京都の南座で行われる年末恒例の歌舞伎の顔見世興行を前に、出演者の名前を記して劇場の正面に掲げる「まねき」を書く作業が行われています。
「まねき」は、顔見世興行に出演する歌舞伎俳優の名前を書き入れた縦1.8メートル、幅30センチのヒノキの板で、南座の正面を飾る様子は京都の年の瀬の風物詩となっています。京都市左京区の妙傳寺では「まねき」を書く作業が進められ、書道家の川勝清歩さんが、字につやが出るよう日本酒を加えた墨を含ませた筆を振るっています。字は、公演が大入りになるよう縁起を担ぎ、太くて丸みを帯びた「勘亭流」という書体で板いっぱいに書かれます。川勝さんは「『まねき』を書き終えると1年の責任を果たした気持ちになります」と話していました。今月30日に始まる顔見世興行では、人間国宝の坂田藤十郎さんが「河庄」で当たり役を演じるほか、坂東玉三郎さんと市川海老蔵さんも共演します。「まねき」はあわせて63枚書き上げられ、今月25日に掲げられます。