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白い雲(5)

时间: 2022-11-14    进入日语论坛
核心提示:五突然とつぜん「ブーウ。」と、長ながいうなり声ごえをたて、トラックが、原はらっぱの中なかへ入はいってきました。石いしの破
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五

突然とつぜん「ブーウ。」と、長ながいうなり声ごえをたて、トラックが、原はらっぱの中なかへ入はいってきました。石いしの破片はへんを運はこんできたのです。
「きたっ!」といって、みんなは、逃にげ出だすような身構みがまえをしたけれど、もう逃にげ出だすすきがなかった。はや、トラックは、目めの前まえにきて止とまりました。止とまるといっしょに、ぱっと三人にんの男おとこが、自動車じどうしゃの上うえから飛とび降おりました。そのうち、一人ひとりの男おとこが、敏としちゃんのそばへいって、手てもとをのぞき込こんで、
「どんな石いしを探さがしているんだね。」と、ききました。そのやさしみのある質問しつもんに、みんなは、ちょっと意外いがいな感かんじがしました。
「方解石ほうかいせきを取とっていたのだ。」
敏としちゃんは、正直しょうじきに答こたえたのです。
「学校がっこうの理科りかで、習ならっているんだな。」と、その男おとこは日ひに焼やけた黒くろい顔かおに、白しろい歯はを見みせて笑わらっていました。
「おじさん、この石いしはどこからくるの?」と、敏としちゃんが、ききました。
「埼玉さいたまや、茨城いばらきの方ほうからくるんだ。大おおきな石いしを機械きかいにかけて、こんなに細こまかにして、電車道でんしゃみちや、河川工事かせんこうじに使つかうのさ。」と、その男おとこは、答こたえました。
これをきくと、敏としちゃんは、なんとなく石いしの故郷こきょうがなつかしい気きがして、思おもわず、大空おおぞらの果はてをながめたのです。先さきのとがった森影もりかげが、まぶしい日ひの光ひかりに霞かすんでいて、遠とおくの地平線ちへいせんには、白しろい雲くもが頭あたまをもたげていました。
三人にんのおじさんたちは、石いしをそこへ下おろすと、またトラックを運転うんてんして、原はらっぱの中なかをどこへとなく消きえてしまったのです。
「あのおじさんたちは、いい人ひとたちだな。」
「この石いしは、遠とおいところからきたのだよ。」
「トンネルを掘ほるときは、ダイナマイトで、岩いわを砕くだくのだってね。」
「ああ、ド、ドーン! すごいだろうな。」
「いまのおじさんは、ラジオのおじさんに似にているだろう。」
「ちがうわ。」
「似にていたよ。」
「そう思おもうのは、敏としちゃんだけよ。」
石山いしやまの周囲しゅういで、こんなことをいっていると、また、ゴーッ、ゴーッと、トロッコが、風かぜを切きって走はしってくる音おとがしました。ここからは、草くさの間あいだに見みえつ、隠かくれつしている細ほそいレールは、頼たよりなげな二本ほんの火ひばしのようにしか見みえなかったのです。
小砂利こじゃりをいっぱい積つんだ箱はこの上うえに、先刻さっきのどなった、元気げんきな若者わかものが突つっ立たっていました。敏としちゃんは、握にぎっていた石いしを手てから放はなして、その方ほうを振ふり向むいていると、男おとこは、なにかいいたげなようすをして、こちらをにらんでいたが、ちょうどカーブへさしかかった途端とたんに、調子ちょうしづいているトロッコは、はっと若者わかものが気きづいたときには、もう脱線だっせんして、止とまってしまったのでした。だが、それを知しらずに、後あとから、後あとから、ほかのトロッコは、唄うたなど歌うたいながら、走はしってくるのです。
あわてて、若者わかものは両手りょうてを高たかく上あげて叫さけびました。
「だっせんだぞう。」
すると、いくつかのトロッコは、ぴたりと止とまってしまいました。
「あいつ、生意気なまいきだから罰ばちが当あたったんだね。」と、義よっちゃんが、いいました。
若者わかものは、まったく子供こどもたちの方ほうに気きを取とられて、自身じしんの注意ちゅういを怠おこたったためでした。そこで、いっしょうけんめいになって、脱線だっせんした車くるまを直なおそうとしたけれど、とうてい二人ふたりの力ちからではだめでありました。しかし、仲間なかまはそれと悟さとると、すぐに車くるまから飛とび降おりて、トロッコの脱線だっせんした場所ばしょへ集あつまってきました。そして、力ちからを協あわせて、やっと重おもい車くるまをもとの位置いちにもどすことができたのです。
トロッコは、ふたたび、レールの上うえを快こころよく走はしりはじめました。
「万歳ばんざい!」と、武たけちゃんと、敏としちゃんは、手てをできるだけ上あげて、叫さけびました。おそらく、二人ふたりの若者わかものは、その声こえを聞きいたであろうけれど、自分じぶんの意地悪いじわるさを心こころに恥はじたのか、こちらを見みずにいってしまいました。
「もう、帰かえろうよ。」
「今度こんどは、あのいいおじさんだって、きっとしかるから。」
帰かえりかけると、知しらない子供こどもたちも、敏としちゃんや、かつ子こさんや、義よっちゃんたちといっしょになって、原はらっぱを去さりました。めいめいが石いしの破片はへんを抱いだいて往来おうらいへ出でた時分じぶん、幾分いくぶん日ひが蔭かげって、どこからともなく涼すずしい風かぜが吹ふいてきました。白しろい雲くもが、いつのまにか、自分じぶんたちの頭あたまの上うえまで広ひろがっていたのです。
途中とちゅうで、西山にしやまや、知しらない子供こどもたちと別わかれました。
「家うちへ帰かえったら、みんなで、石いしを分わけようね。」と、敏としちゃんが、いうと、
「僕ぼくは、こんど理科りかの時間じかんに、学校がっこうへ持もっていって先生せんせいに見みせるのだ。」と、義よっちゃんが、いいました。
みんなは、楽たのしかった、一日にちの遊あそびを思おもい返かえしました。黄金色こがねいろの夏なつの日ひは、まだ、暗くらくなって遊あそべなくなるまでに、だいぶ時間じかんがあったのであります。
 
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