当初、板胡は中国の北方地域に普及し、現地の地方劇、例えば河北梆子や評劇、河南省の豫劇、陜西省の秦腔などの伴奏楽器として使われていた。
板胡は芝居と深い関わりを持っているため、芝居の音楽を演奏する時が楽器の特徴を最も発揮でき、地方独特の風情を引き出せると言われている。
構造は、ほぼ二胡と同じだが、共鳴胴に違いがある。共鳴胴の表面には二胡のように皮を張らずに桐の薄い板が張られおり、これが板胡独特の音を出す鍵になっている。格別に澄んだ響きのある音を出すことから、高音部の演奏に使われることが多い。
新中国成立後、音楽関係者の努力の結果、板胡の製作技術も大きく発展し、いくつかの新しい種類が加わった。代表的なものに「中音板胡」「高音板胡」「三弦板胡」「竹筒板胡」「秦腔板胡」などがある。
製作技術の発展に伴い、板胡演奏の技術レベルも高くなり、表現力も豊かになっていきた。板胡は中国の民族楽団に欠かせない楽器となっているほか、地方色を色濃く持つ独奏楽器でもあり、民族歌劇や民族舞踊などの伴奏にも幅広く使われている。