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大金块-机智勇敢的少年侦探(1)

时间: 2021-10-28    进入日语论坛
核心提示:あっぱれ少年探偵 その翌日の夕方までは、なにごともなくすぎさりました。三度の食事は、きのう小林君を牢に入れた、あのおしゃ
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あっぱれ少年探偵


 その翌日の夕方までは、なにごともなくすぎさりました。三度の食事は、きのう小林君を牢に入れた、あのおしゃべりの部下の男が、はこんでくれましたが、そのたびに、じょうだんをいってからかうので、小林君のほうでも、相手になってものをいうようになり、だんだん心やすくなっていくのでした。
 夕方、六時ごろになりますと、やっぱり同じ男が、夕ごはんのおぼんを持って、鉄ごうしの外へやってきました。
「さあ、ぼうや、ごちそうだ。ゆっくりたべるがいい。」
 男は持っているかぎで、鉄ごうしの戸を開き、おぼんを中に入れると、またすぐ戸をしめて、かぎをかけてしまいました。
「ははは、へんな顔しているね。たいくつかい。童話の本でもあるといいんだが、ここには、あいにく、そんなものがおいてないんでね。まあ、ごちそうだけで、がまんするんだね。」
 男はあいかわらず、おしゃべりです。
 小林君は、ゆうべ牢をぬけだしたとも知らないで、いばっている男の顔を見るたびに、おかしくてしかたがありませんでした。それに、ゆうべ、この男は五人の部下の中で、いちばん大きないびきをかいて正体もなくねむっていたのです。それを思いだすと、小林君はふきだしそうになるのでした。
 でも、賊は小林君が明智探偵の少年助手だなんて、夢にも知らず、宮瀬不二夫君だとばかり思いこんでいるものですから、うっかり笑顔なんかできません。こわくてしかたがないというようなふうをして、おどおどしていなければならないのです。
「ねえ、おじさん。」
 小林君は、おずおずと男に声をかけました。
 けさから、きこうきこうと思いながら、あまりなれなれしく見えてもいけないと思って、今までがまんしていたのですが、もうよい時分と、それをいいだすつもりなのです。
「え、なんだい。何かほしいものでもあるのかい。それならえんりょなくいうがいいぜ。おまえは、だいじなお客さまだから、なんでもいうままにしてやれって、首領のいいつけだからね。」
 男は、にやにや笑いながら、ひげむじゃの顔を鉄ごうしにくっつけるようにして、いうのです。
「あのね、おじさん、首領って、いったいだれなの? どんな人なの?」
 小林君は、なにげなくたずねました。
「こわいおじさんさ。ははは、じつをいうとね、おれたちも、首領がどんな人だか、よくは知らないのだよ。一度も顔を見たことがないんだからね。だが、いい首領だ。おこるとこわいけれど、仕事をすれば、ちゃんとそれだけのことはしてくださるんだからね。それでなけりゃ、こんな穴ぐらずまいなんか、一日だってがまんできるもんじゃないよ。」
 小林君が、たった一日で見やぶってしまった首領の正体を、この男はまだ知らないようすです。悪人でも、人の手下になっているようなやつは、力は強くても、頭のはたらきがにぶいのでしょう。
「あのね、おじさん、この地下室の入り口は一つしかないんだろう。」
 小林君は、だんだん大胆になって、また別のことをたずねてみました。
「うん、一つしかない。おまえのつれられてきた入り口一つきりだよ。」
「そこには番人がいるんだろうね。」
「ハハハ、こいつへんなことをききだしたな。おまえ、牢やぶりをして、逃げだすつもりかい。ハハハ、だめだめ、むろん番人がいるよ。地下室の入り口には、昼でも夜でも、こわいおじさんが大きな目をむいてがんばっているんだ。おまえが逃げだそうとでもしたら、その番人にひどいめにあうぜ。そんなつまらないことは考えるんじゃない。だいいち、逃げだそうといったって、その鉄ごうしが、おまえなんかの力でやぶれるものかね。ハハハ。」
 男は何も知らないで、さもおかしそうに笑いました。
 小林君は、ゆうべこの鉄ごうしを開いて、ちゃんとぬけだしているのです。明智先生の発明された万能かぎを持っているので、どんな錠まえだってやすやすと開くことができるのです。それを知らないで男が安心しきって笑っているのを見ると、こちらこそ、ふきだしたくなるのでした。
「おじさん、首領っていう人、いつでも、ここにいるのかい。ときどき外へ出かけることもあるの?」
 小林君は、こんどは、さもなにげないふうで、いちばんききたいことをたずねました。
「そりゃお出かけになるさ。首領はここに一日いることなんて、めったにないんだよ。いろいろな仕事があってね、とてもいそがしいからだなんだ。今夜もだいじな用件があって、あるところへ出かけるんだよ。」
「やっぱり、あんな覆面のまま出かけるのかい。」
「ハハハ、おまえ、いろんなことをきくんだねえ。いくら夜だって、覆面のまま外へ出ては、かえって人にあやしまれるじゃないか。むろん、あたりまえの身なりにかえて出かけるんだよ。」
「じゃ、そのとき、おじさんたち、首領の顔が見られるじゃないか。どうして、首領の顔を知らないなんていうの?」
「ところが、見られないんだよ。首領は魔法使いなんだ。おれたちのちっとも知らないうちに、どこかへ出かけたと思うと、いつのまにか、また、ちゃんと帰っているんだ。首領は変装の名人でね、いつもまるでちがった身なりをして出かけるということだが、おれたちは、その姿を一度も見たことがないんだ。」
「へんだねえ、じゃ、どっかに秘密の出入り口があるんじゃないの? 首領は、そこからこっそり出入りしているんじゃないの?」
 小林君は、その秘密の出入り口もちゃんと知っているのに、わざとそしらぬふりをして、ききかえしました。
「うん、おれたちも、そうじゃないかと思っているんだ。だが、それがどこにあるのか、すこしもわからないのだ。どう考えても、首領は魔法使いだよ。おれたちはまた、首領のそういうふしぎな力に、すっかりまいっているんだがね。」
 男は相手を子どもとあなどって、ひごろおもっていることを、なにもかも、うちあけてしまうのでした。
「じゃ、首領は今夜は、るすなんだね。」
 小林君は何よりも、それがたしかめたいのです。
「うん、るすだ。お帰りは夜中になるだろう。いつもそうだからね。」
 小林君はそれを聞いて「うまいぞ。」と思いました。暗号文を取りかえすのには、首領のるすのときを待つほかはないが、それには二、三日牢ずまいをしなければなるまいとかくごしていたのに、その機会がこんなに早くやってこようとは、なんというしあわせでしょう。いよいよ今夜逃げだせるのかと思うと、もう、うれしくてしかたがありません。
 男は、なおもいろいろじょうだんをいって、小林君をからかっていましたが、小林君がだまりこんでしまったので、つまらなそうに、おしゃべりをやめて、どこかへ立ちさってしまいました。
「さあ、いよいよ今夜は大仕事だぞ、うんとおなかをこしらえておかなくっちゃ。」
 小林君は男のはこんでくれた夕ごはんを、おいしそうにたべはじめました。なかなかごちそうです。大きなチキンのフライに、トマトがどっさりついていて、ごはんがおさらに山もり、それに紅茶までそえてあるのです。小林君は、そのごちそうを、またたくまにすっかりたいらげてしまいました。

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