[書き下し文]原壌(げんじょう)、夷(い)して俟つ(まつ)。子曰く、幼にして孫弟(そんてい)ならず、長じて述べらるるなく、老いて死せざる、是を賊と為すと。杖を以てその脛(はぎ)を叩く。
[口語訳]原壌が片足を立てひざにして座って待っていた。先生が言われた。『お前は、幼児の時は素直ではなく、大人になってからは他人に賞賛されたことがなく、年老いても死ぬことがない。こういう人間を国賊(役立たず)というのである。』。孔子は杖で原壌の脛を叩かれた。
[解説]孔子が旧友の原壌の人生に対して容赦のない厳しい糾弾を加えている章であるが、孔子は長い人生の中で何の成長や働きも見られない人物を好まなかったようである。