[書き下し文]子曰く、人の己を知らざるを患えず(うれえず)、己の能なきを患えよ。
[口語訳]先生が言われた。『他人が自分を認めてくれないということを心配せず、自分の能力がないことを心配しなさい。』
[解説]『人の己を知らざるを恨まず(患えず)』というのは、軽率な出世主義を戒める『論語』全体を貫くメインテーマの一つであり、孔子は官僚としての出世を焦る弟子達に繰り返しこの発言をしたようである。他人に評価され社会的に有用な地位に就くことも大切だが、孔子はまず自分自身の実力と人格を徹底的に磨いて時機到来を待つように勧めている。