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カメのこうらはヒビだらけ

时间: 2017-12-26    进入日语论坛
核心提示: むかしむかし、あるところに、一匹のカメがいました。 このカメは、大変知りたがり屋でした。 ある晩の事です。 カメは砂浜
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 むかしむかし、あるところに、一匹のカメがいました。
 このカメは、大変知りたがり屋でした。
 
 ある晩の事です。
 カメは砂浜に出て、きれいな星空をながめていました。
「ああ、何てきれいな空だろう。なんて素敵な星だろう。あの星のそばは、どんなふうなんだろうなあ」
 空を見上げているうちに、カメは星のそばへ行ってみたくなりました。
 カメはノッソリノッソリと、空を目指して歩き始めました。
 歩いているうちに、夜が明けました。
 なお歩き続けているうちに日が暮れて、また夜が来ました。
 カメが空を見上げてみると、星はあいかわらず空高く輝いています。
 カメはガッカリしましたが、でもまた元気を出してノロノロと歩き始めました。
 でも、歩いても歩いても、星は近くなりません。
 カメは疲れ切って、もうひと足も前ヘ進めなくなりました。
「もう駄目だ。星のそばへなんか、とうてい行けないんだ」
 カメが悲しんでいると、灰色のアオサギがそばを通りかかりました。
「こんにちは、カメさん。こんなところで何をしているのですか?」
「はい。星のそばヘ行ってみたいんだけど、歩いても歩いても行けないんだよ。アオサギさん。わたしを空へ連れて行ってくれないかい?」
「いいですとも。お安いご用です。さあ、わたしの背中にお乗りなさい」
 カメは大喜びで、アオサギの背中によじ登りました。
 アオサギは、翼を広げて舞い上がりました。
 アオサギは、グングン空高く昇って行きます。
 しばらくして、アオサギはカメに聞きました。
「カメさん、カメさん。地面が見えますか?」
「見えるよ。ずいぶん小さくはなったけどね」
と、カメは答えました。
 アオサギは、いっそう高く昇って行きました。
 しばらく行くと、またカメに聞きました。
「カメさん、地面はまだ見えますか?」
「いや、アオサギさん。もう見えなくなってしまったよ」
 すると突然、アオサギは大声をあげて笑い出しました。
「えっへへへ。バカなカメさん、バイバーイ」
 そしていきなり高い高い空の上で、クルリと宙返りをしたのです。
 実はアオサギは、悪い魔法使いだったのです。
 カメはアオサギの背中からあっという間に放り出されて、真っ逆さまに落ちて行きました。
 可愛そうなカメは目をしっかり閉じて、一生懸命神さまにお祈りしました。
(神さま、神さま、神さま。もしも助けてくださったら、もう二度と空ヘ行きたいなどと申しません)
 地面の近くまで来た時、カメは目を開けてみました。
 すぐ近くに、森や山が見えます。
「危ない! みんなよけてくれ! どいてくれ!」
 カメは、夢中で叫びました。
「ぼくにぶつかったら、みんな潰れてしまうぞ!」
 森の木も、山の岩も、急いでわきヘよけました。
 ドシーン!
 カメは地面に、ものすごい勢いでぶつかりました。
 でも、カメは死にませんでした。
 けれどもカメのこうらは、コナゴナに砕け散ってしまいました。
 それを、一人の良い魔法使いが見ていました。
 魔法使いはカメを可愛そうに思い、こうらのかけらを集めてつないでやりました。
 この時からカメのこうらは、ひびだらけになってしまったのです。
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