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うさぎと二人のおじいさん

时间: 2022-10-17    进入日语论坛
核心提示:うさぎと二人のおじいさん小川未明 ふたりの気(き)むずかしい、おじいさんが、隣(とな)り合(あ)わせに住(す)んでいました。一人
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うさぎと二人のおじいさん

小川未明


 ふたりの気(き)むずかしい、おじいさんが、隣(とな)り合(あ)わせに住(す)んでいました。一人(ひとり)のおじいさんは、うさぎを飼(か)っていました。白(しろ)いのや、黒(くろ)いのや、なかには、毛色(けいろ)の変(か)わった珍(めずら)しいのやらがおって、それを大事(だいじ)にして、我(わ)が子(こ)のように、めんどうを見(み)てやっていましたが、隣(となり)のおじいさんが、毎朝(まいあさ)、大(おお)きなせきをして、うさぎを驚(おどろ)かすので、そのたびに、眉(まゆ)をひそめて、口(くち)のうちで、小言(こごと)をいっていたのです。
 また、こちらのおじいさんは、隣(となり)の家(うち)では、ろくろく庭(にわ)も広(ひろ)くないのに、うさぎなどを飼(か)っているので、まだ暗(くら)いうちから、うさぎがけんかをして、キッ、キッ、といったりする、そのたびに目(め)をさまさせられて、うるさいことに思(おも)っていました。
「こんな、狭(せま)い場所(ばしょ)で、あんな生(い)き物(もの)などを飼(か)うばかがあるものか……。」と、せきをするおじいさんはいったのです。
 おじいさんが、こういって、怒(おこ)るのも無理(むり)はない。よく、うさぎが、垣根(かきね)の下(した)の方(ほう)のすきまから、紅(あか)い目(め)と、とがった唇(くちびる)を出(だ)して、こちらのおじいさんが、丹誠(たんせい)している草(くさ)の芽(め)や、盆栽(ぼんさい)の葉(は)などを食(た)べたからでした。
 ある朝(あさ)のこと、うさぎを大事(だいじ)にしているおじいさんは、いちばんかわいがっていた黒(くろ)いうさぎが垣根(かきね)のすきまから、隣(となり)の庭(にわ)に植(う)わっている、木(き)の葉(は)かなにかを食(た)べているのを、だまって知(し)らぬふりをして見(み)ていました。このとき、ちょうどせきをするおじいさんが、やはり、こちらで、うさぎが自分(じぶん)の家(うち)の方(ほう)へ顔を出(だ)しているのを見(み)つけましたので、ひとつおびやかしてやろうと思(おも)って、足音(あしおと)をたてぬようにそばへ寄(よ)って、大(おお)きなせきをうさぎの頭(あたま)の上(うえ)でしたのでした。
 うさぎは、びっくりして逃(に)げ出(だ)しました。これを見(み)たうさぎのおじいさんもやはり、びっくりしました。
 この後(ご)のことです。黒(くろ)いうさぎが、せきをするようになりました。うさぎを飼(か)っているおじいさんは、これは、隣(となり)のおじいさんが、このあいだ、うさぎにせきをうつしたからだと思(おも)いました。うさぎが、あちらへ頭(あたま)を出(だ)したのが悪(わる)いから、表向(おもてむ)きに、どうこういうことはできなかったけれど、おじいさんは、このことでぷんぷん、怒(おこ)っていました。
「うちの黒(くろ)いうさぎへ、隣(となり)の老人(ろうじん)が、せきをうつしたのですよ。」と、おじいさんは、くる人々(ひとびと)に、告(つ)げていました。
「へえ、うさぎが、せきをうつされたのですか?」と、近所(きんじょ)の人(ひと)たちは、みょうなことがあればあるものだと、わざわざ黒(くろ)いうさぎが、せきをするのを見(み)にやってくるものもあった。すると、黒(くろ)いうさぎが、小(ちい)さな頭(あたま)を上下(うえした)に動(うご)かしながら、せきをしたのです。人(ひと)たちは、腹(はら)を抱(かか)えて笑(わら)いました。
「うさぎに、せきをうつすなんて、みょうな老人(ろうじん)があったものだ。」と、こんどは、みんなが、せきをするおじいさんのうわさをしました。
「どんな顔(かお)のおじいさんですか?」と、いうものもあれば、
「変(か)わった、おじいさんですね。」と、いったものもありました。
「こんど、通(とお)ったときに、どんな顔(かお)をしているかよく見(み)ましょう。」と、みんなは、口々(くちぐち)にいいました。
 せきをするおじいさんは、自分(じぶん)のうわさが、そんなふうに拡(ひろ)がっているとは知(し)りませんから、平気(へいき)で道(みち)を歩(ある)いていたのです。
 子供(こども)たちは、右(みぎ)の眉毛(まゆげ)の上(うえ)に、大(おお)きな黒子(ほくろ)があって、白(しろ)いあごひげのはえているおじいさんが、つえをついて、あちらへゆくのを見(み)ると、
「あのおじいさんだよ。」と、指(ゆび)さしたのでした。
 太郎(たろう)は、学校(がっこう)で、図画(ずが)の時間(じかん)に、おじいさんを描(か)きました。そこで、これに、「うさぎにせきをうつしたおじいさん」と、題(だい)をつけました。
 先生(せんせい)は、これを見(み)て、どういうわけかわからないので、首(くび)をかしげていましたが、太郎(たろう)に、どういうことかとたずねたのです。
 太郎(たろう)は、近所(きんじょ)に住(す)んでいる、うさぎのおじいさんから聞(き)いたままのことを話(はな)しますと、なぜだか、先生(せんせい)ばかりでない、他(た)の生徒(せいと)たちも、みんなが大(おお)きな声(こえ)を出(だ)して笑(わら)いました。

 

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