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第八章 風神雷神(1)_悪魔が来りて笛を吹く(恶魔吹着笛子来)_横沟正史_日本名家名篇_日语阅读_日语学习网

时间: 2024-10-24    作者: destoon    进入日语论坛
核心提示:第八章 風神雷神 写真班の一行がひきあげ、解剖のために死体が救急車によって運びさられたあとの現場は、まるで嵐あらしが通り
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第八章 風神雷神

 写真班の一行がひきあげ、解剖のために死体が救急車によって運びさられたあとの現場

は、まるで嵐あらしが通りすぎたあとのように惨さん憺たんたるものであった。鑑識課の

連中が指紋検出のためにふりまいていった白い粉が、あらゆる家具にこびりつき、それが

現場を染めている、あのなまなましい血の飛沫しぶきと、奇妙なコントラストをなしてい

る。

 金田一耕助は警部といっしょに、三方に張りめぐらしてあるカーテンをめくって、その

奥をのぞいて見た。そこには庭に面して窓がふたつあるが、それらの窓はいずれも防音の

ために二重窓になっており、しかも盗難よけの目の細かい鉄格子がついている。

 金田一耕助はその鉄格子をいちいちゆすぶって見ながら、

「なるほど、これじゃたとえ締まりがしてなくとも、こっちの窓は問題にしなくてもいい

わけですね」

 金田一耕助はもういちど、観音びらきの扉をしめ、閂かんぬきをはめ、黒いカーテンを

とざしたのち、あらためて部屋のなかを見まわした。それから目賀博士と東太郎にむかっ

てたずねた。

「すると、あなたがたが駆け付けてきたとき、この部屋の戸締まりは、こういう状態に

なっていた。しかも、あなたがたが扉を破って部屋のなかへとびこんできたとき、ここに

は被害者以外、誰の姿も見えなかったというんですね」

 目賀博士と三島東太郎が陰気な目をしてうなずいた。東太郎はいぶかしそうな顔をし

て、上眼づかいにチロチロと、耕助と警部の顔を見くらべている。

「すると、こういうことになりますね。犯人はこれだけの凶行を演じたのち、煙のように

消えうせたか……いや、しかし、常識としてそのようなことは不可能ですから、実際はど

のようなトリックを用いて、密閉した部屋から抜け出したか、あるいは、部屋を出てから

どのようなトリックを用いて、部屋を密閉したかということになりますね。警部さん、扉

のうえの換気窓はどうでしょう。験ためしてごらんになりましたか」

 警部が合図をすると、すぐに刑事が椅い子すにあがって、換気窓から脱出しようと試み

た。しかし、すぐにそれが絶対に不可能であることがわかった。横の幅は相当あっても、

縦の幅のせまいその窓は、辛かろうじて腕がとおるくらいで、どんな小さな男でも、そこ

から抜け出すことは絶対に不可能だった。

「いや、有難うございました。それで凶行後、その窓から抜け出したのだろうという可能

性はなくなったわけですね。実際また……」

 と、金田一耕助はにやにやしながら、

「出ようとすれば扉があるんだから、何も苦労して、そんな小さな窓から抜け出す必要も

ないのですからね。ところで、換気窓が問題でないとすれば、結局、この扉から出ていっ

たということになりますが、そうすると、外からどういう方法で、掛け金をおろし、閂を

はめ、カーテンをしめたか」

「いや、ちょっと。……」

 と、目賀博士がかるい咳せきをして、

「お話中じゃがそのカーテンははじめから、締まっていたんじゃないかな。血のしぶきの

ぐあいからそう思われるが……」

「なるほど、なるほど」

 金田一耕助はうなずいて、

「そうすると、犯人はカーテンをそっとまくって出ていったんですな。とすれば、犯人の

やるべきことはふたつしかない。掛け金をおろすことと、閂をはめること。……しかし、

それは必ずしも不可能なことじゃありませんな」

 金田一耕助は換気窓を仰ぎながら、

「ほかに絶対に隙すき間まがないというならともかく、お誂あつらえむきの場所に、たと

え狭くともああいう窓があるのだから。……」

「と、いうと……?」

 等々力警部が不審そうに耕助の顔をふりかえった。

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