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こまどりと酒(2)

时间: 2022-11-01    进入日语论坛
核心提示: おじいさんは、酒さけが好すきでしたから、せっかく持もってきたものをと思おもって、さっそく、徳利とくりを取とってすぐに飲
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 おじいさんは、酒さけが好すきでしたから、せっかく持もってきたものをと思おもって、さっそく、徳利とくりを取とってすぐに飲のみはじめたのであります。
酒さけを飲のむと、おじいさんは、ほんとうに、いい気持きもちになりました。いくら、家いえの外そとで、寒さむい風かぜが吹ふいても、雪ゆきが降ふっても、おじいさんは火ひのかたわらで酒さけを飲のんでいると、暖あたたかであったのです。
酒さけさえあれば、おじいさんは、寒さむい夜よを夜業よなべまでしてわらじを造つくることもしなくてよかったので、それから夜よるも早はやくから床とこにはいって眠ねむることにしました。おじいさんは眠ねむりながら、吹雪ふぶきが窓まどにきてさらさらと当あたる音おとを聞きいていたのであります。
明あくる朝あさ、おじいさんは、目めをさましてから、戸口とぐちに出でて、柱はしらを見みますと、昨日きのう空からの徳利とくりを懸かけておいたのに、いつのまにか、その徳利とくりの中なかには、酒さけがいっぱい、はいっていました。
「こんなにしてもらっては、気きの毒どくだ。」と、おじいさんは、はじめのうちは思おもいましたが、いつしか毎日まいにち、酒さけのくるのを待まつようになって、仕事しごとは、早はやく片かたづけて、後あとは、火ひのかたわらでちびりちびりと酒さけを飲のむことを楽たのしみとしたのであります。
ある日ひのこと、おじいさんは柱はしらのところにいってみますと、空からの徳利とくりが懸かかっていました。
「これは、きっと小僧こぞうさんが忘わすれたのだろう。」と思おもいました。
しかし、その翌日よくじつも、その翌日よくじつも、そこには、空からの徳利とくりがかかっていました。
「ああきっと、永ながい間あいだ酒さけをくれたのだが、もうくれなくなったのだろう。」と、おじいさんは思おもいました。
おじいさんは、また、自分じぶんから働はたらいて、酒さけを買かわねばならなくなりました。そこで、夜よるはおそくまで、夜業よなべをすることになりました。
「なんでも、他人たにんの力ちからをあてにしてはならぬ。自分じぶんで働はたらいて自分じぶんで飲のむのがいちばんうまい。」と、おじいさんは、知しったのであります。
しばらくたつと、酒屋さかやの小僧こぞうがやってきました。
「じつは、せんだってまたこまどりが、どこかへ逃にげてしまったのです。もう、ここへはやってきませんか?」といいました。
おじいさんはそれで、はじめてもう酒さけを持もってきてくれないことがわかったような気きがしました。
「どうして、大事だいじなこまどりを二度ども逃にがしたのですか。」と、おじいさんは怪あやしみました。
「こんどは、主人しゅじんが、ぼんやりかごの戸とを開あけたままわき見みをしているうちに、外そとへ逃にげてしまったのです。」と、小僧こぞうは答こたえました。
「それが、もし、おまえさんが逃にがしたのならたいへんだった。」と、おじいさんは、笑わらって、
「どんな人間にんげんにも、あやまちというものがあるものだ。」といいました。
おじいさんは、毎晩まいばん、夜よるおそくまで仕事しごとをしたのであります。またおりおり、ひどい吹雪ふぶきもしたのでした。
おじいさんはうす暗くらいランプの下したで、わらをたたいていました。吹雪ふぶきがさらさらと、窓まどに当あたる音おとが聞きこえます。
「ああ、こんやのような晩ばんであったな。こまどりが吹雪ふぶきの中なかを、あかりを目めあてに、飛とび込こんできたのは。」と、おじいさんは独ひとり言ごとをしていました。
ちょうど、そのとき、おりもおり窓まどの障子しょうじにきてぶつかったものがあります。バサ、バサ、バサ……おじいさんは、その刹那せつな、すぐに、小鳥ことりだ……こまどりだ……と思おもいました。そして、急いそいで障子しょうじを開あけてみますと、窓まどの中なかへ、小鳥ことりが飛とびこんできて、ランプのまわりをまわり、いつかのように、わらの上うえに降おりて止とまりました。
「こまどりだ!」と、おじいさんは思おもわず叫さけんだのです。
おじいさんは、このまえにしたように、また、かごの空あいたのを持もってきて、その中なかにこまどりを移うつしました。それから、雪ゆきを掘ほって、青菜あおなを取とり、また川魚かわざかなの焼やいたのをすったりして、こまどりのために餌えを造つくってやりました。
おじいさんは、そのこまどりはいつかのこまどりであることを知しりました。
そして、それを、酒屋さかやの小僧こぞうに渡わたしてやったら、主人しゅじんがどんなに喜よろこぶだろうかということを知しりました。
そればかりではありません。おじいさんは、このこまどりを酒屋さかやへやったら、先方せんぽうは、また大おおいに喜よろこんで、いままでのように、毎日まいにち、自分じぶんの好すきな酒さけを持もってきてくれるに違ちがいないということを知しりました。
おじいさんは、どうしたら、いいものだろうと考かんがえました。
こまどりは、おじいさんのところへきたのを、うれしがるように見みえました。そして、その明あくる日ひからいい声こえを出だして、鳴ないたのであります。
おじいさんは、このこまどりの鳴なき声ごえを聞ききつけたら、いまにも酒屋さかやの小僧こぞうが飛とんでくるだろうと思おもいました。
寒さむい、さびしかった、永ながい冬ふゆも、もうやがて逝ゆこうとしていたのであります。たとえ吹雪ふぶきはしても、空そらの色いろに、はや、春はるらしい雲くもが、晩方ばんがたなどに見みられることがありました。
「もう、じきに春はるになるのだ。」と、おじいさんは思おもいました。
山やまから、いろいろの小鳥ことりが、里さとに出でてくるようになりました。日ひの光ひかりは、一日にちましに強つよくなって、空そらに高たかく輝かがやいてきました。おじいさんは、こまどりのかごをひなたに出だしてやると、さも広々ひろびろとした大空おおぞらの色いろをなつかしむように、こまどりはくびを傾かたむけて、止とまり木ぎにとまって、じっとしていました。
「ああ、もう春はるだ。これからは、そうたいした吹雪ふぶきもないだろう。昔むかしは広ひろい大空おおぞらを飛とんでいたものを、一生しょうこんな狭せまいかごの中なかに入いれておくのはかわいそうだ。おまえは、かごから外そとへ出でたいか?」と、おじいさんは、こまどりに向むかっていっていました。
こまどりは、しきりに、外そとの世界せかいに憧あこがれていました。そして、すずめやほかの小鳥ことりが、木きの枝えだにきて止とまっているのを見みて、うらやましがっているようなようすに見みえました。
おじいさんは、酒屋さかやへいってかごの中なかにすむのと、また、広ひろい野原のはらに帰かえって、風かぜや、雨あめの中なかを自由じゆうに飛とんですむのと、どちらが幸福こうふくであろうかと、小鳥ことりについて考かんがえずにはいられませんでした。
また、酒さけの好すきなおじいさんは、この小鳥ことりを酒屋さかやに持もっていってやれば、これから毎日まいにち自分じぶんは、夜業よなべをせずに、酒さけが飲のまれるのだということをも思おもわずにはいられませんでした。しかし、おじいさんはついに、こまどりに向むかって、
「さあ、早はやくにげてゆけ……そして、人間にんげんに捕つかまらないように、山やまの方ほうへ遠とおくゆけよ。」といって、かごの戸とを開あけてやりました。
もう、気候きこうも暖あたたかくなったのでこまどりは、勇いさんで、夕暮ゆうぐれ方がたの空そらを、日ひの落おちる方ほうに向むかって飛とんでゆきました。その後のちまた、吹雪ふぶきの夜よはありましたけれど、こまどりは、それぎり帰かえってはきませんでした。
 
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