返回首页
当前位置: 首页 »日语阅读 » 小川未明童話集 » 正文

少女がこなかったら(1)

时间: 2022-11-07    进入日语论坛
核心提示:少女がこなかったら小川未明寒さむい、暗くらい、晩ばんであります。風かぜの音おとが、さびしく聞きかれました。ちょうど、真夜
(单词翻译:双击或拖选)

少女がこなかったら

小川未明


寒さむい、暗くらい、晩ばんであります。風かぜの音おとが、さびしく聞きかれました。ちょうど、真夜中まよなかごろでありましょう。
コロ、コロ、といって、あちらの往来おうらいをすぎる車くるまの音おとが、太郎たろうのまくらもとに聞きこえてきました。もう、だいぶねあきていましたので、彼かれはふと目めをあけて、その車くるまの音おとに、耳みみをすましたのでした。
「いま時分じぶん、あんな車くるまを引ひいてゆくのは、どんな人間にんげんだろう?」
こう、彼かれは考かんがえました。すると、それは怖おそろしい人ひとのようにも思おもわれました。というのは、その音おとは、いま、はじめて聞きく車くるまの音おとではなかったのです。
まだ、自分じぶんが小ちいさかったとき、夜中よなかに起おきてなにかむずかると、やさしい母ははは、
「あの音おとは、なんだろう……。だまってだまって、ああ、怖こわい、ああ、怖こわい。」といって、しっかりと自分じぶんを抱だきすくめられたのを、太郎たろうは、昨日きのうのことのように、忘わすれなかったのであります。
それから後のち、彼かれは、たびたび真夜中まよなかごろに、この車くるまの音おとを床とこの中なかで聞きいたことがありましたが、いつも、それは、人間にんげんとは思おもわれないような、怖おそろしい姿すがたをしたものが、まったく人通ひとどおりの絶たえた往来おうらいの上うえを、車くるまを引ひいてゆく有あり様さまを目めに描えがいたのでした。
この晩ばんも、彼かれは、やはりそんなような空想くうそうにふけったのです。
「雲くもの切きれめから、すごい星ほしの光ひかりが、きらきらと輝かがやいている。真まっ白しろに霜しもは、電信柱でんしんばしらに、屋根やねの上うえに降ふっている。寒さむい北風きたかぜが、あのように音おとをたててゆく。乾かわいた道みちの上うえには、枯かれた落おち葉ばがころがって、人通ひとどおりもない、しんとした往来おうらいを、怖おそろしい男おとこが、あのように、だまって車くるまを引ひいてゆくのだろう……。」
彼かれは、覚おぼえず、夜具やぐのえりに、顔かおを埋うめて小ちいさくなりました。
*   *   *   *   *
太郎たろうの家うちへ、三、四か月げつ前まえ、田舎いなかからきた女中じょちゅうがありました。彼女かのじょは、まだ、十六、七になったばかりです。
この夜よ、あまり寒さむいので、ふと目めをさますと、ちょうどこの車くるまの音おとを、彼女かのじょも聞きいたのでありました。
「おさよ、おまえは、夜よる、目めをさますことがあるかい。」と、家うちの人ひとに、たずねられましたときに、
「いいえ。」と、顔かおをあかくして答こたえたことがありました。それほど、昼間ひるま働はたらくので、夜よるは疲つかれてよく休やすむのでした。それですから、めったに車くるまの音おとを聞きいたこともなかったのであったが、今夜こんや、ふと車くるまの音おとを聞ききますと、つぎからつぎといろいろのことが思おもい出だされて、彼女かのじょはしばらく床とこの中なかで、頭あたまをまくらにつけて、空想くうそうの後あとを追おったのでありました。
おさよは、田舎いなかにいる時分じぶんのことを思おもったのです。
おじいさんは、車くるまに、芋いもや大根だいこんをのせて、まだ暗くらいうちから、提燈ちょうちんに火ひをつけて、それを下さげて、村むらから四里りばかり隔へだたった街まちへ引ひいてゆきました。
家うちのものも、いっしょに起おきて、街まちへゆかれるおじいさんを見送おくったのです。村むらから、こうして、車くるまを引ひいて、出でてゆくものは、ほかにも幾人いくにんかありました。炭俵すみだわらをつけてゆくもの、また薪まきのようなものをつけてゆくもの、それらの車くるまのわだちの音おとが、後あとになり、先さきになりして、暗くらいさびしい道みちをあちらに消きえていったのであります。
「おさよ、今日きょうは、帰かえりになにか買かってきてやるぞ。」と、出でてゆくとき、おじいさんにこういわれると、おじいさんの帰かえりが、待まち遠どおしくてたまらなかったのでした。
轻松学日语,快乐背单词(免费在线日语单词学习)---点击进入
顶一下
(0)
0%
踩一下
(0)
0%

热门TAG: