日语童话故事 日语笑话 日语文章阅读 日语新闻 300篇精选中日文对照阅读 日语励志名言 日本作家简介 三行情书 緋色の研究(血字的研究) 四つの署名(四签名) バスカービル家の犬(巴斯克威尔的猎犬) 恐怖の谷(恐怖谷) シャーロック・ホームズの冒険(冒险史) シャーロック・ホームズの回想(回忆录) ホームズの生還 シャーロック・ホームズ(归来记) 鴨川食堂(鸭川食堂) ABC殺人事件(ABC谋杀案) 三体 失われた世界(失落的世界) 日语精彩阅读 日文函电实例 精彩日文晨读 日语阅读短文 日本名家名篇 日剧台词脚本 《论语》中日对照详解 中日对照阅读 日文古典名著 名作のあらすじ 商务日语写作模版 日本民间故事 日语误用例解 日语文章书写要点 日本中小学生作文集 中国百科(日语版) 面接官によく聞かれる33の質問 日语随笔 天声人语 宮沢賢治童話集 日语随笔集 日本語常用文例 日语泛读资料 美しい言葉 日本の昔話 日语作文范文 从日本中小学课本学日文 世界童话寓言日文版 一个日本人的趣味旅行 《孟子》中日对照 魯迅作品集(日本語) 世界の昔話 初级作文 生活场境日语 時候の挨拶 グリム童話 成語故事 日语现代诗 お手紙文例集 川柳 小川未明童話集 ハリー・ポッター 新古今和歌集 ラヴレター 情书 風が強く吹いている强风吹拂
返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 日本名家名篇 » 赤川次郎 » 正文

死体は眠らない23

时间: 2018-09-14    进入日语论坛
核心提示:23 決《けつ》闘《とう》! 一対六 人と話をするとき、相手の表情が見えるというのが、どんなに便利なものか、僕は改めて痛感
(单词翻译:双击或拖选)
 23 決《けつ》闘《とう》! 一対六
 
 人と話をするとき、相手の表情が見えるというのが、どんなに便利なものか、僕は改めて痛感した。
 まあ、そんなに大げさに言うほどのことでもないかもしれないが、要するに、凶《きよう》悪《あく》犯《はん》大倉の手で、電気も電話も切られてしまったので、僕は、真っ暗な中で、大倉の話の内容を、添田刑事へ伝えなければならなかったのである。
 しかし、添田刑事がどんな顔で聞いているのか分らないので、しゃべっていても不安だった。話の中に、
 「分りますか?」
 とか、
 「聞こえますか?」
 とか(目の前にいるのに、だ)挟まなくちゃ気が済まないのだから、妙《みよう》なものである。
 話の途《と》中《ちゆう》に向うが、
 「なるほど」
 とか、
 「それは大変だ!」
 とか、言ってくれりゃいいのだが、黙《だま》ったまま何とも言わない。
 しまいにはイライラして来て、
 「分ってんですか? 分ってるなら、何とか言って下さいよ」
 と言ってやった。すると、
 「ちゃんと肯いてるじゃありませんか」
 と来た。
 真っ暗な中で、肯かれたって、分るはずがないじゃないか!
 添田の顔を見たいと思ったのは、このときが初めてだった。思うぞんぶん殴ってやるのだが。
 「どうします?」
 と僕は言った。
 しばらく、返事はなかった。そして、急にわきの方で、
 「これは容易ならん事態ですぞ」
 と声がしたので、僕は仰天した。
 「どこにいるんです?」
 「ソファに座ってるんです。記《き》憶《おく》を頼《たよ》りに見付けたのですよ。私は、記憶力には自信があるのです」
 変なところで自《じ》慢《まん》をしている。
 チラチラと明りが揺《ゆ》れて近づいて来る。祐子が、ローソクを手に入って来た。
 「停電用の太いローソクが何本か台所にあったんです」
 と、祐子は言った。「あちこちに立てておきましょうか」
 刑事たちよりよほど行動力がある。
 「大倉は、あなただけでなく、我々も殺してやると言ったんですね?」
 「ええ」
 「ふむ……。しかし、おかしい。あなたはともかく、どうして我々を狙《ねら》うのか……」
 「僕は殺されてもいい、っていうんですか!」
 と食ってかかると、
 「いや、そんな意味じゃありません」
 と、あわてて言った。
 「ともかく、池山さんの手当をした方がいいのじゃありません?」
 と、祐子が言った。
 そうだった! 池山は顔を血だらけにして、床《ゆか》に座り込んでいるのだ。話をしている間、放ったらかされていたのだった。
 「そうだ!」
 添田が立ち上ると、池山の方へ駆《か》け寄った。傷を心配してのことか、さすがに多少は部下思いなんだな、と思っていると、添田は、何と傷ついている池山を、
 「お前が逃げられたりするからだぞ!」
 と言うなり、突き飛ばしたのだ。
 これには唖《あ》然《ぜん》とした。他の二人の刑事も愕《がく》然《ぜん》として立ちすくんでいる。
 祐子が素早く池山へ駆け寄って、
 「けがしている人にそんなことをしてはいけません!」
 と、キッと添田をにらみつける。
 そのポーズ、正に千両役者の大み《ヽ》え《ヽ》というところで、「早川屋!」と、声をかけたくなった。
 添田は、たじたじとなったが、
 「しかし——刑事としての責任を取らねばなりません! どいて下さい!」
 と応戦する。
 「この人を殴るのなら、代りに私を殴って下さい!」
 と、祐子が言った。
 彼女が殴られちゃかなわない。僕はあわてて、添田の肩へ手をかけ、
 「ねえ、今はそれどころじゃないでしょ?」
 と声をかけてやった。
 「そうです! それどころではない!」
 よくまあコロコロ変る男だ。
 「——大倉は一人ですよ」
 と、少し落ち着きを取り戻した添田が言った。「大したことはできゃしません」
 「しかし、現に、ここにいる人間を皆殺しにすると——」
 僕の言葉を添田は笑って遮った。
 「それは、奴の強がりです。つまり——そう、いわば、イタチの最後っぺというやつです」
 あんまり上品な比《ひ》喩《ゆ》とは言えないので、僕のように育ちのいい人間は眉をひそめた。
 「大体、大倉は一人で、しかも武器もない。どうやってここにいる五人を殺せるというんです?」
 僕はちょっと居《い》間《ま》の中を見回して、
 「六人でしょ?」
 「池山は人間には入りません」
 と、添田は冷ややかに言い放った。
 「あの……」
 祐子の手で、頭にグルグルと白い包帯を巻かれた池山が言った。
 「何だ、文句があるのか?」
 と添田がにらむ。
 まるでやくざである。
 「いえ……。でも、大倉は武器を持っているんです」
 「武器を?」
 「そうです」
 「何だ? 棍《こん》棒《ぼう》か、チェーンか、光《こう》線《せん》銃《じゆう》か?」
 そんな物、持ってるはずがない!——池山は恐《おそ》る恐る言った。
 「僕の拳《けん》銃《じゆう》です」
 ——添田の顔から、徐々に血がひいて行った。
 「貴様……」
 と、今度は逆に顔を真っ赤にして池山の方へ近寄る。
 池山は、素っ飛んで、祐子の後ろに隠《かく》れてしまった。だらしのない刑事だ。
 「早く逃げましょう!」
 刑事の一人が言った。
 「馬鹿! 敵に後ろを見せる気か?」
 ともう一人が応じる。「大倉が来たら、とっ捕まえりゃいいんだ」
 「じゃ、お前やれよ」
 「やるとも。今から行って、応《おう》援《えん》を呼んで来るからな」
 と、さっさと玄関の方へ歩き出す。
 何のことはない。逃げ出したいのである。
 「待てよ、ずるいぞ!」
 と、もう一人が追いかける。
 「危いわ」
 と、祐子が言った。
 「え?」
 「だって、大倉はこの家の電話も電気も切ったんでしょ? じゃ、すぐ近くにいるはずだわ。今、出て行くと——」
 そうか。僕は、
 「おい、待てよ!」
 と呼びかけたが、もう、一人は玄関のドアを開けていた。
 鋭《するど》い銃声が、響《ひび》き渡《わた》った。先頭の刑事が、弾《はじ》かれるように仰《あお》向《む》けに倒れた。
 「ドアを閉めて!」
 祐子が走り寄ると、ドアを閉め、鍵《かぎ》をかけた。そして、倒れた刑事の方へかがみ込んだが……。
 「——死んでるわ」
 と言った。
 僕も添田も池山も、もう一人の刑事も、声もなく、その死体を見おろしている。
 大倉の拳銃の腕は、かなり確かなようであった。——その刑事の額の真ん中に、弾丸はみごとに命中していたのである。
 
 「大倉は馬鹿じゃありませんよ」
 と、添田は言った。
 あんたは馬鹿だよ、と言ってやりたかったが、やめておいた。
 「少なくとも、ここには刑事が二人もいるのです」
 相変らず池山をのけ者にしているのだ。「そう簡単に襲って来るはずはありません」
 「でも——そうかしら」
 と祐子が不安気に言った。「何しろ向うは人殺しなんか何とも思ってないんでしょう?」
 「そこです。一人やれば二人も三人も同じだ、ということになりがちですからね」
 「——どういう手を打ちます?」
 と僕は言った。
 「一つは、このまま油断なく見張っていて、襲って来られないように用心し、朝まで待つという手です」
 と添田は言った。「朝になれば交《こう》替《たい》が来るはずで、そうなれば、大倉も手は出せませんからね」
 「それまで向うが黙って待ってますかね」
 「それです。じっと待っていたのでは相手の出方が予測できないだけに、却って危険とも言える」
 「すると——?」
 「罠《わな》をしかけるのです」
 「罠?」
 「わざと一人が囮《おとり》となって、外へ出て行き、大倉を誘《さそ》い出して、逮《たい》捕《ほ》する。前の方法を、消極的対応と名付けるとすれば、こっちは積極的方法とでもいうべきものでしょう」
 呼び方なんてどうだっていいのだ!
 「そりゃまあ悪くないとは思いますがね」
 と僕は言った。「誰が囮になるんです?」
 「そりゃまあ……」
 添田が、チラと池山の方を見る。
 「い、いやですよ!」
 池山がまた飛び上って、祐子の後ろへ隠れる。どういう刑事なんだ?
 「僕は若いんです! これから人生を楽しまなきゃいけないんです! こういう場合は年長の人間が行くべきです!」
 「馬鹿! 指揮官が最前線に出て死んでしまったらどうなる!」
 「今は核《かく》戦争の時代ですよ!」
 「だから何だ!」
 「指揮官も兵隊もありません! 死ぬときは一緒です!」
 あのねえ……。この分じゃ、議論してるだけで夜が明けちまう。いや、無事に明けりゃいいが、明けたときは、一人も生き残ってなかったってことになりかねない。
 「——意見があります」
 ともう一人の刑事が言った(なぜか名を知らないのだ)。「我々はここになぜいるのでしょう?」
 何だか急に哲《てつ》学《がく》的《てき》になって来た。我思う、ゆえに我あり。
 「我々は大倉と戦うために来たのではありません」
 と、某《ぼう》刑事は、言った。「我々は、池沢夫人誘《ゆう》拐《かい》事件の捜《そう》査《さ》に来ているのです」
 それはそうだ。
 「しかるに、大倉が池沢氏を狙っているのは、夫人の誘拐とは無関係と考えられます」
 「それで?」
 と、添田が促《うなが》す。
 「従って、大倉と池沢氏との個《ヽ》人《ヽ》的《ヽ》問題に、我々は口を出すべきでないと考えます」
 僕は呆《あつ》気《け》に取られた。
 「ちょっと待って下さいよ!——個人的問題ですって? 僕が殺されそうだってのを、担当じゃないからって放っとくって言うんですか?」
 「論理的には正当だな」
 と添田が肯く。
 「正当ですって? 冗《じよう》談《だん》じゃない、僕は——」
 「いや、決してあなたを見捨てはしません」
 「後でお線香を上げてもらっても、一向に嬉《うれ》しくありませんよ」
 「いや、こうしようと思うのです」
 と添田が身を乗り出す。
 こういうときは、ろくなことを言い出さないのである。
 「大倉にとって、目標は、まずあなたです。他の人間は、そのついでに過ぎない。あなたが出て行けば、必ず奴は出て来ます。我々がそこを待ち構えて——」
 「冗談じゃない! 僕が死にゃいいとでも思ってるんですか?」
 「いや、そんなことは——」
 「仇《かたき》は討ちますよ」
 と、もう一人の某刑事が言った。
 「ともかく、誰も死なずに奴を逮捕する方法を考えましょう」
 と、珍《めずら》しく池山がまともなことを言い出した。
 やはり、いくらかは責任を感じているのかもしれない。
 「でも、大倉は言わば自由ですわ」
 と祐子が言った。「どこからどうやってでも、攻《こう》撃《げき》して来られます。防ぐのは難しいわ」
 「なあに、でかいこと言うだけですよ」
 と、添田がまた突然楽観的になる。「あんな奴は頭の中は空っぽですからな。——おい、タバコはやめろ」
 誰もが顔を見合わせた。そう言えば、何となく煙《けむり》が漂っている。
 「火事だわ!」
 と、祐子が叫んだ。「台所よ!」
 僕らは台所の方へと走った。
 台所は凄《すご》い煙だった。一寸先も見えない。むせ返り、煙が目にしみて、涙《なみだ》を出しながら、必死で火元を捜《さが》した。
 シューという音がして、
 「消したわ」
 と、祐子の声。「——もう大丈夫。ただ、椅子の中の詰め物に火を点《つ》けたんですわ」
 「やれやれ……」
 添田もホッとした様子で、「我々を焼き殺そうとしたのだろうが、みごと失敗しやがって」
 と笑った。
 「いいえ」
 と、祐子が首を振る。「火事にする気はなかったんですわ。だって、火事にするのなら、カーテンにでも火を点ければいいんですもの。煙を出したかっただけなんでしょう」
 「しかし、どうして——」
 と僕が言いかけると、祐子はハッとしたように、
 「居間に誰かいるんですか?」
 と訊いた。
 とたんに、居間の方で銃声が響き渡った。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%