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ちょうと三つの石(2)

时间: 2022-11-26    进入日语论坛
核心提示:三度どめにいったのは、鳥屋とりやでありました。そこへいっても、彼女かのじょはよく働はたらきました。鳥とりに餌えをやったり
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三度どめにいったのは、鳥屋とりやでありました。そこへいっても、彼女かのじょはよく働はたらきました。鳥とりに餌えをやったり、いろいろ鳥とりの世話せわをしました。月日つきひは早はやくもたって、すでに三みたび結婚けっこんをしてから、十年ねんあまりにもなりました。すると、夫おっとはあるとき、病気びょうきにかかりました。彼女かのじょは、よく看護かんごをいたしました。けれど、そのかいもなく、夫おっとの病気びょうきは、だんだん重おもくなるばかりでした。
「おまえを後あとに残のこしていくのは、このうえなく悲かなしい。けれど、これも運命うんめいだからしかたがない。おまえは、あの鳥とりのめんどうを見みてやったら、どうにか暮くらしていけないことはない。」と、夫おっとはいいました。
「ほんとうに悲かなしいことです。わたしは、もっと鳥とりのめんどうを見みてやります。そして、一日にちも早はやくあなたのところへゆかれる日ひを待まっています。」と、女おんなは答こたえました。
「それで安心あんしんをした。どうか達者たっしゃで、幸福こうふくに日ひを送おくってくれい。きっと、私わたしは、待まっているから。」と、夫おっとはいいました。
「あの世よへゆくには、高たかい山やまを越こさなければならないそうです。どうか峠とうげでわたしを待まっていてください。」と、女おんなはいいました。
男おとこはうなずいて、ついにこの世よから去さってしまいました。女おんなは夫おっとの亡なくなってしまった後のち、よくその家業かぎょうを守まもりました。それから、また長ながい月日つきひがたちました。女おんなは年としをとりました。そして、いつか女自身おんなじしんが、墓はかにゆく日ひがきたのであります。
女おんなは、仏ほとけさまに、どうかあの世よへとどこおりなくいけるようにと祈いのりました。そして、ついに目めを閉とじるときがきました。
女おんなは、この世よを去さったのです。けれど、霊魂たましいは女おんなの念ねんじたように、あの世よへゆく旅たびに上のぼりました。
女おんなは、長ながい道みちを歩あるきました。うららかに日ひが当あたって、野のも、山やまも、かすんで見みえました。夢ゆめの国くにの景色けしきをながめたのであります。女おんなは、やさしい仏ほとけさまに道案内みちあんないをされて、広ひろい野原のはらの中なかをたどり、いよいよ極楽ごくらくの世界せかいが、山やまを一つ越こせば見みえるというところまで達たっしました。
「さあ、もうじきだ、この山やまを越こすのだ。」と、仏ほとけさまはいわれました。
女おんなは、青竹あおだけのつえをついて、山やまを上のぼりはじめました。やがて、峠とうげに達たっしますと、そこに三人にんの男おとこが立たって待まっていました。三人にんは、自分じぶんたちの待まっている女おんなが、この一人ひとりの女おんなであるということを知しりませんでした。三人にんは、女おんなを見みると、
「おまえのくるのを待まっていた。」といって、三方ぽうから寄よってきました。女おんなはびっくりしてしまいました。よく見みると、第だい一の夫おっとと、第だい二の夫おっとと、第だい三の夫おっとであったのです。
女おんなは、どちらへいっていいか、まったくわからずに途方とほうにくれてしまった。
「俺わしは、長ながい間あいだ、どんなにおまえを待まったかしれない。」と、第だい一の夫おっとがいいました。
「私わたしは、いちばん最後さいごにおまえと別わかれたのだ。おまえは私わたしといっしょに、あの世よへゆくのがほんとうだ。」と、第だい三の夫おっとがいいました。
「おまえは、私わたしといっしょに、あの世よへゆくといって約束やくそくをしたじゃないか。」と、第だい二の夫おっとがいいました。
女おんなは、まったく途方とほうにくれてしまいました。
このようすを、仏ほとけさまはごらんなされていました。
「おまえは、悪気わるぎのある女おんなではないが、そういって、三人にんに約束やくそくをしたのはほんとうか。」と、仏ほとけさまは、女おんなにたずねられました。
「わたしが悪わるうございます。そういって、三人にんに約束やくそくをしました。けれど、心こころからうそをいう気きでいったのではございません。一時じは、あの世よがあることを信しんじました。一時じは、あの世よがあるかどうかを疑うたがいました。」と、女おんなは申もうしました。
仏ほとけさまは、しばらく黙だまって考かんがえていられましたが、
「おまえは、三人にんの中うちで、いちばんどの人ひとを愛あいしているか?」と、お聞ききになりました。
女おんなは、かつて、いちばんどの人ひとを愛あいしているかを心こころに考かんがえたことがないので、返答へんとうに困こまっていました。すると、仏ほとけさまは、
「おまえは、どういうような気持きもちで、たびたび結婚けっこんをしたのか。」と、おたずねになりました。
女は、自分じぶん一人ひとりで暮くらしてゆけないから結婚けっこんをしたとも、気恥きはずかしくて申もうされませんでした。
「そんな信仰しんこうのないものは、あの世よへゆくことはできない。おまえは、ちょうになって、もう一度ど下界げかいへ帰かえって、よく考かんがえてくるがいい。そして、ほんとうにまどわない悟さとりがついたら、そのとき、あの世よへやってやる。」と、仏ほとけさまは女おんなに申もうされました。
また、仏ほとけさまは、三人にんの男おとこに向むかって、
「女おんながほんとうに悟さとりがついて、永久えいきゅうに変かわらない自分じぶんの夫おっとを見分みわけがつくまで、ここに待まっているがいい。」といわれました。
やがて、女おんなの姿すがたは、ちょうとなりました。そして、夕日ゆうひの空そらに向むかって、どこへとなく飛とんでゆきました。
三人にんは、峠とうげで、十年ねん、百年ねん、幾いく百年ねんと待まちました。そのうちに、三人にんは、三つの石いしになってしまいました。けれど、下界げかいに去さったちょうは、いまだに悟さとりがつかないとみえて、花はなから花はなへと、美うつくしい姿すがたをして飛とびまわっていて、帰かえってこないのであります。
 
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