ヒポクラテスは医学の父と呼ばれるギリシャの医師で、「誰も人の命を奪う権利はない。医師は同情心から患者の肉体的苦痛を終わらせるという考え方をするが、医師は生死の支配者ではないのである。」と安楽死を明確な犯罪とみなしている。しかし、ヒポクラテスが生きた時代は安楽死を犯罪とみなすことの方がおかしいと考えられていた時代だった。
B:
トマス・モアはイギリスの思想家で、有名なエッセー「ユートピア」の中で「もしその病気が不治であるばかりでなく、絶え間のない猛烈な苦しみを伴うものであれば、これ以上生きていても人間としての義務が果たせるわけではないし、他人に対して大きな負担をかけるばかりでなく、自分自身にとっても苦痛に違いない。だからいっそのこと思い切ってこの苦しい病気と縁を切ったらどうかと勧める。」と述べている。
C:
フランシス・ベーコンは、「医者の任務としては、健康を回復させるばかりではなく、痛みや苦しみを軽減させることがあると私は思う。このような軽減によって回復に向かうことができるばかりではなく、楽にやすやすと息を引き取るのに役立つという場合もある。」と述べている。
1、安楽死に賛成する立場の組み合わせとして、正しいものを一つ選びなさい。
①AとB
②AとC
③BとC
④AとBとC
2、Aでは触れられているが、B、Cでは触れられていない内容はどれか。
①医師の任務はできるだけ早く患者の苦痛を終わらせることである。
②重症患者は他人に対して大きな負担になるから、安楽死したほうがよい。
③重症患者は思い切って安楽死したほうがいい。
④医師に患者の命を絶つ権利はない。
3、「自分自身」は誰を指しているか。
①トマス・モア
②医師
③苦しい病気と縁を切るように勧めた人
④不治の病で苦しんでいる人