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玉虫のおばさん(1)

时间: 2022-11-19    进入日语论坛
核心提示:玉虫のおばさん小川未明ある日ひ、春子はるこさんが、久代ひさよさんの家うちへ遊あそびにまいりますと、「ねえ、春子はるこさん
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玉虫のおばさん

小川未明


ある日ひ、春子はるこさんが、久代ひさよさんの家うちへ遊あそびにまいりますと、
「ねえ、春子はるこさん、きれいなものを見みせてあげましょうか。」と、いって、久代ひさよさんは、ひきだしの中なかから、小ちいさなきりの箱はこを取とり出だしました。
「この中なかに、なにが入はいっているか、あててごらんなさい。」と、笑わらいながら、いいました。
春子はるこさんは、なんだろうと思おもいました。いくら頭あたまをかしげてもわかりません。
「わからないわ。」
「きれいなものよ。」と、久代ひさよさんは、にっこりしました。
「指輪ゆびわでしょう。」と、春子はるこさんは、答こたえました。
「いいえ、そんなものでないの。」
「じゃ、なんでしょう。宝石ほうせき?」
「宝石ほうせきより、もっときれいなものよ。」
「もっときれいなもの……わからないから教おしえてよ。」と、春子はるこさんは、まったく、見当けんとうがつきませんでした。
「虫むしよ。」
「まあ、虫むし? ああ、わかったわ。ちょうでしょう。」
春子はるこさんは、宝石ほうせきより美うつくしいものは、ほかにはない。どうしても、ちょうであるとしか考かんがえられませんでした。
「いいえ、ちがうのよ。」
「もう、私わたし、わからないわ。早はやく見みせてよ。」と、春子はるこさんは、せがみました。
「玉虫たまむしよ。ほらごらんなさい。」と、その小ちいさな箱はこを久代ひさよさんは、春子はるこさんの手てに渡わたしました。春子はるこさんが、受うけ取とってみると、それは、美うつくしい、紅べにざらを見みるように、濃こい紫むらさきのぴかぴかとした羽はねを持もった玉虫たまむしの死骸しがいでありました。
「まあ、玉虫たまむしって、こんなにきれいなもの?」と、はじめて、玉虫たまむしを見みた春子はるこさんは、それに見みとれていました。
「ええ、そうよ。黄金虫こがねむしだから、たんすに入いれてしまっておくと、縁起えんぎがいいと、お母かあさんがおっしゃってよ。」と、久代ひさよさんがいいました。
春子はるこさんは、そのとき見みせてもらった、玉虫たまむしの美うつくしさをお家うちへ帰かえっても、忘わすれることができませんでした。
「誠まことさん、玉虫たまむしを見みたことがあって?」と、春子はるこさんは、弟おとうとの誠まことさんに、ききました。毎日まいにちちょうや、とんぼを捕とりに歩あるいているので、虫むしのことなら、あるいは、知しっているかもしれないと思おもわれたからです。
「ああ知しってるよ。今度こんど捕つかまえたら姉ねえさんに持もってきてあげようか。」と、誠まことさんはいいました。
「どこに、玉虫たまむしはいるの?」と、春子はるこさんは、ききました。
「それは、めったにいないけれど見みつけたら、持もってきてあげようね。」と、誠まことさんは、答こたえました。
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