このホジャおじさんが、若い頃の事です。
村には、大変いじっぱりな子どもがいました。
「おら、だれにもだまされないぞ!」
その子に、ホジャが言いました。
「ははーん。小僧が生意気に。よし、わしが必ず、お前をだましてやる。お前が勝つか、わしが勝つか、勝負だ」
「いいとも、勝負だ。絶対にだまされるもんか!」
「よし、じゃあ、ちょっと待ってろよ。今から家に帰って、用をすましたらだましてやるからな」
「いいとも。待っててやらあ。だませるもんなら、だましてみろ」
さて、それからずーと、子どもはその場で待っていましたが、いくら待ってもホジャは戻ってきません。
「おや? そんなところで、何をしてるんだい?」
友だちがやってきて聞いたので、子どもはホジャとの勝負の事を話しました。
すると友だちが、笑いながら言いました。
「ばかだなあ。勝負なんてうそだよ。お前はホジャに、だまされたんじゃ」