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小さな妹をつれて(1)

时间: 2022-11-23    进入日语论坛
核心提示:小さな妹をつれて小川未明一きょうは、二郎じろうちゃんのお免状日めんじょうびです。お母かあさんは、新あたらしい洋服ようふく
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小さな妹をつれて

小川未明

一


きょうは、二郎じろうちゃんのお免状日めんじょうびです。お母かあさんは、新あたらしい洋服ようふくを出だして、
「これを着きていらっしゃい。よごすのでありませんよ。」と、おっしゃいました。二郎じろうちゃんの、いままで着きていた洋服ようふくはよごれて、ところどころつくろってあります。
「お母かあさん、これでいいよ。」と、二郎じろうちゃんは、いいました。こないだまで、こんな服ふくは、みっともないといったくせに、きょうは、新あたらしい服ふくを着きていくとはいわぬのです。
「どうしてですか。」
「いいよ、これで。」
「三年生ねんせいになったのですから、新あたらしいのを着きていらっしゃい。」
「だって、お母かあさん、非常時ひじょうじでしょう。」
「まあ、それでそういうの。」
「なんでも、きょうは、これでいいのだよ。」と、二郎じろうちゃんは、いいはりました。
「みんなほかの人ひとは、きれいにしていらっしゃるのに、おまえだけ、そんなふうをしていていいのですか。」と、お母かあさんは、じっと、二郎じろうちゃんをごらんになりました。
「だって、僕ぼく、わるいお点てんだと、新あたらしい洋服ようふくなど着きていって、恥はずかしいんだもの。」と、二郎じろうちゃんは、きまり悪わるそうに、いいました。
「ああ、それでそういうのですか。考かんがえてごらんなさい、平常ふだん遊あそんでばかりいて、いい成績せいせきのとれるはずがないでありませんか。」
「僕ぼく、新学年しんがくねんから、勉強べんきょうするのだ。」
「どうですか。」
「ほんとうだよ、お母かあさん。」
「いままでのように、遊あそんではいけませんよ。」
「お母かあさん、これから勉強べんきょうするから、丙へいがあってもしからない。」
「丙へいですか、そんなわるい点てんがあると思おもうのですか。」と、お母かあさんは目めをまるくしました。
お母かあさんは、これから勉強べんきょうするなら、しからないとお約束やくそくをして、新あたらしい洋服ようふくを着きせて、二郎じろうちゃんをお出だしになりました。
二郎じろうちゃんは、自分じぶんでも、あまりいい成績せいせきとは思おもわれなかったので、いくつ甲こうがあるかなあと考かんがえていました。先生せんせいが、通信箋つうしんせんをお渡わたしなさると、胸むねをどきどきさせながら開ひらいてみました。体操たいそうが甲こうになっているだけで、あとはずっと乙おつの行列ぎょうれつでありました。二郎じろうちゃんは、おしどりが行儀ぎょうぎよく並ならんでいるので、おかしくなりました。しかし、お家うちへ帰かえると、さすがに、元気げんきよくこれをお母かあさんに見みせる勇気ゆうきがなかったのです。お縁側えんがわには、ねこがひなたぼっこをしていました。二郎じろうちゃんは、ねこが大好だいすきでしたから、すぐそのそばへすわりました。ねこは二郎じろうちゃんを見みると、ごろりと横よこになって、あくびをしながら四よつ足あしをのばしました。
「僕ぼくは、体操たいそうがうまいんだぜ、ほら甲こうだろう……。」と、通信箋つうしんせんをねこの鼻はなさきにひろげて見みせたのです。
こちらのへやで、お仕事しごとをなさっていたお母かあさんは、二郎じろうちゃんの声こえを聞きくと、
「二郎じろうちゃん、帰かえったのですか。なぜここへきて、ごあいさつをしないのです。」と、おっしゃいました。
「うん、いまいくよ。」
二郎じろうちゃんは、ねこの顔かおへ、自分じぶんの顔かおを押おしつけてから立たち上あがりました。
 
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