市の中心地である西湖は、杭州の西に位置し、昔、武林水・西子湖などと呼ばれた。三方を山に囲まれ、湖の面積は約6.5k㎡。南北の長さは約3.2㎞あり、西東の幅は約2.8㎞。山紫水明が西湖の基調であり、山水と文化の融合が西湖の名勝を格調高くしている。2011年6月の第35回世界遺産委員会で世界文化遺産として登録された。
21世紀の始め、内外の旅行客を夢中にさせる「一湖二塔三島三堤」という300年前の西湖の全景図が人々の前に現れた。一湖は西湖、二塔は保塔と雷峰塔、三島は三潭印月、湖心亭と阮公墩、三堤は蘇堤、白堤と楊公堤を言う。"蘇堤"と"白堤"は、昔杭州の役人として赴任してきた白楽天と蘇東坡が造ったといわれている。今ある堤は当時のままのものではないが、西湖を代表する景観であることに変わりはない。白堤は、京劇白蛇伝の白素貞が入水したといわれる伝説があるほか、西湖にまつわる伝承は多い。
湖は一周15㎞、平均水深が2.27m、水の容量は約1429万㎥。蘇堤と白堤が水面を里湖、外湖、岳湖、西里湖と小南湖5つの部分に分けている。そのうち外湖の面積が一番大きい。景観には山一つ(孤山)、堤二つ(蘇堤、白堤)、島三つ(阮公墩、湖心亭、小瀛州)と湖五つ、西湖十景からなっている。
西湖十景は南宋の時代に形成され、主に西湖の湖畔に分布しているが、湖上に存在しているものもある。蘇堤春暁、曲院風荷、平湖秋月、断橋残雪、柳浪聞鶯、花港観魚、雷峰夕照、双峰挿雲、南屏晩鐘、三潭印月の十景は、それぞれが特長ある景勝地で、それらがともに融合し、その結果、杭州は内外を問わず、観光客をひきつけているのである。