コレラの感染が拡大するカリブ海の島国ハイチでは「平和維持活動にあたる国連のPKO部隊がコレラ菌を外国から持ち込んだ」と主張する北部の住民らが各地で抗議デモを繰り広げ、一部の住民がPKOの部隊に銃撃を加えたのに対し、部隊側が応戦して、住民1人が死亡する事態に発展しました。
抗議デモは15日、北部の複数の町で同時に起き、「国連のPKO部隊が外国からコレラ菌を持ち込んだ」と主張する住民がPKO部隊の基地の前などでバリケードを張ったり、投石を加えたりしました。現地の国連のスポークスマンによりますと、このうちカルチェモランという町で、銃撃を加えてきた住民に対してPKO部隊が応戦し、住民1人が死亡、さらに別の町では、投石などによってPKO部隊の兵士6人がけがをしました。これについて国連は「PKO部隊の応戦は自己防衛のためだった」とする立場を示しています。ハイチでは、ことし1月の大地震の傷が癒えないなか、コレラの感染が広がっていてハイチの保健省によりますと、感染者はこれまでに1万6800人、死者の数は1034人に上り、政府の対応に不満が高まっています。こうしたなか、今月28日には大統領選挙などが行われる予定で、国連のスポークスマンは一連の抗議デモについて、「高まる住民の不満を、国連に向けさせようという政治的意図が感じられる」と述べ、大統領選挙を前に意図的に混乱を生じさせようと画策する動きがあるという見方を示しました。