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灰色巨人-生擒侏儒

时间: 2021-11-28    进入日语论坛
核心提示:おばけ玉(だま) そこで、小林団長は二十人の団員を十人ずつふたくみにわけ、ひとくみの十人には、八幡神社の森の中を見はらせる
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おばけ(だま)


 そこで、小林団長は二十人の団員を十人ずつふたくみにわけ、ひとくみの十人には、八幡神社の森の中を見はらせることにしました。宝冠の少女が、森のどこかにかくれていて、こっそり逃げだすといけないからです。のこる十人を、また五人ずつ、ふたくみにわけました。そして、ひとくみの五人には、サーカスの大テントの前に、いろいろな動物がならべてある中の、クマのおりの見はりを命じました。その鉄棒のはまったおりの中には、曲芸をする大きなクマがはいっているのです。なぜ、クマのおりを見はらせたか、そのわけは、やがてわかります。
 小林団長と園井少年は、さいごの五人のひとくみの中にのこりました。そして、大テントの曲芸場から、がくやへ出入りするカーテンのところへ集まりました。
 小林君はさきに立って、大きなカーテンをまくり、がくやの通路へはいっていきました。通路の両がわには、曲芸に使ういろいろな道具がおいてあります。
 その中に、「玉のり」の大きな玉が五つころがっていました。土でできた重い玉で、白と赤のだんだらぞめになっています。その上に曲芸師の少女がのって、足でクルクルまわしながら歩きまわる、あの玉です。
「おや、ひとつだけ、でっかい玉があるね。巨人の玉だね。」
 ひとりの少年が、五つの玉の中の、ひとつをゆびさしていいました。それだけが、直径八十センチもある、大きな玉なのです。
「これは、きっと、女の子じゃなくて、おとながのるんだよ。あの大男の道化師が、のるのかもしれないね。」
 べつの少年がいいました。みんなが「灰色の巨人」のことを、考えているものですから、「巨人」とか「大男」とかいうことばが、つい口にでるのです。
 小林団長は、そのとき、くちびるにゆびをあてて、みんなにだまるように、あいずをしました。そして、その大きな玉のそばへ近よると、両手で玉を動かしながら、なにかしらべようとしました。
 すると、ふしぎなことがおこったのです。小林君が、ちょっと動かした玉が、そのまま止まらないでゴロゴロころがりはじめました。まるで、いきもののように、ひとりで、むこうのほうへ、ころがっていくのです。
 少年たちは、それを見ると、びっくりして、立ちすくんでしまいました。
 そこは、べつに、坂になっているわけではありません。ひとりでころがるどうりがないのです。しかも、玉のころがる速度が、だんだん早くなっていくではありませんか。
 おばけ玉です。
 少年たちは、「ワーッ。」といって、逃げだしそうになりました。
 しかし、小林団長だけは逃げるどころか、そのおばけ玉を、追っかけて走りだしました。
「おい、みんな、追っかけるんだ。あの玉を、追っかけるんだ。」
 団長の命令とあっては、逃げるわけにもいきません。少年たちは、団長のあとについて、おばけ玉のあとを追いました。
 玉は、カーテンの外の、曲芸場の砂場へ出て、そのまん中にある、大きなまるい板ばりのぶたいへ、ころがっていきました。この板ばりの上で、いつも「玉のり」が、えんじられるのです。
 白と赤のだんだらぞめの大きな土の玉は、まるで、目に見えぬ人間がその上にのってでもいるように、右に左に、ゴロゴロ、ゴロゴロ、板ばりの上をころげまわりました。
 少年たちは、このふしぎなおにごっこに、だんだん元気づいて、いまは、「ワーッ。ワーッ。」と、ときの声をあげながら、おばけ玉を追っかけまわすのです。
 ほんとうに、おにごっこでした。玉は、逃げよう、逃げようとする。少年たちは、逃がすまいと、さきまわりをして、とおせんぼうをする。そして、とうとう、おばけ玉は、少年たちに、四方から取りかこまれ、おさえつけられて、もう動けなくなってしまいました。
 すると、そのとき、じつに、とほうもないことが、おこったのです。少年たちは、「ワーッ。」とさけんで、玉のそばから、とびのきました。
 ごらんなさい! 土の玉が、まっぷたつに、われたのです。そして、モモの中から桃太郎がとびだすように、その玉の中から、へんなやつがとびだしてきたのです。
 でっかい頭に赤白の運動帽をかぶり、赤いジャンパーに、はでなしまズボン、顔はおとなで、からだは子どもみたいなやつです。
「あっ、一寸法師だっ。」
 それは、宝冠をぬすみ出した一寸法師でした。土の玉の中が、くりぬいてあって、そこが一寸法師のかくればになっていたのです。玉が、ひとりでころがったわけも、これでわかりました。小林団長が、ポケットから、よびこの笛を出して、ピリピリリッ……と、ふきならしました。
 すると、ライトのむこうの方から、明智探偵と、中村警部と、数名の警官が、かけつけてきました。そして、一寸法師は、なんなく、つかまってしまったのです。
「おてがら! おてがら! さすがは少年探偵団だね。よく一寸法師を、さがしてくれた。」
 中村警部が、ニコニコして、少年たちのてがらをほめました。
「これで、ひとりはつかまったが、あとにまだ、ふたりいる。小林君、しっかりやるんだよ。」
 明智探偵が、小林団長のかたをたたいて、はげますのでした。明智は、じぶんがやれば、なんでもないのですが、こういうときに、小林君や少年団員たちに、じゅうぶん、てがらをたてさせてやろうと考えていたのです。
 そのとき、ひとりの警官が走ってきて、中村警部に、ほうこくしました。
「あちらのオートバイ曲芸のおけの中に、クマがおちこんでいます。くさりをきって、逃げたらしいのです。」
 それをきくと、「よしっ。」といって、明智探偵は、そのほうへ、かけだしました。小林君や少年団員たちも、そのあとにつづきます。中村警部と数名の警官は、一寸法師をとりかこんで、もとの場所に、のこっていました。

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