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うずめられた鏡(1)

时间: 2022-09-01    进入日语论坛
核心提示: 後のちになってから、烏帽子岳えぼしだけという名ながついたけれど、むかしは、ただ三角形かくがたの山やまとしか、知しられて
(单词翻译:双击或拖选)


 のちになってから、烏帽子岳えぼしだけというがついたけれど、むかしは、ただ三角形かくがたやまとしか、られていませんでした。やまがはじめて、地上ちじょうまれたとき、あたりは、荒涼こうりょうとして、なにも、にとまるものがなかったのです。
 そのとき、はるかきたほうに、紫色むらさきいろひかうみえました。
「あれは、なんだろう。」と、やまおもいました。この大自然だいしぜんについて、なにもらなかったやまは、て、やがてれるまでのあいだに、いくたびとなく、かわるうみいろて、ふしぎにかんじたのです。しかし、からだのうごかされぬやまは、ただ、いろいろと、自然しぜん空想くうそうするばかりでした。
「どうすれば、あすこに、いくことができるだろうか。」
 そのときやまは、おおきなかぜがふいて、自分じぶんをうごかしてくれはせぬかとおもいました。しかし、かつてそんなような、おおきなかぜのふいたことがありません。こうして、ひとりぼっちでいるやまは、そのころ、うみだけが、なんだか自分じぶん運命うんめいを一つにするようながして、どうか、おたがいに、いに、なりたいとねがいました。
 大空おおぞらをあおげば、ほし毎夜まいよのごとくわらったり、はなしをしたりしますけれど、やまはもっと身近みぢかに、ともだちをちたかったのでした。
 あるうみいろが、とりわけ、きれいにさえてえたのです。やまは、なにかうみが、自分じぶんにあいずをするのだとおもいました。だから、自分じぶんもわらってこたえました。そして、そのから、二人ふたりはいくらか、いになったというかんじがしました。
 なにごとによらず、こうありたいと、熱心ねっしん仕事しごとをすれば、いつか、かならず成功せいこうするものです。人間にんげんとおくから、たがいにはなしができるようになったのも、電気でんき発明はつめいしたからで、やはり自然しぜんおおきなちからを、ったからであります。
 たにからわきがるくもが、自由じゆうにうごけるところから、やまくも使つかいにたてることを、かんがえつきました。そして、あるときは、やまからうみへ、また、あるときは、うみからやまへと、くも往来おうらいしたのでした。
 うみうえでは、なみがあって、なみはなぎさへおしよせて、いわにくだけ、しぶきはたまのごとくとびちり、とお水平線すいへいせんは、縹渺ひょうびょうとして、けむるようにかすみ、しろとりが、砂浜すなはまれをなしてあそんでいるのを、くもやまへかえると、おもしろくはなしました。
 またやまでは、おいしげる木々きぎに、あらしがおそうと、はげしくえだえだをもみあい、そして、頂上ちょうじょうから落下らっかするたきが、さながらかみなりのとどろくように、あたりへこだまするものすごい光景こうけいを、くもうみへいってかせることもありました。
 こうして、しろくもは、南方なんぽうたかやまから、うごきはじめて、きたうみのほうへながれていたのであるが、途中とちゅう、ゆらゆらと平野へいやをいったとき、そこここに、百しょうのすむわらぶきやがあったり、はたけをたがやす男女だんじょや、うまや、うしや、いぬなどの姿すがたが、ちらちらとえました。
 こんもり木立こだちのしげるところに、丹塗にぬりのやしろがあって、そのまえに、ひとがひざまずいて、よく祈願きがんをこめていました。ちょうどこのとき、おとこは、かみさまにおれいをいっているのでした。
かみさま、よくわたし人間にんげんとして、まれさせてくださいました。もし、そうでなかったら、わたし毎日まいにち、くるしいめにあって、なぐられたり、いまわされたりしなければならなかったでしょう。それをおかげで、うしや、うまをつかって、らく仕事しごとをして、らすことができます。これというのも、人間にんげんまれさせてくださったかみさまの、おかげであります。」と、もうしていました。
 このおとこると、つぎにやしろまえへきてすわったのは、まだわかおんなでありました。彼女かのじょは、熱心ねっしんをあわせあたまをひくくたれて、ねがっていました。
「いまわたしは、七にんおとこから、結婚けっこんをもうしこまれていますが、わたしこころなかあいするおとこは、そのなか一人ひとりです。しかしわたしは、そのことを正直しょうじきに、うちあけることができません。なぜなら、ほかの六にんおとこたちは、みんな、そのおとこより身分みぶんたかく、物持ものもちであり、勢力せいりょくもありますから、それをったら、きっと、そねんで、どんなしかえしを、するかもしれません。わたしはいっそ、二人ふたりで、やまのあちらへにげていこうとおもいましたが、くまや、おおかみのいるもりや、たに奥深おくふかくはいらなければなりませんので、ころされることなしに、ぶじいけるとおもいません。かみさま、どうしたら、わたしども二人ふたりは、安全あんぜんにゆくすえながいとげられますか、あなたのおちからで、おすくいくださいまし。」と、しばらく、あたまにすりつけていたのでした。
 やがて、あきれがすむと、むらいわまつりが、やしろ境内けいだいで、もよおされました。彼女かのじょはこの、七にんおとこたちからけた七めんかがみを、ひもでとおして、くびにかけておどるのでした。かみのおげをまって、どの一人ひとりにか、きめなければなりません。
 くわしいわけをった身寄みよりのものたちは、なにか、かわったことがこらなければいいがと、しんぱいしました。ちょうど、やしろうえそらには、をあびて、くもいろがまっかにえました。

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