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玉虫のおばさん(2)

时间: 2022-11-19    进入日语论坛
核心提示:春子はるこさんは、どんなにそれが楽たのしみだったかしれません。そうしたら、久代ひさよさんに、自分じぶんのを見みせてあげよ
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春子はるこさんは、どんなにそれが楽たのしみだったかしれません。そうしたら、久代ひさよさんに、自分じぶんのを見みせてあげようと思おもいました。春子はるこさんは、やさしい性質たちでありました。誠まことさんが捨すてたとんぼや、せみが、もちで羽はねがきかなくなって、飛とんでいけずに庭にわの地面じめんに落おちていると、春子はるこさんが見みつけて、すぐに、げたをはいて庭にわへ出でて、それを拾ひろい上あげました。
「まあ、かわいそうに、なんて誠まことさんは、乱暴らんぼうなことをするのでしょう。いま私わたしがもちを取とってあげてよ。」と、いって、奥おくから揮発油きはつゆを綿わたにしませてきて、丁寧ていねいに羽はねをふいてやりました。そして、それを夕空ゆうぞらへ放はなしてやると、とんぼや、せみはさもうれしそうに、お礼れいをいって、飛とんでいくように見みえたのであります。
「ああ、いいことをした。」と、これを見みて喜よろこぶ、やさしい春子はるこさんでありました。
弟おとうとの誠まことさんは、あいかわらずもちざおを持もって、学校がっこうから帰かえると近ちかくの松まつの木きのある丘おかへ遊あそびにゆきました。早はやくも秋あきがきて、そこには、いろいろの草くさや花はなが咲さきました。そして、ひところのように、せみの声こえはしなくなったけれど、やんまや、かぶと虫むしがいたからであります。
松まつにまじって生はえている雑木ぞうきをたずねて歩あるいていると、一本ぽんのかしわの木きがあって、そこにかぶと虫むしの止とまっている黒くろい脊中せなかが見みられました。
「あ、いる。」と、誠まことさんは、その木きの下したに立たって見上みあげました。そこには、かぶと虫むしのほかに、さいかちがいたし、また大おおきなありが動うごいていたし、しかもすこしはなれたところに、姉ねえさんの欲ほしがっていた玉虫たまむしがとまっていて、それらを護衛ごえいするように、すずめばちが、怖おそろしい目めをして、あたりをきょろきょろながめていたのです。年老としとって、腰こしの曲まがったかしわの木きは、これらの虫むしたちに皮かわを傷きずつけられて、甘あまい液えきを吸すわれているのを苦痛くつうに感かんずるのでありましょうが、どうすることもできずにいました。誠まことさんは、棒ぼうでかぶと虫むしと玉虫たまむしを下したへ落おとすと、あわてて口笛くちぶえを吹ふきながら、体からだをすくめて、飛とんできたはちの攻撃こうげきを避さけようとしました。やがて、はちはまた木きへもどりました。そこで、誠まことさんは、二匹ひきの虫むしを拾ひろうと大急おおいそぎで家うちへ帰かえってきました。
「姉ねえさん、玉虫たまむしを捕つかまえてきたよ。僕ぼく、揮発油きはつゆをつけて、殺ころしてやろうか?」と、誠まことさんは、いいました。これをきくと、春子はるこさんは、
「待まっていらっしゃい。」と、いって、急いそいで、出でてきました。
「きれいな虫むしなのね、久代ひさよさんところで見みたのより、よっぽど美うつくしいわ。」
「それは、こっちが生いきているからだよ。」と、誠まことさんが、いいました。
「そうかしらん、殺ころすのはかわいそうね。」
「僕ぼく、殺ころしてあげようか。」
「生いかして、飼かっておかない?」
「ああ、そうしようか。はちみつをやるといいのだよ。砂糖さとうでもいいかもしれない。」誠まことさんは、石鹸せっけんの入はいっていた、ボール箱ばこに穴あなを明あけて、その中なかへかぶと虫むしと玉虫たまむしを入いれておきました。誠まことさんの留守るすに、春子はるこさんは、一人ひとりでかぶと虫むしと玉虫たまむしとが、箱はこの中なかでもだえているのをながめていましたが、誠まことさんが帰かえると無理むりにすすめて、二匹ひきの虫むしを原はらっぱへ逃にがしてやりました。
ある晩ばんのことです。春子はるこさんは不思議ふしぎな夢ゆめを見みました。夏なつから秋あきにかけて、林はやしや、花園はなぞのにきて遊あそんでいたちょうや、はちや、蛾がや、とんぼや、せみが、だんだん寒さむくなるので、船ふねに乗のって暖あたたかな南みなみの国くにへ旅立たびたつのであります。その中なかにもいちばん目立めだって美うつくしいのは玉虫たまむしのおばさんでありました。紫色むらさきいろの羽織はおりをきたおばさんは、船ふねに乗のろうとして、
「また、来年らいねんまいります。」と、見送みおくりにいった春子はるこさんに、にこやかに、お別わかれのあいさつをしていました。すると、いつか、もちをふいて逃にがしてやった茶色ちゃいろのとんぼが、また玉虫たまむしのおばさんの蔭かげから、恥はずかしそうにして春子はるこさんにあいさつをしていたのでありました。
 
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