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千代紙の春(2)

时间: 2022-11-26    进入日语论坛
核心提示:このとき、一人ひとりのおばあさんがありました。つえをついて、この橋はしの上うえにきかかりました。おばあさんには、心配しん
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このとき、一人ひとりのおばあさんがありました。つえをついて、この橋はしの上うえにきかかりました。おばあさんには、心配しんぱいがありましたから、とぼとぼと下したを向むいて歩あるいて、元気げんきがなかったのです。それは、かわいい孫まごの美代子みよこさんが、体からだが悪わるくて、家うちにねていたからです。
「どうかして、早はやく、美代みよの病気びょうきをなおしたいものだ。」と、おばあさんは、このときも思おもっていました。
美代子みよこさんは、ちょうど十二でした。このごろは、体からだが悪わるいので学校がっこうを休やすんで、医者いしゃにかかっていました。けれどなかなか昔もとのように元気げんきよく、快よくなおりませんでした。そして、美代子みよこさんは、毎日まいにち、ねたり起おきたりしていました。起おきているときは、お人形にんぎょうの着物きものを縫ぬったり、また、雑誌ざっしを読よんだり、絵本えほんを見みたりしていましたけれど、もとのように、お友ともだちと活発かっぱつに、外そとへ出でて駆かけたりして遊あそぶようなことはなかったのです。
美代子みよこさんのお母かあさんや、お父とうさんばかりでありませんでした。心配しんぱいをしたのは、家うちじゅうのものでありました。
「ほんとうに、あの子この病気びょうきは、なぜなおらないのだろうか?」と、おばあさんは、いつもそのことを思おもいながら、つえをついて歩あるいて、橋はしのたもとにきかかったのです。
「さあ、こいをまけておきますから、買かっていってください。」と、おじいさんはいっていました。
おじいさんは、早はやくこいを売うって家うちへ帰かえりたいと思おもいました。家うちには、二人ふたりの孫まごが、おじいさんの帰かえるのを待まっていたからです。おじいさんの家うちは貧乏びんぼうでした。そして、おじいさんが、こうしてこいを売うって金かねにして帰かえらなければ、みんなは楽たのしく、夕飯ゆうはんを食たべることもできなかったのであります。
「さあ、まけておきますから、こいを買かっていってください。」と、おじいさんは、熱心ねっしんにいいました。
おばあさんは、それを聞きくと、つえをつきながら、立たち止どまりました。そして、橋はしのそばに、店みせを開ひらいている、盤台ばんだいの中なかの大おおきなこいに目めを止とめたのであります。
おばあさんは、こいを病人びょうにんに食たべさせるとたいそう力ちからがつくという話はなしを思おもい出だしました。
「ほんとうに、いい大おおきなこいだな。」と、おばあさんはたまげたようにいいました。
「まけておきます。どうぞ買かっていってください。」と、おじいさんは声こえをかけました。
「うちの小ちいさな娘むすめが病気びょうきだから、それに買かっていってやろうと思おもってな。」と、おばあさんはいいました。
「このこいをおあがりなされば、すぐに病気びょうきがなおります。」と、おじいさんは答こたえました。
おばあさんは、じっと大おおきなこいが、肥こえた白しろい腹はらを出だしているのをながめていましたが、
「なんだか、このこいは、元気げんきがないな。じっとしている。」と、おばあさんは、こごんでいいました。
「どういたしまして、これが弱よわっているなどといったら、元気げんきのいいのなどはありません。」と、おじいさんはいいました。
おばあさんは、それでもくびを傾かたむけていました。
「死しんでいるのではないかい。」と、おばあさんはたずねました。
「あんなに、口くちをぱくぱくやっているではありませんか。」と、おじいさんはいいました。
「いくらだい?」
「大おおまけにまけて一両りょうよりしかたがありません。」と、おじいさんは答こたえました。
「どれ、ちょっと尾おを持もって、跳はねるか見みせておくれ。」と、おばあさんは、註文ちゅうもんをしました。
このとき、ほんとうにこいは、死しんでいるようにじっとしていましたが、おじいさんは、おばあさんがそういうので、大おおきなこいの尾おを握にぎって高たかくさしあげました。
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