵されている。新疆の町は全てオアシスに位置しており、これらのオアシスは2つの盆地の端に沿って点在し真珠のように分布している。
新疆は典型的な旱魃地域で年平均降水量は165.6mmであるが、万年雪を頂く山々が連なり、特色のある氷河が形成されていることから天然の「固体ダム」と呼ばれ、氷河の埋蔵量は2.13億㎥に上る。高山での雪溶け水で数多くの河川や溝海が形成され、水域面積は5505k㎡に達する。うち、ボステン湖水域は面積980k㎡で国内最大の淡水湖である。新疆東部のトルファン盆地にあるアイディン湖は海面より154m低く、中国で海抜が最も低い湖だ。タリム盆地を貫くタリム河は長さ約2100kmで中国最長の内陸川である。新疆の一人当たりの水資源の保有量は中国でトップクラスに入る。
新疆は、気候や気温の差が非常に大きい。アルタイ地区はかつて中国の最低気温を記録したが、トルファン地区はこれまで中国の最高気温をマークしている。
3、歴史
新疆の旧名は西域で、2000年余り前から、統一された多民族国家である中国の一部となっている。紀元前60年、漢王朝が西域都護府を設立したことから、新疆は前漢の直轄地となった。現在のバルハシ湖とパミール地区も当時の西域都護府の管轄範囲に入っている。その後1000年の間、新疆地区は中国中央政府と付属関係になり、中央政府が新疆を管轄する諸行政機関を設置してきた。
いまから300年余り前の清代の中央政府は、新疆のイリー地区の恵遠城にイリー将軍府を設立して全新疆を支配した。後の1884年、新疆は省クラスの行政区となり、新疆と内地各省との連絡もより緊密になった。
1949年9月、新疆は平和解放され、同年の10月1日、中華人民共和国の成立によって、他の一級行政区と共に民族自治権を持つ行政区域となった。
4、エネルギー基地としての新疆
新疆には、石油、天然ガス、石炭、オイルシェール、ウランの5つの鉱物資源があり、石油、天然ガス、石炭は最も強みを持つ鉱物資源である。石炭資源の予測埋蔵量は2.19兆tで、全国の石炭測埋蔵量の40%。石油の予測埋蔵量は234億tで全国陸地石油資源量の30%、天然ガスの予測埋蔵量は13兆㎥で全国の陸地天然ガス資源量の34%。2004年10月に完成した大型プロジェクト「西気東輸」(西部の天然ガスを東部に輸送する)により、新疆の天然ガスは中国東部にある上海やその周辺地区に輸送されている。
新疆の水資源は主に氷河の雪水である。その埋蔵量は豊富で、全国の3%、域内の河川は大小合わせて570、地表水の流量は884億㎥、水力資源の理論上の埋蔵量は38178.7兆wで、技術上開発可能量は16565兆w、年間発電量は712.59億kw時に達する。
内陸部に位置している新疆は、空気が乾燥し雨量が少なく、透き通った大気や晴天に恵まれている。そのため、太陽光資源も豊富で、年間日照時間は2550~3500時間、日照率は60%~80%、年間日光放射総量は5430~6670兆J/k㎡で全国第2位である。
また、山々に囲まれているので、峡谷の風洞効果と盆地効果によって豊かな風力資源を持つ。風力資源の開発可能量は2000万kw、風力エリアの総面積は15.45万k㎡。潜在的風力は約9100億kw時、発電総出力は18.2億kwと見込まれ、全国第2位。開発可能な9つの風力エリアがあり、ダーバン城風力発電所は中国最大の風力発電所である。