抗菌、除菌、殺菌。こんな表示が街のあちこちに広がっている。町には手すりが抗菌処理されたエスカレーター、АTМコーナーには除菌効果をうたった空気清浄機。伝染性の病気の流行を背景に、暮らしの「清涼感度」は一段と鋭くなっているようだ。
清潔追求を後押しするような技術も登場している。光のエネルギーで汚れを落としたり、菌を分解したりする光触媒(環境浄化材料)。これまでは太陽光があたらなければ充分な効果が得られず、外装材として利用されるのみだったが、室内灯の光でも充分効果を発揮する光触媒が開発された。近い将来、オフィスや住宅の壁、床を覆うようになると言う。
B
日本人は昔からきれい好きだったとか。江戸時代に日本を訪れた外国人は、生ゴミやふん尿が散らかっていない道路を見て驚き、毎日風呂に入る姿に感心したと言う。
これは高温多湿の日本で生活する上での知恵であるが、ただ、現代ではそれだけにとどまらず、抗菌、除菌はあたりまえ。汚そうな物はできるだけ避けたい、という心理が広がっている。新型インフルエンザの流行を機に、手の消毒剤を入り口などに常備する建物も増えてきた。
しかし、行き過ぎた「無菌社会」は抵抗力などを弱めるという心配もある。外国に行くとおなかを壊す日本人が少なくないが、これも抵抗力がないためだろう。単に汚そうなものを遠ざけるのではなく、きちんと向き合う姿勢が求められているのではないか。
「問い」АとBの文章について、正しいものはどれか。
1 АもBも筆者の意見が述べられている
2 АにもBにも筆者の意見は述べられていない
3 Аは事実のみを述べているが、Bは意見も述べている
4 Аは意見を述べているが、Bは事実のみを述べている
「問い」АとBに共通して出てくるのは、どんなことか
1 日本人は以前から清潔なのが好きだったということ
2 清潔志向には、病気の流行も関係しているということ
3 抗菌、除菌は当然するべきだとうこと
4 清潔追求のための新技術が開発されたということ
「問い」無菌社会の問題点としてあげられていることは何か
1 菌に対する抵抗力がなくなってきていること
2 伝染性の病気はやりやすくこと
3 技術の進歩が妨げられること
4 太陽光に触れる機会が減ること