日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

死体は眠らない22

时间: 2018-09-14    进入日语论坛
核心提示:22 暗《くら》闇《やみ》の対決 「どうしたの?」 と、祐子が、優しく訊いた。 「うん」 「元気ないわね」 「そんなことな
(单词翻译:双击或拖选)
 22 暗《くら》闇《やみ》の対決
 
 「——どうしたの?」
 と、祐子が、優しく訊いた。
 「うん……」
 「元気ないわね」
 「そんなことないよ」
 「大丈夫?——ショックだったのね、奥さんが大倉に、あなたを殺すように頼んだってことが」
 ——ここは僕の部《へ》屋《や》で、ドアもきちんと閉っている。もちろん、僕と祐子は、身を寄せ合って、声をひそめて話をしているのである。
 「まあ……少しはね」
 と僕は言って、ベッドにゴロリと横になった。「だけど、別にそれは、美奈子に未練があったとか、そんなことじゃないよ。ただ……何て言えばいいのかな……」
 「分るわ」
 と、祐子が言った。「あんなに堪えていたのに、どうして殺されなきゃいけないのか、それが哀《かな》しいのね」
 「そう。そうなんだ」
 「奥さんに、精一杯尽《つ》くしていたのに、そんな風にお返しをされて、悔《くや》しいのね」
 「うん。その通りだよ」
 「それに——」
 「君の言う通りだよ」
 「まだ言ってないわ」
 「ああ、そうか」
 「元気出して。——奥さんを殺したのも、こうなれば正当防衛じゃないの。却って気が楽になったでしょ」
 「そうだね。そう言えば、少し気持が軽くなったみたいだ」
 「でも、良心の呵責からは完全に逃《のが》れられない……」
 「うん。心が重いよ」
 どっちなんだ?——自分でも分らなくなって来た。
 「しっかりして……。私がいるじゃないの」
 祐子は、僕の上にかがみ込むと、キスして来た。その唇《くちびる》の柔《やわ》らかさ……。
 「私……あなたなしじゃ、だめなのよ」
 「うん……」
 「だから、しっかりして……。私を抱《だ》き止めてね……」
 僕は祐子を固く抱きしめ、ベッドの中へと転り込んだ。
 ジャーン、と音楽の高鳴る、感動的なラブシーンである。だが、現実はそううまく行かない。
 祐子はヒョイと起き上って、
 「大倉の話、本当だと思う?」
 「美奈子が僕を殺してくれと頼んだ件かい? どうかな」
 「奥さんに会ったときのことを、詳しく話してたわ」
 「うん。確かに、奴の言ってた服は美奈子のよく着ていたやつだね。特別に注文しているから、同じものはないよ」
 「じゃ、やっぱり本当に——」
 「でも話の中身が本当かどうか、分らないじゃないか」
 「三百万円で、夫を殺してくれ……。あの男なら、引き受けてもおかしくはないわね」
 「でも、どうして僕を殺そうなんて、考える?」
 と、僕は訊き返した。「美奈子は、それでなくたって、好き勝手にしてたんだぜ。別に僕を殺さなくても、好きなことをやれるはずなんだ。そうだろう?」
 「そうね……」
 と祐子も考え込む。「だけど、大倉が、あんな嘘《うそ》をついて、得になることなんて、ある?」
 「それが分らないんだ」
 「嘘をつく理由がないわ」
 「やっぱり本当なのかな……」
 「待って」
 祐子は、ベッドからヒョイと降り立つと、部屋の中を歩きながら、「——あなたが死んだら、どうなるか。それを考えるのよ」
 「あんまりありがたくないね」
 「仮定の話よ!——あなたが死んで得をする人……」
 僕はガバッと起き上った。
 「そうか!——僕の財産!」
 「あなたの保険金!」
 「僕の地位!」
 「あなたの貯金!」
 「僕のパンツ!」
 そんな物、誰も欲しがりゃしないだろうが、ともかく、美奈子は、僕の財産を自分のものにしようとしていたのだ。
 「そうよ! いくら奥さんがいばっていても、財産はあなたのものなんですもの」
 「それを美奈子は手に入れようとしてたんだな? 畜《ちく》生《しよう》!」
 僕は、つくづく美奈子を先に殺しておいて、良かった、と思った。さもなければ、こっちが殺されるところだったのだ。
 「でも、大倉は先週の月曜日に奥さんに頼まれたと言っていたわ」
 「週末に殺してくれ、と……」
 「その間、奥さんはどこかへ旅行に出ていて、アリバイを作る。留守を一人で過しているあなたを、大倉が殺しに来る……」
 「でも奴は、気が変った。三百万で殺人は安すぎる」
 「それでもう一度交渉しようと思って、この近くへ来た。偶然、昔の仲間に出くわし、一緒に戻った……」
 「その間に、肝《かん》心《じん》の依頼主が死んじまったってわけだ」
 「納得できないわ」
 と祐子が言った。
 「僕もだ」
 と肯いて、「——何が?」
 「それぐらいのことで、あんなに大倉が暴れる? だって、大倉は、奥さんから、あなたを殺してくれと頼まれたかもしれないけど、実際には何《ヽ》も《ヽ》してないのよ」
 「うん、そうか」
 「ね? そんな話、冗談だと思った、で済むじゃないの。——あんなにしてまで、逃げようとするはずがないわ」
 「すると、あいつ、やっぱり何《ヽ》か《ヽ》やらかしてるんだな」
 「それしか考えられないわ」
 と、祐子は肯いた。「——ああ、残念ね。もっと大倉をここに置いといて、話をさせるんだったわ」
 大倉は、池山がついて、連行されて行ったのである。
 ドアをノックする音がして、スッと開くと、
 「失礼します」
 と、添田が入って来た。
 どうも、この刑《けい》事《じ》が来ると、ろ《ヽ》く《ヽ》なことがない。
 「三千万円の件ですが——」
 と、添田が言い出す。
 「ああ、そうだ。さっきのメモだと、二千六百三十一万五十円でしたね。三百六十九万円もなくなっちゃったわけだ」
 「申しわけも……」
 「一つうかがいたいんですが、あの五十円ってのは?」
 「はあ。それは私からの、ささやかなお詫《わ》びの気持でして」
 五十円じゃ、正にささやかだ!
 「足らない分は、警察で出してくれるんでしょうね」
 「その点については、今、上司とも相談いたしまして、全額補償させていただくことになりました」
 当り前だ! しかし、僕は心の広い人間である。
 「それはどうも」
 と、礼まで言っていたのだ。
 「そこで一つご相談なのですが——」
 「というと?」
 「色々と予算の都合もありまして。三百六十九万円を、十年間の分割払《ばら》いではどうだろうか、と……」
 僕は、添田を絞《し》め殺したい誘《ゆう》惑《わく》と闘《たたか》わねばならなかった……。
 
 夕方になり、夜になった。——これが逆だと大変なことになるが、まあ、まずは当然の順序である。
 住谷秀子を、何とか追い帰し、僕はホッとした。——秘書の吉野も、会社の仕事があるので、午後から社へ行かせた。
 家には、僕と祐子、それに添田を初め刑事が三人いるだけであった。
 忙《ぼう》中《ちゆう》閑《かん》あり、というか。まあ、平和なひとときであった。
 夕食はたっぷりと出前を取って食べさせてやったので——実際、ここへ泊《とま》り込んでいる刑事たちは、少し太ったようだった——みんなソファで高いびきをかいている。
 これは僕の作戦で、つまり、祐子と二人、のんびり楽しもうというわけなのである。
 「——ああいい気持」
 祐子が、バスルームから出て来る。
 裸身にバスタオル一枚という軽《ヽ》装《ヽ》で、いとも色っぽい香《かお》りを発散させているのだ。
 「すてきだよ」
 と僕は言った。
 「あんまり見ないで」
 と祐子は、照れたように言った。
 「ベッドに入りなよ」
 「あなたもシャワーを浴びて来たら?」
 「うん、そうするか」
 僕は裸になって——やはり服を着たままでは風《ふ》呂《ろ》に入れないので——バスルームへ入った。
 熱いシャワーをたっぷりと浴びる。——さあ、思い切り祐子を抱いて、一晩中楽しむんだ!
 つい口《くち》笛《ぶえ》などが出てしまう。
 バスルームを出ると、もう祐子がベッドの中から顔を出して、フフ、と笑っている。これがヒヒヒ、だと赤《あか》頭《ず》巾《きん》を待つ狼《おおかみ》みたいなことになってしまう。
 「来て……」
 と、祐子が手を出して僕の方へのばして来る。
 僕はゴクリとツバを飲み込んだ。ゆっくりと毛布をはいで行くと、祐子の素敵な肌《はだ》が少しずつ露《あらわ》になって来る……。
 明りが消えた。
 「——何だ、いいじゃないか、明るくたって」
 「私、消さないわ」
 なるほど、そう言えばそうだ。祐子だってテレパシーでスイッチを押すわけにはいかない。
 「どうしたんだろう?」
 真っ暗な中で、僕は言った。
 「停電じゃない?」
 「参ったな」
 「いいじゃないの。暗くても困らないわ」
 「まあ、そうだね」
 僕は笑って、手探りで祐子の体をまさぐった。祐子が僕を抱き寄せる。——突然、ドンドンという、けたたましい音。
 「——何かしら?」
 「階下だよ」
 「ほら……。玄関のドアを叩《たた》いてるのよ」
 なるほど、ドンドン、としつこくやっている。——誰だろう?
 「こんな時間に。——もう十二時よ」
 「押し売りかな」
 「まさか」
 ドンドン。
 「行った方がいいわ」
 「そうだね。しかし——裸じゃ——」
 「懐《かい》中《ちゆう》電灯は?」
 「ええと……。テーブルのわきに下がってるんだけど——どの辺かな?」
 暗闇の中では、どこがどれやら分らない。椅《い》子《す》にぶつかったり、スタンドをけっとばしたりして、やっと探し当てる。
 「私、持ってるわ。——早く服を着て。まだやってるわ」
 「下の刑事たち、何やってんだろう? あれじゃ、暴力団が攻めて来たって起きないぜ」
 僕は急いで服を着た。
 「待ってて。私も着るわ。——いいわ、早く下へ」
 「うん」
 僕と祐子は、懐中電灯一つを頼りに、階段を降りて行った。正に玄関のドアを叩き壊《こわ》しそうな勢いで叩いているのに、刑事は一人も起きて来ない。
 「全く、たるんでる!」
 と僕は言った。「強《ごう》盗《とう》だったらどうするんだ!」
 「でも、強盗なら、ドアを叩いたりしないわ」
 それもそうだ。——僕は玄関の所へ行って、
 「誰だ!」
 と声をかけた。
 「開けて下さい! 早く!」
 と、叫《さけ》ぶような声。
 「まあ、池山さんよ!」
 僕がドアを開ける。池山が転り込んで来た。光で照らして、祐子が、
 「キャッ!」
 と声を上げた。
 池山は、顔が血だらけだった。
 「どうしたんだ!」
 「——大倉が——大倉の奴が——」
 と、池山が喘《あえ》ぎながら言った。
 そのとき、居間の電話が鳴り出した。僕は祐子と二人で、池山を居間へ運び込み、受話器を取った。
 「——やあ、大倉だよ」
 「何の用だ?」
 「約束を果そうと思ってね」
 「約束?」
 「あんたの奥さんに頼まれた仕事さ」
 「仕事って……。おい! 待てよ!」
 「ついでにそこにいる刑事さんたちも死んでもらうぜ。いいか。それで電話線も切ってやる。電気も止めた。——ゆっくりと一人ずつ料理してやる。じゃ、後でな」
 「おい!——何だっていうんだ! おい!」
 電話は切れ、そして、何の音もしなくなった。
 僕は呆《ぼう》然《ぜん》として、突《つ》っ立っていた。
 「——どうしました?」
 暗がりの中で、添田の声がした。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%